***カミキリムシ***
普通なのも良いけど
工夫するとより良い物が出来たりもする

―そんな話


カミキリムシ


「今日はどうしますー?」
「そうだなぁ。髪伸ばしたいから長さはそのままで…」


友達にかなり推され、オススメの美容室に来てみたけど

うん、確かに良い雰囲気だ。


何でも店長がイケメンだから絶対見て!!!
ってかなり念押しされたっけ…


っていうか話の八割店長の話だったよな…今思えば。



「あの、店長さんっていますか?」
「店長?あぁ、今ちょっと外出てるけどもうすぐ戻ると思うよ〜。
もしかして知り合い?」
「いや…友達がイケメンだから絶対見てって言われて」

「あはは、その友達えぇとこに目ぇ付けたなぁ!
確かに店長カッコ良いかもね」

「へぇ〜」
やっぱカッコ良いのか

雑誌を見ながらまったりと過ごす事数十分


ちゃん、店長戻って来たで」

「マジで!?」
どれどれ…ってハンターか私は


「あー!もしかしてちゃん?」

「はい?!」

まてまて、
私こんなイケメン(しかも結構年上)知らないんですけど

「聞いとるよ〜!!オサ…あ、マズいマズい。
言うたらあかんのか!ゆっくりしたってな!」

「は、はぁ」

おさ?おっさん?長?

「知り合いやったん?」
「いや…初対面です」
おかしいな


そして初めて訪れた場所で
この後ドッキリがあったなんて予想だにしない


店長は茶髪にシルバーメッシュをところどころに入れてて
肩に付くか付かないくらいのウルフカットで
ワックスで無造作にヘアーアレンジしている

顔は色白で優しそうな感じ。目は…奥二重かな?
サングラスしててあんま見えないけど



「うーん…」
「思い出した?」
「何て言うか…
似たような雰囲気の人が身近に居た気が…誰だ?」
「他人の空似ってヤツなのかなぁ?」

「じゃ、髪流すんでこちらどうぞー」
「あ、はいっ」

あぁ…首まで出かかってるんだけどなぁ…!!
モヤモヤする…誰だっけ…!





ガラッ

「おー、来たか!」
「え、店長の知り合いですか?この子」

来た途端数人の女性美容師に囲まれる一人の男性。

「せやなぁ。友達の知り合いってとこかな?」
「へぇー。」
「えっ、高校生?」
「いや、中学生です。中3。」
「中3!?思ったより若いなぁ」
「中学卒業したらお姉さんとデートしてー!」
「あ、狙ったらあかんでー?コイツ生意気に女居るからな」
「生意気にて…」
「えー!!」


何やら向こう騒がしいな
「何かあったんですかね」
「ん?何だろ、ここからだと見えないなぁ」


髪洗う時って白い布みたいなのかけられて
目瞑るから回りの状況って全然把握出来ないんだよね

かなり無抵抗だなと思うよ。

だからいつの間にやら人が変わってるだなんて
知る由も無いし
ましてや声は元の人が出してたら100パーその人だと思うじゃない

「お湯加減大丈夫ですかー?」
「大丈夫です」
「力加減大丈夫ですかー?」
「あ、はい大丈夫です」

「最近恋とかしてる?」
「私は好きだけど、あの人どう思ってるのかな。
あんまり口にしないんですよ、そう言うこと」
「意外に照れ屋なんやね」
「え?意外に?」

言うたらあかんやろ!
髪を洗う替え玉が睨む

「あぁ、なななんでもない」
「?」


「椅子起こしまーす」
「??」
声が急に男っぽくなったような…


「わーっ!?」


「照れ屋で悪かったな」

そこには
手をタオルで拭きながら
拗ね気味な口調で話す…


「蔵ノ介!?えぇ!?何どういうこと?」

「イッシーはオサムの教え子やさかいになぁ」
「い、イッシー?」
「白石だからイッシーやて…意味分からんやろ」
「えぇやん、何か幻の動物(?)みたいで」

ネッシーか?ネッシーのことなのかな

「ん?って言うかオサムって」
「ここの店長とオサムちゃん、飲み友達なんやて」
「はぁー!?あーそっか!!雰囲気誰かと被ると思ったら!」
オサムちゃんと被ったんだ

「で、ちゃんがココ来る事イッシーに教えたってわけや♪」
「イッシーに教えなくてもいいじゃん」
、お前がイッシー言うな」
「え、って事は髪洗ってたの蔵…ノ介?」
普通に丁寧で上手かったんですけど

「せやなードッキリや!めっちゃおもろかったで!
本人おんのに普通に話とって!!」
「バカ、そんな嬉しそうに話すな!!」

「おぉーあの子店長に向かってバカ言うとるで」
「凄い肝っ玉やなぁ」

「すみませ…っ!!何かオサムちゃんと被っちゃって
初対面の人にバカとか言って…!」
「えぇよえぇよ、これオサムに伝えとくから!
あーえぇネタ出来たわー」

笑顔で答える店長。


「えぇーっ!」
確実に遊ばれる


「って言うか乾かすのもやってくれるんだ。
何でこんな上手いの?まさかバイトしてる?」
「しとるわけないやろ、ちゅーか…この位出来るし」
「そうかなぁ。」
器用なんだな、この人


鏡越しに見える無言で髪を乾かす蔵ノ介の姿


「ん?」

「って言うかここ来た理由があるんでしょ?他に」
「…終わったらどっか行こうかなぁ思て。」

それってデート?
「でも部活で疲れてるでしょ?少しは休まないと」

「…から」
「え?」
ドライヤーの音で聞き取れなかったその一言。



”一緒に過ごしたかったから”



おおーっと。



「何!?何今何て言ったんイッシー!!」
「店長…何見てんですか。仕事して下さい」
「えぇなぁ…私も蔵ノ介君に囁かれたーい」
「あんな美容師にブローされたいよね」

注目されてる、いや注目され過ぎ
恥ずかしいな…もう

カチッ

「店長、終わったわー」
「お、お疲れさーん!ほな、イッシーあっちで待っとって」


あれ、これで終わりじゃないんだ
「この後デートなんやろー?ネタのお礼に髪セットしたるわ!!」
「あの、あれはネタじゃ…」

オサムちゃん同様、この店長も気さく過ぎて大丈夫かと思ったけど
どうやら腕は確からしい。


「わー、店長凄い凄い!!私可愛い!!」
しまった、あまりの出来映えに思わず可愛いって…


「ははっ、まぁ仕事やからな。ホンマ可愛ぇ可愛ぇ!」
「あ、ありがとうございます…」

「待たせたな!終わったで〜」
「あぁ…」













「参ったな」
「せやろー?」

蔵ノ介は美容室を出るまでそれ以外話さなかった



「また来ます、今度は友達と。」
「おぉ、楽しみに待っとるわー」

店長は最後まで笑顔で接客してくれるし
なんだかんだで良い人ばっかりだったなぁ。


バタン



外に出て暫く歩いてると
ふと指が絡んだ

「やっぱ手、大きいな」
「なぁ
「なに?」
「直感って大事にすべきやな」
「もしかして美容室に来て良かったとかー?」
勿論この一言は冗談で
何言うてんねんとかって返って来ると思ったのに

「そやな。がこないに可愛くなってんねんから」
「目、目合わせて言わない!」
「別にえぇやろ?思ったこと言うてるだけやし」

休日のこの街中で
今最も照れてるで賞があるとしたら
間違い無く私に決定だな

「街中やなかったら即行抱き締めたいんやけどなぁ」
「はい!?」
「あれ、嫌なん?」
「いやもうどうぞお好きに…」


あぁマズい。
ボキャブラリーが段々頭から溶けていく


何とも濃い一日だ。




xxx
オマケ

数日後の朝…

ー!聞いたで!!ドッキリ大成功♪
俺も見たかったわー。」

うわ、さては昨日の夜飲んだな!?

「なになにードッキリってー!」
「金ちゃんは知らなくて良いの!!」

金ちゃんに知られたら皆に知られる…!

さんの弱み知りたいですわー。」
「別に弱みじゃ…」
「あんなぁ、が白石に抱」


パコーン

先生と言うことを忘れ一発叩いてしまった
しかも校内に響き渡りそうな位大きな音
「話を誇張しない!」
「あぁぁ…二日酔いにかなり効くわそれ…」
「自業自得です」



END




>>>コメ。<<<
髪切りに行ってふと思いついた替え玉ネタ。
美容室の長は店長って呼び方だったかな、ちょっと不安(そこ?
白石が替え玉ってわかった時点でもう緊張しそうだけどね!(えっ



>>>モドル<<<
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