***TREASON***
誰が敵で 誰が味方なのかも
もう判らなくなってしまった
だから今すぐ 抱きしめてくれないか


TREASON


何て無力な人間だろう
いっそ死んで無になってしまいたい



その日、私は一人部室で泣いていた

泣き顔を誰にも見せたくなくて


「はぁ・・・」




マネージャーとしてちゃんとやってると思った
けどそれはあくまでも”つもり”でしか無くて


それを認知した日


結論から言えば”辞めてしまいたい”
いやダメ・・・逃げだ、辞めるなんてのは。

現実からも、自分自身からも。





「入室不可・・・て」
「・・・さん、相当病んでますね」

あまりにもやり過ぎな状況を見て
心配して見に来た謙也と光が顔を見合わせる


部室のドアに貼られている”入室不可”の紙



コンコン


、大丈夫やないと思うから大丈夫かは聞かんけど
抱え込むんいっちゃん毒やで」
「この状況、千歳さん見たらめっちゃ心配しますよ。
委員会で遅れてくれてホンマに良かったと言うか。」


「何ね?」



「千歳!?ななな何でもあれへんねん、ほらはよ部活行かな!!」
「どもりすぎですわ」

「ばってんどの道着替えんと・・・」
「せや!!委員会あるやろ!?委員会!」
「それが意外に早く終わって」


委員会のドアホ!!



背の高い千歳からならドアの張り紙を隠しても目に入る
「あれ、部室使えんの?」
「そ、そうやで〜!何か雨漏りしとるらしくてなぁ!」
「・・・一部だけ不自然に」

財前!余計な事言わんでえぇねんて!



「コラー!サボったらあかんやろ〜?」
「お、オサムちゃん・・・」
なんちゅーバッドタイミングやねん

「いつからしとったんですか?雨漏り」
「雨漏り?」

「えぇから千歳!!はよ行くで!!ほら、財前も」
「事実は時に残酷ですから」
「え?どげんこつね」



妙な謎を残して去る三人
そして貼った覚えの無い入室不可の紙

「入室不可に雨漏り・・・」



ガタッ


「鍵までかかっとる部室」



そこでくわえていた爪楊枝を鍵穴に差し込む





カチャッ


「使えるなぁ、爪楊枝♪」




シーンと静まる室内を一周して様子を伺う

「問題無さそうやねんけどなぁ・・・せやろ


ギク
えぇ〜バレてるよ
「・・・;;」


「部長に怒られたんか?」

部室の角で丸まっていた私と目線を合わせる為
しゃがみながら優しく話し掛ける


コクリと頷く


「アイツ部活ん時は厳しいからなぁ、よしよし」
「あ、あたひが悪・・・っ」
泣き過ぎな上、オサムちゃんの励ましで余計話せない

「せやけど注意するんは白石の優しさやから」
「分かってる・・・だから不甲斐無くて・・・」
「自分自身に苛立ってるんやな?」


「うん」


「大人になったなぁ!先生嬉しいわー!!」

嬉しさの余り抱き締めながら頬擦りをする

「オサムちゃん、ヒゲ痛い・・・」
「あぁスマンスマン!」


立ち上がりドアへと向かう


「落ち着いたら戻って来ぃや♪誰も責めんから」


「ありがと・・・」

バタン


しかしこんな腫れた目で行ったら・・・
「何も知らない千歳とか心配するかもなぁ」
「そうばいね」


・・・?


ドアに寄り掛かって腕組をしたまま
心配そうな目でこちらを見る人

「ギャ!千歳・・・さん」
「全く、謙也も財前も隠そうとして・・・
雨漏りなんてしとらんこと位わかっとーね」

ですよね〜


「ゴメン・・・自己中過ぎで。もう大・・・」
「大丈夫なわけなか。こげな腫れて」

そう言って瞼に口付けを落とす

「ううん、大丈夫だから千歳は先に行ってて」
の大丈夫は信用出来んから心配すったい」

「あと三分したら行くし!ね?」
「じゃあ三分、こんまま抱き締めとってもよか?」
「千歳・・・」

「変に意地はる癖がある事位皆知っとるから」

「それは鋭過ぎなんだよ」

xxx


「部長、急に部活抜けてすみませんでした」
「目ぇ真っ赤やん」
「自分自身に苛立って、泣いたって言うか、
何でミスばっかするんだろうなぁ・・・と。」
「ミスしない人間なんて居らんよ。
俺は同じ事をまたミスらんようにして欲しかっただけ」

「ん。気を付ける」

腫れた目で笑いながらコートに向かった

「・・・の泣き顔、ホンマ見るの辛いわ」
「部長って位置も辛ばいね」



「うわ、案の定目真っ赤やん!俺が慰めたろうか?」
「間に合ってます」
「あぁ、なるほど。千歳さんに抱」
「抱かれた!?」

「いやいや、言ってない言ってない!!」


外に出れば皆が待っててくれて迎えてくれる

だったら私は


「カラに篭ってる暇なんて無いんだよね」



END


>>>コメ。<<<
誰でも失敗することはあって
その度に怒られたりするけど
守ってくれる人が沢山居るから一人で抱え込まないで
と言う人生で少なくとも一回は経験しそうなほろ苦いシーンを。

この場合のヒロインは千歳と付き合ってるのでしょうか(聞くな
最初の三行+タイトルはビークルの歌詞。心にぐっと来る曲。



>>>モドル<<<
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