***無理数***
明日どうなるかなんて誰も知らないし
天気予報だって100パー当たるわけじゃない
―要するに表現出来ないわけだ



※無理数


「せやからここの問題はそう解くんや無くて…こっちの式で」
「あーそうか…!」


精神的には今めちゃめちゃ満足してると思う


しかし。




今日解けなかった問題を
わざわざ図書室にまで呼び出して教えて貰うのって…
どうなんだろ、物凄い迷惑じゃない?



「ありがと、助かった〜!
呼び出してゴメンね、じゃ!部活いってらっしゃい!!」

「何や随分あっさりやな」
「そう?」



…よし、これで機嫌悪くならない(はず)



そうして彼は図書室を後にしたわけだ


さてと、残りの宿題やって帰ろうかな



…一緒に帰るの嫌がるもんなぁ…。

何でだ!?そんなに私が隣りに居るの嫌なのか!?



無意識にノートの上に書かれた
"不満"と言う言葉




その言葉諸共腕で隠しながらふと考える



接し方が分からない





…いや、恐いだけなのかな













「何、誰…って、あー!!寝ちゃっ…」

起こし主は人差し指を口元に当てながら
ここがどういう場所なのかを諭した
「しーっ」

「す、すいません…」

それに付け加え、
私は目の前に何故この人が居るのか疑問で仕方が無かった

「あの、何故に千歳先輩が?」

「図書室に来たら変?」
「いや、そんなこと無いですけど…」

「本、返しに来たら 堂々と寝とるから」
クスッと笑いながら会話を付け足した

「…流石財前の彼女ばいね」
「えぇっ?!」

「にしても数学のノートに不満って」
「いや、これは別に…!」

そう言われると急いで消した


千歳先輩は居るだけで空気が和むな…何でだろ


「と言うか先輩、部活は?」
「んー、そっか。もうそげな時間やった?」
「…ルーズだ」
これは部長大変だなぁ、絶対
「何ね?」
「な、何でも無いです!」

「じゃあ勉強頑張ってな」
「はい、有難う御座います!」
「寝たらいかんよ」
「…はい!有難う御座います…」



「…」



集中力が一気に吹っ飛んだ




「こうなったらもうガチで話し合おうかな」


考察力より行動力が優先しがちな私は
部活が終わった後、図書室に来るよう光にメールを送っていた


本の整理をするからと先生に鍵まで貰った。
まぁ、図書委員長の特権だ



xxx


「もう、一巻からちゃんと並べて欲しいわ」
意外に難航する図書整理


しかも棚の一番上まで手が届かない為に
届く範囲までの整理という何とも中途半端な仕事っぷり。


そして事件は起こる


「あ、これは背伸びしたら届くかも」




なんて甘い考えがいけなかったらしい


「いたたた!」


本の雪崩に巻き込まれる始末



「…あーぁどうしよう」



と七人の小人
…いや、七人どころの話じゃ無いし
小人なんて可愛さも無い分厚い本ばっかり


「イス…ん?」



…足首が痛い




「立て!足!!」


…痛い




これは所謂…捻った系ですか。

とりあえず必死にイスまで向かいながら考える
地面這いながら歩く姿はまるで幽霊みたいだ

「…落とした本どうしよう」


「四天宝寺七不思議、図書室の女」

点いてた電気が消えた


「ぎゃぁ!!七不思議!?」


パチッ




「何やっとんねんて …」

「光!急に電気消さないでよ!!ビックリするじゃん!」

「驚かせとんのどっちやねん。地面に這いつくばって…」
「足痛くて立てないの!
あ、そうだ。奥の本棚倒しちゃって。並べてくれない?」
「は?何で俺が…」
と、渋々言いつつも奥に向かおうとする光



さり気なく私を抱えてイスに座らせた後に―

「さり気なさ過ぎ」


「適当に並べちゃダメだからね!」

「口ウルサいな…」
どうせこっちまでこれへんやろ。適当に…

「3と4逆!」
「…何やねん、足引き摺ってまで」
「ちゃんとやらないと落ち着かないんだもん」


そんな言動を受けたからか、意地悪く足を軽く叩いた

コツッ


「っ!!」
…くぅ〜!コイツ…!!

「いつもより部活早う終わったから
ゆっくりパソコン出来ると思ったのに…」

「やぁいインドア」

「…も一遍叩いたろか」
「止めて、すいません…!」


重たい辞書をいとも簡単に片付けて行く
流石男子。



床に散乱して居た数十冊の本はあっという間に無くなっていた


「ありがと、助かった」
「でしゃばり過ぎもあかんで」
「すいませんでした…ん?」



…この人本当さり気なさすぎる



「良いよ、肩だけ貸してくれれば!っていうか重くない!?」

「めっちゃ重いわ」

「いやぁ、そんなこと無…ってコラ!正直過ぎ!!」

「学校閉まる時間に怪我しよって、勿体ない」
「え、何で」
「授業中やったら堂々とフける理由になるやん」
「そっかぁ!…じゃなくて、もっと素直に生きなさいって」

「ずる賢い事のどこが悪い?」
「わ、悪くは無いけど…」



当たり前な話だけど
人の背中って温かいな




ふと
『ずっとこのままだったら良いのに』何て考 えが頭を過ぎる


「捻挫万歳」
「は?… 頭まで打っとったんか」
「私今何か言った!?頭打って無いし!」

「捻挫万歳て…」
「あぁ…だって、捻挫しなかったらこんな体験出来なかったもん」
「出来なかったもん」やないわ、全く…えぇ迷 惑や」

「そう言えば、私が呼んだ理由なんだけどさ」


言っておいて今更我に返る。



…さて、どこまで正直になって良いものだろうか

「どこまで正直だったら許してくれる?」
「…どこまで?まさか浮気どうのって」
「違う違う!何て言うか、
例えば図書室で勉強してた時も本当は一緒にいたかったりとか、
歩きたくないとは思うけどたまには並んで帰りたいな、とか」

「例えばっちゅーか、それ具体的な話やろ」
「た、例えばなの!!」

「まぁ、その喩え話に答えるんやったら…」

…答えるんやったら!?

「…」



沈黙が長く感じる

その続きが
"不満"の答えだから…!
早く言ってくれないかな


「あ、家着いたで」
「い…えぇ!?」

何てバッドタイミング!!


「ほな、ちゃんと手当てするんやで」

「うん、手当てするからさっきの答え教えて」


目を見て必死さをアピールする

その眼力に負けたのかやれやれと頭を掻きながら光は口を開いた



「甘えられるん、嫌いや無いで」


そう言うと頭を二三度軽く叩きながら去って行った











「って、ちょっと!」

?あんた玄関先で何やってんの」
「あ…いや何でも…た、ただいま…」



END




>>>コメ。<<<
光に甘えられるん嫌いや無いでとか言われてみたい(推しますよ!)
ほのぼのしい。
ほのぼの甘みたいな(そんなジャンルありましたっけ)
不器用な感じが好きです(※聞いてません)



>>>モドル<<<
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送