***quenchless***
いつも笑っているあの花も
怒らせると恐いんだ

こっち見てよ


quenchless


「なぁ、それってホンマか?」

いきなり驚かされる白石

「知らん」

珍しくご立腹な千歳
彼が機嫌を悪くするなんて一年に数回在るか無いかくらいのものだ


そしてそのやり取りを物陰から見る私


参ったな、千里は自分の目で見た事だけは信じちゃうから…


しかしあれは紛れも無い事実で

今更彼に虚偽は通用しない
真っ向から行くか
逃げてこのままか


1と0の世界



何どっかの主人公みたいな事考えてんだ私。



昨日
いつものように千里を教室で待って居て
来る前にわんわん泣きながら金ちゃんが教室に入って来て

あまりの可愛さに抱き締めながら慰めてて

そしたら泣き疲れて寝ちゃった顔にまたキュンと来てしまって

ほっぺにチュ…ってこれ下手したら犯罪だよ、犯罪



そしたら千里が来て…
「悪いの私か…っていうかゴメン金ちゃん」

「何がぁ〜?」
「わ!ビックリした…」
何やっとるん?部活始まるで〜!!はよ行かんと〜」

そっか、金ちゃんもう昨日のことは気にして無いのね

「うん〜」
「何や 、立たんといかれへんやろ?」
「金ちゃん先行ってて!何か足痺れたみたい」

嘘こけ自分。


ゴロリと芝生の上に寝転がる


「だって金ちゃんめちゃめちゃ可愛かったんだもん…」

しかも泣いた理由が「帰りに食べようと思ってたお菓子を食べられた」って…


可愛いだろそれ〜…


ゲシッ

そんなこと考えてると背中に軽く蹴りを入れられた

「サボり魔、部活始まんで」
「白石…!千里と一緒なんじゃ…」
「先行ったわ、顔見とうないって」

「うわ、相当怒ってるじゃん…あたし休む」
外方を向く

「いや、多分逆やろ」
逆?


に会うたら事実確認したくなるやろ、
せやけど自分の目で見た事に関しては
事実やと思っとるから恐いんや無いやろか」

「一理ある…」


って、ちょっと待てよ?


つまりそれって、嫌いになるどうのじゃなくて

かと言って怒ってるわけでもなく

事実を濁したままにしたいから?



だとしたら…
「何て悲劇のヒロインみたいな間違った解釈してるんだ…!
あーもう情けない!!」


スクッ

「白石!本当はどこ行ったの、千里」

「察し早いな、多分屋上やろ。」



行き先を聞くと全力疾走で向かった


「ホンマ不器用やわ、あいつら」
人の事言えんか




xxx

ガチャッ


「せっ…」


いない…?


走った分が一気に伸し掛かって息が続かない

「かっ、仮にも…運動部のマネなのに…っ!!」


思わず手を付いてその場に蹲る

「き、気管…ヒューヒュー言ってるし…」


千里はいないし
死にそうだし
とんだ無駄足だ…


でもどこ行ったんだろ?

「たった一言…あれは可愛くて…
小春がやってるようなノリだって…言いたかっただけなのに」

何でこんな疲れてんだ…

「まさに自業自得ってやつかぁ…
はは、これぞ自業自得の極み……はぁ」


「才気煥発」
「分かってるよそんなの…」


えっ






目を向けた先には会いに来た人物がいて

けどいつもの優しい顔ではなく
思い切り睨みながらこちらをじっと見下ろす

私はと言うと
無理に顔を上げているせいか
陸に上げられた鯉みたいな顔をしながら
必死に呼吸をしている(に、違いない)


「そげな焦って…何か用でもあったとね」

「言いたい事が…あっ…」
ダメだ、呼吸困難に陥る
顔見ながら会話は断念しよう

「…て」

相手も座り込み
苦しむ私の顎を掴んでこう言った

「酸素欲しい?」

「…顎、顎離して…息出来ないから」
必死に頷きながら抵抗する



ヒュー…って


「…」


聞いた事ないよ
意識も息もあるうちの人工呼吸なんて


「あ、これじゃあ意味無かね」
「こっ…こんな状況でボケないでよ!」


っていうか千里、事実の事実を知らないんじゃ…?


「独り言はもう少し小さく言わんと、聞こえったい」
「すいま…き、聞いてたの?!」

「聞いとらんよ、聞こえて来ただけ」

「…っ。どっちでも良いよ」
私が言いたい事は伝わったんだもん


仰向けになりながら大きく深呼吸する


「にしても千里がこんな思っててくれるとは。…正直嬉しい」
「別に妬いとったわけじゃなかよ?ただ金ちゃんが…」
「はいはい、分かったから」
こういう立場って新鮮だなぁ。
困ってる千里ちょっと可愛い

「う…何?」

背中を持ち上げながら見つめる
しかし今の自分は完全に無力だ、
上半身の体重は全部千里の腕に預けている状態で…

「今心ん中で何か思わんかった?」
「な、何も…!!本当、困った顔可愛いなとか…」

あぁっ!!思いっ切り言っとるがな自分!

「そう」
首を傾けながら微笑む
「そうそう!本当にすいませんでした…」
こちらも笑いながら返事をする

「そうだ、部活始まるよ。早く行かないと」
「この体で?」
「…行かなきゃ怒られるもん」


ギュッ





「行かせんよ」
「気遣ってくれるのは有り難いけど千里も同罪になるし」

「暫く抱かせて」

「どの道動けないんだけどね」
これはまさに人形に限り無く近い。
そもそも体が言うことを聞いてくれない


けどこんな抱き締められてる手前、
ボケーっと埋もれているのもどうかと思い、
さり気なく背中に腕を回した

「千里、本当ゴメン」
「もう気にしとらんばい、謝らんで」
「やっぱり好…」
ダメだ、恥ずかしくて言えない
「ん?」

けど今なら面と向かっているわけじゃないし
「す、好きだから」




えぇっ!何この沈黙




「語彙の豊かな千歳君だったら
こういう時さり気なく流すことだって可能なんじゃないの!?」

当人を見ながら半投げやり気味に糾問する

しかし目を瞑ったまま動かない

要するに寝たというわけだ。

―この場合私はどうすれば?


心地良い秋風が髪の毛を靡かせて顔を隠し
左耳のピアスが反射しながらちらついた


…痛くないのかこやつは



あ、実はマグネットタイプのとかだったりして…

黙ってるのを良いことに
右腕を伸ばして髪を掻き分ける

猫っ毛って言うのかな、こういう毛質って

「わ、貫通してるよこれ!」
「何が…?っていうか転た寝しとった今…」
「な、何でもない。ところでいつから寝てたの?」


「んー…好きってとこから?あれ、それは夢だったかな…」

普段あんな頼れる感じなのに
寝起きで惚けてる姿を見てしまった日には
思わず気管の辛さも忘れて顔を寄せた


「それ、現実」



、顔近い」
「だって、風に邪魔されて千里の顔隠れるし、うわっ」

飛びついた勢いで倒させてしまった

ゴンッ

コンクリートに打ちつけられた後頭部

「ご、ごめん…!!思いっきり打ったよね頭!
絶対たんこぶ出来ちゃってるよ…本当ごめん」

頭を抱えて必死に撫でる

「千歳、 !はよ行かんと白石が休み扱いにするって―」





「え、あ!いや違うこの状況はさぁ謙也!」
「大変や!!千歳が襲われとる!!」
無理もない。
体勢を崩した所為で今の私は馬乗り状態…。
ダメだ、完全に誤解される状況だ。

「助かったばい…」
「ちょっ…千里違うでしょ!?早く説明!!説明を!」
がそないに強かったとは…」
「うわ、誤解されたままだし、待っ」

バタン





クスクス

「意地悪!どうするの。絶対イジられる」
「あはは、ほら部活行かんと!」
「やだー!オサムちゃんに絶対女王様とか言われるもん!
休むー!帰るー!!」



駄々をこねてもやっぱり現実問題、力は劣るわけで
強制的に部室まで連れて行かれた



END





>>>コメ。<<<
最近寝るとか寝ないとかってネタ多いなぁ(笑
でも珍しく(?)千歳が怒ってるネタ。ヤキモチ妬いたらキュンとします(聞いてません
ピアスは開けてしまえばこっちのモンと言いますか(何
四天のことだ、面白がって茶化されるに違いない。
それも愛情表現の一つだ(た、多分



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