***気まぐれギャンブラー***
抜け落ちたアメピンと
錆びた宝箱


気まぐれギャンブラー

それはある日、いつもと違うなと思った瞬間だった


「なぁ白石〜」
「んー?」
「最近オサムちゃん、妙に元気やと思うねんけど…勘違いやろか」


部室で問われたその一言は意外やった

「鋭いな、謙也にしては」
「やっぱり何かあるんや?!…ん?」
今の言い方何や引っ掛かるなぁ…?

「オサムちゃんが元気な時って言うたら…
娯楽で儲けたか、彼女が出来たとか…コケシ入荷?」

「彼女やなきっと!いやぁ気になるわー!!」
…どっからその自信が?


「よし、尋問や!職員室行くで!!」
「嫌や、面倒やし…」
「気になるやん!写メ見せて貰おう〜!」
「せやからまだ決まったわけじゃ…」


聞く耳持たんで先に行ってしもた…


xxx


「オサムちゃん!!」
「どないしてん、そないな満面の笑みで…」
「いやぁ〜最近元気やろ?せやから彼女でも出来たんかなぁ思て」
直球過ぎやろそれ

「謙也にしては鋭いなぁ♪」
「それ白石にも同じこと言われたんやけど」
「クスッ」
「あー!何笑てんねん!!」
「スマンスマン、続けてえぇよ」

「せやけど想像出来んわ〜」
「いや、多分かなり普通やで」
「説得力無いわ〜」

確かにな。
言うてる本人が適当過ぎるし…

「せや!学校終わる頃に来る言うてたから紹介したるわ!
それやったらえぇやろ?
さぁ青少年達ー早う準備準備〜」


「逃げるのなしやで!追いかけるからな!!」

「…敵わんわぁ〜」



と言うわけで最近機嫌が良かった理由が分かった上に
本人を見ることが出来るっちゅーわけや。
まさに一石二鳥!?


「…」
謙也何ニヤけとるんやろ



xxx
「えぇ!オサムちゃんの彼女?!」

相変わらず良い反応をする副部長…こと小石川。

「流石イッシー!えぇ反応やわ〜」

ちなみにイッシー=小石川

長い言うてニックネーム付けたん、確か小春やったっけ

「って、俺心中で誰に説明しとんねん」

「白石はん、具合悪いなら保健室に…」
「え?いや、大丈夫や。ちょっと独り言…」



そして…謙也が話題にしていた人物は意外にも早く遭遇することになる


xxx


「懐かしいなぁ、この雰囲気」

高校入ってから
髪染めて
若干化粧もして

(…中学生よりケバくなったとも言うか)


「みんな気付くかなぁ?」


テニスコートに向かう途中で見覚えのある顔を見つけた

「謙…」
いや、面白そうだから黙ってよう


「でなぁ!その時たこ焼き食べられてなぁ!」


あれが金ちゃんかな?
何か小さくて可愛いなぁ


「あ」

目が合った

うろたえるな私!
笑顔で挨拶!!

「こんにちは」

「こんにちはー!!」

「お、元気だねー。頑張ってね部活!」







「謙也〜?どないしたん??」
「いや…別に…。」
あの声聞き覚えあるんやけどな…あー!誰やったっけ!?



xxx


「やっば…流石にバレたかな…」


そそくさとコートに向かう

お!やってるやってる!!
「レギュラー陣は相変わらずって感じだなぁ…ん?」

あれ!?九州の千歳君?!
「他人の空似?いやいや、
あんな背高い美形そこら辺にほいほいいるはずが…」

パコン


「いた!」

「来るん早いわ、焦るやろ」
「オサムちゃん!」
コケシで殴るとは…!
「あれ、先輩」
「白石!懐かしいなぁ。
流石に気付くの早いな、謙也は気付かなかったのに」
「分かりますよそりゃあ…て、オサムちゃんの彼女ってまさか…!?」
「せや〜♪」
満面の笑みで答える姿を見る限り遊び半分では無さそうだ

「仲えぇなぁとは思っててんけどそないな素振り
…しかも峰里先輩好きや言うてませんでした?」
「だって隠してたし。
私絶対無理だと確信してたから
卒業までは仲の良い生徒でいたかったんだ。
峰は友達として好きだっただけ!今かなり痩せたみたいだけどね」

「最初ドッキリやと思ったけどな。
まさか本気でこないおっさん好きになるなんて若いのに勿体無いやろ?!」

「ましてや可愛ぇのに」

「相変わらず口達者だなぁもう…
…ところで、コートに立ってるのって九州二強の千歳君?」

「お、目ぇ付けるん早いなぁ。せやで〜」

「やっぱり…!あんなスラッとしたイケメン
早々いないから…!話しかけたいけど迷惑かなぁ」
「まだ始まって無いんで大丈夫ですよ」

「よし!」

白石の一言を皮切りに一目散にコートへと向かって
声を掛けてみることにした


「千歳君」
「…?」
聞き覚えの無い声たい…誰やったかな



「わ、整った顔」
「えっ?」


しまった、つい感想を…!



「私今年卒業したんだけどここのマネやってたんだ〜!」


「今は俺のマネージャーやけど…な」


「…あ!オサムちゃんの彼女って…元生徒!?
ばってん…何で俺の名前を?」

「九州二翼の千歳君と橘君は有名だったから!
二人共カッコ良いし」

「いや、桔平はともかく俺は…」

「謙遜しちゃって!
…そう言えばあの生意気少年見掛けないけど」
「遅刻の常習犯やから…財前は」


「まだ直ってないのかぁ…ねぇオサムちゃん」
「んー?」
「部活見てても良い?」

「えぇで。どの道帰れんしな」

「じゃあベンチー」
「あ!半分やて!足腰辛いんやから」
「はは…おっちゃんやな完璧」



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「うっそー!?あれ先輩?ちゅーか何でオサムちゃんやねん!?」
お、謙也良い反応だ
「余計ケバくなってますね」
財前…変わらないなこんちきしょう


「先輩とは言え…話題取られて悔しいわ!」
「大丈夫や!小春がいっちゃん輝いとるで!!」

この子らも調子変わらないし…

「…変わったのは実力だけか」

「そうでも無いで、なんやかんや言うても
アイツらはアイツら並に成長しとんねんで〜?」
「うーん…そう言われると成長して…」

この時すっかり油断していて前方のボールに全く気付いていなかった

「小春!やり過ぎやろ!!」
「そうですわ〜。先輩なんやし…あれでも」

「…無い!ちっとも成長なんてしてないわ!!」

額にクリーンヒットして落ちたボールを拾い上げ
思い切り投げ飛ばす

「…」


「わ、銀さん!ゴメン!!」

「あはは、銀の頭角みたいや〜!!」
「ゴメン!大丈夫?」
金ちゃん恐いもの知らずだな

「この銀、やられた場合はやり返…」
「さない!あぁもう二人して…」

は変わっとらんな」




「…確かに」


「白石まで何笑ってんの?」

「いや…何でも無いです」

「?」




xxx

「やっぱ良いなぁ、中学校」
「そうかー?」
「まぁ…知ってる人がいるってのが殆どだけどね」








〜」
「ん?」



「これからどこ行こか〜?」
それはあまりにも唐突過ぎる質問だった
「い、今から?!」

「今からや無いと意味無いねん」


私には"今から"の意味が全く分からなかった
…と言うより有り得なさ過ぎて考えてすらいなかった




「悩んどるやろ、話聞かなぁ〜」

「…」
ギャップがあり過ぎて予測出来無い教師って嫌いだ

「鋭いなぁ。それって先生だから気付くんでしょ〜?」


「ま、職業柄っちゅーのもあるけど」



まだ腫れの退かない額に唇を当てながら付け足した


の近くに居るから…って方が強いかもな♪」



「…やっぱ嫌いだ」
「えぇ?何やねんその結論!?」


「だって私にはまだ読めないもん。なのにオサムちゃんは―」


「年の功や!年の功!!」

「あ、そっか」

「って、少しはフォローしたってや!…帰ろかなぁ」
「あはは、ゴメンゴメン、拗ねないの!!
あーお腹減った!行くよほら〜!!」


「ホンマに…世話の焼ける生徒やなぁ」


そう呟きながらエンジンをかけ直して
車はまた走り出した


END




>>>コメ。<<<
白石達の一コ上設定。
彼らの態度は一年前も威風堂々…だったはず!(妄想)
峰里先輩が気になる方は
四天企画部屋のガソリンスタンドの恋を覗いてみよう!(うわ、ムカつく言い回し



>>>モドル<<<
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