***XX分前***
生きてる上で常に存在する”時間”
これは平等な物 どう使うかは自分次第




XX分前



"ゴメン、五分くらい遅れそう!"

珍しいな、が遅刻やなんて



xxx

時を溯る事15分前

「あぁ…乗り遅れたよ怒られる怒られる…!」


ギュッ


いきなり掴まれる服の端

「はい!?って…誰もいな」

視線を下に向けるとそこにいたのは幼稚園位の女の子

「どうし…」
何となく状況は読めた
こんな真っ昼間に女の子が一人。

「ママとはぐれたの?」


今にも泣きそうな目で頷く

「あぁ〜泣かないで!ほら、飴あげるから!!
お姉ちゃんと一緒に探そ?」


泣き顔が少し引いた気がした

とりあえず蔵ノ介のとこまで向かわなければ


xxx



「なぁなぁ一緒にご飯食べに行こうや〜!」
「ホストとか興味無い〜?絶対No.1なれるて〜!!」


深めの帽子を被りながら
周りの音が極力聞こえないようウォークマンをして彼女を待つ


彼女…


「蔵ノ介〜!!ゴメン遅れちゃって!」

「え…バツイチやったん?」

「ち、違うよ!大体この歳でバツイチなわけないでしょ!!」

必死に一部始終を説明する

「何や、そう言うことな。」

しゃがんで笑顔で女の子に話し掛ける

「初めまして。お兄ちゃんな、蔵ノ介って言うねんけど名前言える?」



「…杏南」

「あんなちゃんか、かわえぇ名前やな!一緒におかん探そうな」

「うん!」


手を繋ぎながら
とりあえず私と杏南ちゃんが出会った近くの交番に向かう事にした




「あの〜…」

だがしかし。
お巡りさんは巡回中なのか交番の中には誰もいない様子だ

「しゃーない、帰って来るまで待っとるか」
「そうだね」


「何か退屈しなさそうな物とかあればえぇんやけど…」
「紙とペンならあるよ。」
「まぁ、無いよりましか」


杏南ちゃんは蔵ノ介の膝の上で一緒になって絵を描いている

無邪気で可愛いなぁ〜

「お兄ちゃん、逆や〜」

小さい子供は観察力があるなぁ。
ペンを持つ手を不思議そうに見る

「あぁ…お兄ちゃんな、こっちの手やないと描けへんねん、堪忍な」
「怪我しとるの〜?」
今度は包帯を見る

「そんなとこや」

えぇっ!曖昧過ぎない!?

「杏南ちゃん絵上手いなぁ。おかんの顔?」
「うん!」

さり気なく話をすり替える

なつかしい〜
昔あぁいう絵描いてたなぁ。




「ん?何かご用で」
「あ、実は迷子を見つけまして」


少し年配で太めのお巡りさんは人柄が良さそうだ

「お子さんでは無い…と」
「いやいや、私達中学生ですから」
「中学生!時代は変わったなぁ〜」


和やかなムードで必要な情報を聞き終えたお巡りさんは
「あとは任せとき〜」と言って帰そうとしたのだが…


…杏南ちゃんが離してくれへんねん」
「あはは、気に入られちゃったね」


「一緒に待っとこか」
「せやけどお二人さんこれからデートやろ?」

「こんな可愛い子、泣かせてまで行こうとは思わないですよ〜!」
しかし膝の上なんて私もう乗れないよなぁ…

ちょっと羨しいとか思ったら怒られるかな




20分後

「杏南!」
「ママー!!」



「お母さんあかんよ〜子供さん置いてったらー!」

「すいません!!ちょっと目を離した隙に居なくなっとって…
ホンマ有難う御座いました!」

何度も頭を下げるお母さん

「この子達がね、連れて来てくれはったんですよ」
「ホンマに有難う御座います〜!」
「いえ、杏南ちゃんえぇ子やったんで」
「もう離れちゃダメだよ?」

「あぁ、せやせや!
これさっきもろたんやけど良ければ二人で…ね!!」

渡されたのは映画の無料招待券

「あの、でも…」
「この位しかお礼出来へんけど」

そう言って
満面の笑みと券を残し手を引かれながら去って行った


時間は午後二時

「折角だから見に行こうか?映画」
「せやな」



xxx

上映10分前:薄暗くなって来た館内


「ね、蔵ノ介」
「ん?」
「もし迷子が男の子で、さっきの立場逆だったらどう思う?」

「別に、相手小さいしなぁ〜」とか言うんだろうけど

「いや、別に…」

お、ビンゴ?
しかし何だか嬉しいような残念なような…

と、この先を言うのかと思いきや
"顔近付けて"とジェスチャーで示す

けど耳打ちするほどの音量にはなっていない

「なんて、言うわけないやろ」

「え、何?」





首筋に温もりが残った



ここ映画館なんですけど


は平気かもしれんけど俺やったら妬くで」
「いや、私だって少しは妬いてたよ!
そりゃあ小さい子だし、膝の上乗ったって仕方無いと思った…
っていうかそう自分に言い聞かせたんだけど」

ただの言い訳じゃん、これって



「そないに乗りたいんやったら乗ってもえぇけど?」
不敵な笑みを浮かべながら確かにそう言った

と言うよりも帽子のせいで口元しか見えない


被っていた帽子を取って言い返す


「今度ね」



「…本気かいな」

突然起こった予想もしない二つの出来事が
重なった蔵ノ介の顔は少し驚いていた

「え?本気じゃなかったの!?」
「いや、の好きなように取ってええわ」


本編が始まった






END



xおまけx

「観覧車乗ろうよ!観覧車〜!!」

少し面倒そうな雰囲気を感じつつも
知らないふりをして無理やり引っ張って入口まで連れて行く


「観覧車ってまったりするよね〜。
ここだけは時間がゆっくり流れてる…みたいな」

しかも夕日が一番綺麗な時間。

日の入り。


「こうやって見てるとあそこまで行ったら
太陽に触れるんじゃないかって思わない?」

「杏南ちゃんみたいやで、今の
「え!この発言はちょっと子供過ぎたかな…」
でも少しくらい夢見たって

「こっち来る?」
「は」
「せやから、膝」

「だ、ダメだよ!バランス崩れてゴロンて落ちるから!!」

聞く耳持たず腕を引っ張る

「ぎゃぁ!!落ちる落ちる!」

席に戻ろうとは思うものの
足が竦んで蔵ノ介にしがみついたまま動けない始末

これじゃあお姫様抱っこみたいじゃん…


「恥ずかし…」
「せやったら離れればえぇのに」


全くこの男は…!!





>>>コメ。<<<
ベタかなぁと思いつつも書いてみた迷子+デートネタ。
白石はきっと深い帽子被ってないと大変な事になるんじゃないかって
独断と偏見で帽子を(そうだったの?)
…意地悪いなぁ〜(笑)



>>>モドル<<<
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