***素直になれ 〜夢の続き〜***
僕だけに笑って その指で触って その声で・・・


バカみたいに独占欲だけデカクなってく――――









朝起きて、いつも通り学校へ行く。
教室のドアに手を掛けて、忍足は眩暈がした。


の隣に跡部が座ってる、楽しそうに笑ってる――



(なんや昨日のあれ、やっぱ夢やなかったんか・・・)




二人の所まで行きたくない。が、忍足の席はの隣で・・・
何かが忍足の中で弾けた。パチンと音をたてて。
そのまま迷うことなく自分の席まで歩いた。
跡部に向けられた視線と、叫び声にも似た声を背に受けて―――




「跡部。そこ俺の席やからどいてや」
「あ?あぁ悪いな」
跡部は素直に席から立ち上がり、の方へ向き直ると
「じゃあ、またあとでな」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



跡部がいなくなって、残された(?)二人。
昨日と同じで、なんともいえない嫌〜な雰囲気がある。


ただ昨日と決定的に違った事があった。
忍足が不機嫌だった事。









跡部は休み時間になる度に、の所へ来ていた。
二人の話し声が、忍足の耳に嫌でも届く。
気に入らない。


なにより気に入らないのは、
が跡部に笑いかけてること。
決して今の忍足には向けられることの無い、その笑顔が
今、跡部に向けられている。
その事実に、いや、二人の隣にいるのが耐えられなくて
忍足は席を立った。






無我夢中で走ってた。
立ち止まって、思う。



これは嫉妬なのだろうか、と。
自分には向けられない笑顔が、跡部に向けられてる。
優しい声音で跡部と喋って。



羨ましいと心底思った。
なぜそれが自分ではなく、跡部なのか、と。
くやしくて仕方なかった。





いつもみたいに、また話せると思った。
自信があった。
なのに、その自信を、
音もたてずに、ゆっくりと
跡部が壊した――――。










(くやしい、くやしい、くやしい・・・・)















昼休みの鐘が鳴る5分前。
忍足は屋上にいた。
寝転んで、何をするでもなく、
ぼんやりと空を見てた。






「なにがあかんかったんやろ?」
返ることの無い問いかけを、空に放った。
なのに――――。







「そりゃあ、全部だろ。全部」








忍足は起き上がる、が、振り向きはしない。
声の主が誰だが知っているから。
今、一番会いたくない男。






「サボりか?」
「そっちこそ」
「俺は、授業が早く終わったんだよ」
「へーそか」



「・・・おまえ、なに怒ってんだ?」
「別に怒ってなんかない」
「嘘付け。声が怒ってるじゃねぇか」
「・・・・・・・・」




「俺言ったよな、あいつもらっていいか?って」

(分かってる。そんなん分かってる)


「お前、好きにすればいいって言ったじゃねぇかよ」

(せや言った。覚えてるわ)


「なのに、何怒ってんだよ」

(ウルサイ、ウルサイ――)



「オイ。人の話聞いてんのか?忍た―――」
「うっさいわ!!好きにすればエエやろ。
おまえとがどーなろうが、俺には関係ない。
何度も同じこと言わすなや」









怖いくらい空が青く澄んでいた。
その空の下、忍足の怒鳴り声が響き、吸い込まれてく。









忍足と、跡部と、そしてもう一人――――










「じゃあ好きにするぜ。なぁ?」
「!!なっ・・・・・」








扉を隔ててもう一人











独占欲だけ増していく
こんなにも側にいて欲しい人が誰か、
そんなの分かりきっているのに


どうしてもっと、上手く言えないんだろう?
言葉にしなきゃ伝わらないのに


いつからこんなにも不器用になったのか
それすら、もう分からない


あの時、素直に言えてたら
何かが変わっていただろうか


たった一言


ただ――――――





>>>感想<<<
中編ですね。いやぁ、ステキングvvv
このドリがホントに好きで、私。(惚)



>>>モドル<<<
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