***Transparent rabbit***
灰色の景色
戻りたくない過去

我侭な携帯電話


Transparent rabbit




その日は泣いていた


笑っている顔が印象的だった分
インパクトは物凄く強くて―


「どないした?…」
気がつけば俺は問い掛けていたわけで

「ね…っ」

どうやら話すことも出来ない程泣いていたらしい
と、目に入ったのは道端に倒れている一匹の猫


「轢き逃げ、されちゃったのかな…」
「…」

正直、何て返せばえぇのか分からなかった。
猫飼ってるからが泣く気持ちも分かる

せやけど

俺は知らない猫の為に泣くその姿に惹かれていた


「埋めに行こか、見晴らしのえぇとこに」
「え?」
「色んな世界、見れなかった分。
大阪にはこんな場所もあるんや、ってな」
「…ん」


持っていたタオルを捲いて
見晴らしの良い公園まで足を運んだ




xxx


「白石、ゴメン。」
「はぁ?何が」

埋めた後
は既に落ち着きを取り戻していた

「いやその、巻き込んじゃって。」
も泣くんやな」
「ぜ、全然泣いてない、し…」
「説得力ないな。目真っ赤やで」

「う…」


「この風景、見れとるかな」


「…」
切なそうに呟いたその一言が
私には物凄い印象的だった

いつもはあんなに大人びてる白石が
純粋にこの猫のことを考えてて
疑問をぶつけてて


「白…」
「ちょっと包帯替えて来るわ」
「あ、うん。」


何考えてるんだ自分!
何言おうとしてるんだ全く


白石には彼女が居る。



物凄い確率だろうな、とつくづく思う。
彼を好きになる女子は沢山居るわけだし。

一方私はクラスで彼の隣の席に居るだけ

それ以下でも、それ以上でもない




「スマンな。ほな、帰ろか」

そう言って公園を後にした




「って言うか、彼女と一緒に帰らないんだ?」
「あぁ、今日は時間合わなくてな」

「なるほど」
彼女は毎日のようにこの位置で歩いてるんだもんなぁ
手とか繋いだりして…おっと!妄想が行き過ぎた

「笑っとるイメージ強いからちょっとドキっとしたわ」
「あはは、そう?」
「ギャップに弱いんかなぁ」
「あまり良いギャップとは言えない気がするけど」


「あれ、千歳や」
「白石…と、?目真っ赤やけど何かあったとね?」
「えーと、そこで野良猫が轢かれてて…」
私はカタコトながら経緯を説明した

「そっか」
「ほな、また明日な」
「ありがとう、白石」
「えぇって。俺も猫好きやから」


xxx



…何考えとんねん、自分

俺には好きやって思う相手が居る。
それに、は千歳の彼女


只、あの泣き顔が頭から離れんで
ずっとループしとるのは何でやろか

「あかんわ、忘れよ…」


xxx



「千里こそ、どうしたの?」
「たまたま白石の彼女に会って、
買い物帰りみたいやったから荷物持ちしとって」
「そう…」
偶然だなぁ
何か入れ替わってるみたい。

そう言えばテレビでやってたな。
カップル入れ替えて、
違う環境ではどうなのかみたいな番組。


「ねぇねぇ、白石達とカップル入れ替えしてみない?」
「え?」
「明日土曜だし、土日で入れ替えてみるみたいな!」
「ばってん…白石達がOKするかどうか…」
「千里はOKってことね?!よし、ちょっと電話してみて!」
「別に、何とも思ってない相手だし良いけど…」

と、言いながら白石に連絡を取ってくれた

「おもろそうやな、確認してみるわ」

確認は意外にあっさりと取れたみたいだった

「良いって」
「じゃあ、明日明後日はチェンジってことで
多分白石の彼女が千里の家に行くと思うから」
「了解。…寂しくなるばいね」
確かに…寂しいな。
会えない上に別の子とデートするんだもんなぁ…
って、それは白石も一緒か。

千里はしゅんとしながらも
ギュっと抱き締めて額にキスをした後、
暫しの別れを告げた



こうして、土・日二日間の彼女交換が始まったと言うわけだ。



続く





>>>コメ。<<<
おっとまさかのらぶチェンネタ(若干マニアック
白石の彼女、何て名前に設定しよう。悩
白石編、千歳編って別々に書こうと思ってます。
なびきそうな雰囲気?(疑問系ですか
他も書いてみたいな(え
無事に何事も無く終わるのか!?(その終わり方好きですね



>>>モドル<<<





◇◆1日目◆◇


午前11時 起床



午前…11時?!


「ヤバい、普通に遅刻した!」


急いで寝癖の付いた髪を洗い、
適当に私服をチョイスして私はいつもと違う男子の家へ向かったわけだが…


「一時間遅刻は怒るよなぁ…あぁ恐いよ…」

若干震えながらインターホンを押す


…いっそ留守の方が…とか思いながら
短いようで長い沈黙の中ドアの前に立つ


「寝坊?、だらしなか」
相手はしれっと無表情で自分を見下す
「ゴメン!本当申し訳無い…」

普段笑ってるイメージしかないから恐いなんてもんじゃないよこの状況



ところが相手はすぐに表情を変えた


「はは、恐かった?」
「へ?」


「そげなことで怒るわけなかね、こっちもまったり過ごしとったし…?」

一気に色んな糸が切れてしまい思わずその場に座り込んでしまった


「本気で恐かった…」
「すまんすまん、何か緊張しとったからつい」

担がれながら他人の家にお邪魔するのは人生で初めての体験だ


千歳は目に涙を浮かべるくらい笑っている
「そ、そないに笑わんといて!」

「だって…あははっ」
財前は悪魔の顔した悪魔だとするなら
千歳は天使の顔した悪魔だなと痛感した

五分後、
どうにか落ち着いた千歳が思い出し笑いしそうになりながらも話し始める

「どこか行きたいとこある?」
「うーん…休みの日ってあんま出かけないんだよね〜…」
「じゃあ今日は家で過ごして、明日出かけようか」

流石だな、A型なのに迷いが無い

「賛成ー!あ、私見たいDVDがあって…」
「何系?」
「ホラーなんだけど…ほら、一人で見るの恐いじゃん!?」
「…そ?」

チキンですいません
心の中でそう呟いた




と言うわけでDVDを借りに行くことにした


xxx
一方その頃




「む、無理無理…」
何やってんだ自分


「我慢せぇ!あと10回!!」

「く…クラーズブートキャンプでも言いましょうか…」
それにしてもなんなんだこの人のサディストっぷりは!

「私語厳禁!」
「はいすいません!」


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「に…肉体改造に巻き込まんといてくれませんかね、白石君」
腹筋が既に筋肉痛だ


「せやかてが最初に
『あ、これ一回やってみたかったんだ』とかノリノリで言うたからやん。
やるからには生半可な気持ちでやったらあかんやろ」

「…健康オタク」
私は思わず口に出してしまっていた
「今何か聞こえたんやけど」

「え!?私には何も聞こえなかったなぁ〜…」

「…この口やろ」

頬を抓りながら淡々と確認する

「女子は顔が命なの!」
抓り返しながら答える
「…小春みたいなこと言うなや」

頬から手を放すとそう言い残し部屋を出て言った


とりあえず健康用品の他に部屋に置いてある物を見回した

男子の割には片付いてる方だと思われる。

参考書、テニス関連の資料
オフホワイトのノートパソコン
透明なチェス一式

謎の観葉?植物
…まさか毒草じゃないよね


ツーショットの写真飾ったりとかしてないんだ〜…

そう言えば千里も家族写真位しか飾ってなかったな。


そしてベッドの上に少女漫画

キラキラした表紙が印象的だ

「白石ってこういうこ…」

あらぬ方向に妄想を膨らましているとタイミング良くドアが開いた

「それ妹のな」
「え?あ、うん、知ってる知ってる!」
「目、泳いどるけど」

「…いやぁ、白石のことだろうからこの漫画を再現したりしてるのかなって」
「人をどんな目で見とんねん…」

「それは冗談だけど、ここ読んだ?」

「どこ?」


少女漫画には読んでるこっちが凄い照れそうになる表現があったりするわけで。




「…なぁ、これからは俺だけ見とって?」

「…」
私は思った


関西人に関西弁の入った少女漫画を(いやむしろ白石に)
読ませるのは危険過ぎる、と。


「はは、ありえへん〜!?」

「うん…すいません、ちょっと今白石に惚れそうになった」

「…はぁ?」

「いや、未遂です。私は千歳君が好きなんです」
気持ち悪いくらいに念じる
「…俺は昨日のが泣く姿に惚れそうになったけどな」

「はい!?」


、こんな人の彼女なんてあんた凄いよ

xxx

「あーダメ、恐っ」

主人公が古びた洋館の書斎に入ろうとする場面。

絶対何か出るに違いない!

思わずクッションで顔を隠した

、折角面白いとこなのに…あ、首筋に青白い手が…」



急にひんやりする項


「ギャー!!出たー!!!」

見えない中急に立ったもんだから
膝小僧はテーブルにぶつけるわ
心臓は止まりそうだわでもうてんやわんや…



クスクス



俯きながら背中を震わす千歳


「え、笑て無い?笑てるよね??」


相手は笑い声を必死に殺しながら何度も頷く

「…何で!?」


「だって、まさかこげん驚くとは…!」


細長く真っ直ぐ伸びた指


また騙された!


「もー!!千歳ってそんな小悪魔キャラやったっけ!?」


ペチペチと頭を叩く

「小悪魔だなんて、そんな物騒な…」

うるうるした瞳で立ったままの私を見上げながら訴える


…か、可愛いんですけど!

こんな身長ある人可愛いって言うのもどうかと思うけど


って凄い人見つけたなぁ」


「え?」
「いや何でも!独り言…」



知らない間に映画はかなり進んでいた


続く





>>>コメ。<<<
おっちょこちょいで正直な ちゃんと
マイペースだけどしっかりものな ちゃん。

書き分けが出来て無くてすみません…(反省)
間違っても女の子女の子した感じのキャラは私には書けませんでした…orz
小悪魔な千歳…キュン(何ですか



>>>モドル<<<





テレビでは泊まるとかって企画だけど
流石に泊まるのはマズいだろうってことで
各々、1日目は夕方にそれぞれの家に帰ったわけだ。

ちなみにその間の彼氏への連絡は一切禁止。

「…話したいなぁ」
ダメだダメだ!携帯なんていらないもう

手に持っていた携帯をソファに放り投げた


xxx
◇◆2日目◆◇

午後13時 とある公園にて

「今日は天気よかねー。」
大きな伸びをしながらまったりと歩く千歳
「そうやね」

「あ、つまらん?映画でも見に行く?」
「え?ううん!全然!!何かまったりしちゃって。
こうやって公園歩くのなんて久々だなぁって」
気も遣えるやなんて、なんて素敵やの!!

「俺、こうやって散歩するの好きだから
よくとも公園来るんやけど…」

突然しゅんとした顔をして会話が止まった
「来るけど?」

「やっぱり…つまらんのかな」
「…くすっ」

?」

「いやー千歳本当見かけに寄らず可愛いよね!
何かナイーブっちゅーか、心配性っちゅーか!!」
「えっ!?そ、そげんことなか」
「そうやのー!!そない背ぇ高くて大人びとるのに人の事ばっか心配して
がうらやましいわー!」

千歳はホッと肩を撫で下ろすとまた歩き始めた

「白石はどげんね?」
「んー、普通・・・やないわ。怒らせたら恐い」
「ははっ、確かに」
「千歳はに怒ったりせんの?」
「するする、時々な」
「そない温厚やのに?」
どない時に怒るんやろ?
「勉強教えてって自分から言うとったのに
開始10分もしない内に寝とったりとか」
「あはは!それは怒って当たり前やな!らしいわ!!」

xxx
「っくし!!」
「風邪か?」
「いや、嫌な噂されてるんだきっと・・・っていうか白石、次行かないの」
「まだ説明終わってないやろ!えぇか、ココ出たらテストするからな」
「えー!?やだ」

白石と一緒に向かった先は植物園。
エリア毎に分かれていて1種類1種類物凄い丁寧に解説してくれる為
最初のエリアからなかなか先に進めない

は答えられるの?」
「せやな・・・全部は答えられへんけどまぁ大体な」
「いつもテストさせてるわけだ」
「ちゅーか、もし答えられなかったら・・・あ、まぁそうや」
「え、何!?」
答えられなかったら一体どんな目に遭ってるのは!?
「はは、秘密」

・・・余計恐い

「うわー、変な形の植物ー。ウツボカズラだって」
「それ人喰うんやで、ほら溶けるで〜」
と、言われ軽く押される
「うそ!?ギャー!ちょっと押さないで!!混ぜるな危険!(?)」
「うそや、食虫植物ではあるけどな」

「・・・白石!!」

私は真面目に半泣きだった


って千歳と付き合うってより謙也とかの方が合いそうなイメージあるよな」
「何を唐突に」
「ほら、千歳って変に落ち着いとるやろ?せやから」
「む、私だって落ち着いてるでしょー?」
「え、あ・・・まぁ・・・」
「あからさまにどもるな!!でも・・・何で私で良いんだろうね」
「天真爛漫なトコが逆にえぇんやない?俺も好きやで、そういう性格」
「て、照れるな」
「せか?」


ふと上を見ると青空が広がっていて
植物園から見えた雲は猫の形をしているみたいで

ふと、一昨日の猫の事を思い出す


「この花は・・・って、聞いとる?」
「うん・・・って、えぇ?まだ説明するの!?」


こうして、0泊2日の交換生活は幕を閉じたわけで・・・?

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その日の夜、千歳の家にて。


「楽しかった?」
「うん、学校で見る白石とは全然違って」
・・・白石に惚れたと?」
「えへへ、惚ーれーた!」
「えっ」


沈黙


「せ・・・千里?凹んじゃった??冗談・・・」

俯いたまま低い声で私の名前を呟いた
「は、はいっ」

顔を上げてニッコリと笑って手を握る

「一つ、楽しい事教えてあげる」
「楽しい事・・・て、それ本当に楽しい?」

千里は静かに頷いた

「白石ん事なんて微塵も思い出せん位、楽しい事」

・・・微塵。少したりとも。
「あ、そうだ私用事があったんだー!帰らな・・・」
「用事?」


私は悟った。
もう何を言っても帰れない



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一方は電話にて・・・

「え、植物クイズの罰ゲーム教えなかったん!?」
私の苦しみを少しでも知って欲しかったわ
「別に教えんでもえぇかな思て」
「まぁ・・・間違える毎にキスなんてアホな事考えるん蔵ノ介しか居らんやろし」
、今なんて?」
「・・・は!?何も言うてへん、こっちの話しや!」
ヤバい、口に出てしもた

「せか、何でも無いか。俺に向かってアホとか言うわけ無いよな」
「ないない!!」

「せやったら、来週は植物園でえぇよな」
「も、もちろん」


結果的に、白石も千歳も下手な事を口走るとそれを上手く利用するわけで―



翌日…
「ねぇ、白石の植物クイズに答えられなかったらどうなるの?」
「それがな、一問間違える毎にキ」
「おはよ。
「おはよう白石…で、キ?」
「キ?キって何の話しとったん」
、後でメールするわ!!ほな!」
「あ、ちょっと!?」


後から来たメールを見て私は二人の面白いゲームに驚く。

「へぇ…」
「うわ、千歳さん!?いいいつの間に」

背の高い千里からは携帯画面が安易に覗けるわけで。

「…そして無言で去る!?ちょっと!!」



END






>>>コメ。<<<
こんなにさっぱり終わるんだったら早く更新すれば良かった…!(orz
何はともあれ、何事も無くて良かったような、あったような…
千歳は絶対何か企んでるんだと思います笑



>>>モドル<<<
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