***素直になれ 〜空知らぬ雨〜***
あの時ああしてれば、とか
そんな事ばかり考えてる自分が嫌になる

結局、俺は、あの時何も出来なかった
それが『現実』 それが『全て』

今の俺はきっと
世界一惨めで、かっこ悪い












三人はただ、何も言わずに、立ち尽くしていた。





沈黙を破ったのは、忍足だった。






「なんで、がここにおんの?」
その声は少し、震えていた。


「あ、俺がここで飯食おうって誘った――」
「せか、なら俺はお邪魔虫だから退散するわ」
努めて明るく言ったつもりだったが
どこかそれは、ぎこちない。






二人が楽しそうにしてるのを見たくなかった。
早くここから逃げ出したかった。


跡部の横を通り過ぎ、扉の前
の横まで来て、忍足は足を止めた。



「すまんかったな」



にだけ聞こえる程の小さな声で言うと、
そのまま階段を駆け下りていった。



だから忍足は気付くはずなかった。
が振り返って、手を伸ばし
自分の後を追おうとしたことに。







の伸ばしたその手は、空を切る。
振り下ろそうとしたその手を、跡部が掴んだ。




「おまえは、忍足の事が好きなのか?」
「えっ」

「忍足はおまえの事好きだろ?」
「えっ?」

キョトンとしているを、跡部は壁に押し付ける。


「痛い!」
「忍足の事なんとも思ってないなら
マジで俺と付き合うか?」
「何言ってるの、跡部君。痛いよ・・・」


「なぁ『景吾』って呼べよ」
「!!!!」
「やっぱり恋人同士になるんだから、
名前で呼んでくれないとな」


の肩を押し付ける手に、力が入る。


「呼べるだろ『景吾』って?
忍足のやつは呼べなくてもよ」






視線が絡み、時間が止まった。
周りの音も聞こえないくらいの、
それはスローモーションの世界






「呼べるだろ。『景吾』って」
「・・・・・・」
「あれか。好きなやつの名前は呼べないってか?」
「!!!」


の目が大きく開いた。
その目は潤んでいて、
瞬きすればそれは、今にも零れ落ちそうで







「言わなきゃ分かんないだろ、おまえも忍足も」
跡部の手が、から離れた。
呆然としているに、跡部は言葉を続ける。



「行ってやれよ。忍足のトコ。
んでダメだったら俺の女にしてやるから」

「ありがとう跡部君」







「やっぱ、忍足の野郎には勿体ねぇなー」
小さくなっていくの後姿を見ながら、跡部は笑った。















「俺何やっとるんやろ、アホくさ・・・」


頬に暖かいものを感じて、手で触れてみた。


「ウワッ、俺泣いとるし。かっこ悪〜〜」


「雨くらい降ったらええのに。
なんやこの晴れ晴れとした天気は、ムカつくわー」


空を見上げて言葉を吐き出しても、
零れる涙は止まらなくて、忍足は俯いた。


「アカン。めっちゃアカン」



「ただ『侑士』って呼んでもらいたかっただけなのに、
・・・・なのに、なんであんな・・・」



零れる涙が胸を痛ませた。
声を上げて泣いてしまいそうで――――。

















「・・・・見つけた」







その声に顔を上げた。









驚いた。
だって目の前にがいたから。
涙でグチョグチョの顔なんて、どうでも良かった。
だってが、ここにいるから。







「・・・


「・・好き」


「俺も好きや」


「うん」


「なぁ『侑士』って呼んで」


「・・・侑士」


「もう一回」


「侑士」


「もっと―――――」










抱きしめて、キスをした。








さっきまで最悪な気持ちだったのに

君が名前を呼んでくれたから




―――今はもう天にも昇る様な気持ち





>>>感想<<<
うぇ〜ん!!終わっちゃったよぉぅー!!(号泣)
良かったね、良かったね一緒になれてぇー(>ロ<;;)
跡部が恋のキューピッドになってたことにとりあえず乾杯(ぇ)



>>>モドル<<<
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送