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声が聞きたいから電話をかける

会いたくなったから会いに行く

そんな本能の赴く侭生きる当たり前の日常が羨しく思う



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とにかく自分の好きなように生きて行きたかった

何に縛られるわけでもなく、自分の好きなように―



せやけど、それは無理な話やった


「ねぇ、オサムちゃん」
「んー?」

「何で先生になろうと思ったの?」
「…何で?」

「そうだよ!だって髪も金やし、ギャンブル大好きやし」

この質問がいっちゃん苦手なんやろな、自分

「なーんでやろ。なりたかったからなったんちゃうかな…」
「えー!めっちゃ曖昧やんそれ」

まぁ、こんな感じのリアクションして別の話に移る。
大体中学生なんてそない深くまで考えへんやろ。
俺もそうやったし。







「本当になりたかったんだね」


…ある一人を除いては。



「…何が」
一瞬言葉に詰まった。いや、マセガキなら沢山見とるつもりやけど…

「本当になりたい夢って理由とか無いと思うんだよね、私」
「…」
「何か本能っていうか!」

ようやっとピンと来た

「そう言えるっちゅーことはにも夢あるんやな」
「まぁね、二つ」
「二つ!?欲張りやん!」

「一応分かれてるんだよ?
一つは自分の夢だけど、もう一つは相手がいないと叶わないんです」

「…結婚か」
相手がとか言うたらそれ位しか考えつかへんわ

「ピンポーン♪と言うわけでオサムちゃん、
卒業したら結婚を前提に付き合って下さい!」

「いやいや、意味分からんて!」

「そう?私は本気なんだけどな」

「おーきに、気持ちだけ貰ておくわ」

頭を撫でてその場を去る。
結局オチはいつもと一緒や、変化はない

「先生は誰が好きなんですか?」



しかし教室のドアに手を掛け、廊下に出ようとした時やった


「先生は…一体誰を見てるんですか」


「―変わった質問すんねんな」


「っていうか…何となくだけど、好きな人がいるんじゃないかって。
それは私とかじゃないんだろうけど、何か気になって」

隠せないような気がした。
せやから、気がつけば口の方が先に動いてたっちゅーわけで。
「…例えば、やったら両思いやって分かった場合どないする?」

何を唐突にって顔しながら当然の答えを返す
「付き合う」
「せやろ。…教師って確かにえぇと思うけど、辛いのかもな」

「意味分かんないよ」
「分からんでえぇねん。分からん方が。ほら、早う帰りぃや〜」


あかんわ、余裕無い



xxx


この話はどうやら終わらんらしい





xxx
その夜、一通のメールが届いてハッとした


"オサムちゃん、
私卒業したらもう一回プロポーズしても良いかな?
ちょっとは可能性ありそうな気がするんだよね〜。
"


何て返せばえぇんやろ。

メールやったら残るしなぁ…


メモリーからの番号を探す



三コール目



「もしもし、どうしたの!?まさか早くも失恋報告!?」
「メールやと残るからな、今近くに誰も居らんか?」
「え?うん…部屋だけど」
「さっきのメールで一個訂正があんねん」

「…訂正?」



「…プロポーズ、されても良いかな、っちゅーことで。ほなまた明日」
あーぁ、言ってもーた。





「わ、待って!!切るな!」

「何、不満?」

「じゃなくて、その。えーと何て言えば良いのかなぁこういう時…」


散々言葉に詰まった挙句…

「忘れないでよ?」


それは何ともらしい一言やった


「…多分な」

「え!嘘!?私忘れないからね!」

一方的に電話を切られ、
この後から暫くと接する機会は無いに等しかった

別に避けていたつもりは無い

ただ、
日に日に増して行く自分の欲求みたいなんが恐くてしゃぁなかって…




xxx
そう、それから三ヶ月が経過していた



卒業式当日



「卒業おめでとさーん♪」

はぁ…卒業式やからって序盤飛ばし過ぎたわ、めっちゃしんど!
―歳かな…
朝から一体何人…何十人の生徒と写真撮ったんやろ?


「オサムちゃんのスーツヤバいんやけど!」
「何かマフィアみたいな!!」
「いやいや!マフィアあかんやろ!!先生やろ?!」


白地のYシャツに黒いネクタイとスーツ


帽子は流石に被らず
無造作な髪を後ろで束ねて

相当疲れているのか学校の裏庭で携帯灰皿片手に煙草を吸っていた

「喫煙場所、少な過ぎやっちゅーねん…」


「…」
あーぁ、やっぱ忘れちゃったのかな


証書入れを天に翳しながら
誰も来ない木陰に寝転がって色々考える


「卒業したぞ、ばーか…」


三月とは言え風はまだ冷たい




ふと携帯が鳴った
友達だ

?どこ行ったん!?
これから二組の卒業パーティするって言うてんのに!」
「あぁ、ゴメンゴメン!今行―」



風向きが変わったらしい。

煙たそうにする相手をあざ笑う

って、俺そない攻撃派やったかな?


、携帯切り」

「けほけほっ……あ、えーと今行く!じゃね!!」


…何故か言われるが侭に電話を切る


「オサムちゃん、カッコ良いね」
馬子にも衣装?



「んなことどうでもえぇねん、良かったわ会えて」

「…」



「おじさんのこと好きになってもーたって気持ちは」
「まだありまくりです」
人に言われると傷付くくせに
自分で言う分には良いんだなぁ…おじさん。




ペースに巻き込まれそうになったものの、
一呼吸置いて約束の言葉を告げる





「結婚しよか、考えるんは16になってからの話やけど」






「良いの?こーんな若い子で」
「えぇやん、社会に染まってない方が色々教えられるし♪」
「…」
色々って何だろ

「ほな、また後で連絡するわ。早クラス戻らな心配すんで」
「う、うん」
って言われても実感わかないんだよなぁ。


短いようで長かったこの期間…
そう思った瞬間思わず相手を抱き締めた

「!?」
「本音言うと、気持ち伝えたくてしゃあなかったんや。
けど、それはあかんて意味分かるか?」
「分かる」
「まぁ、先生嬉しいわーっちゅー話や!」
「こう言う時だけ先生とか言うんだから」
「ははっ」


段々小さくなって行くの姿を見ながら
何でこないタブー犯したんやろなんて考えてみる

せやけど、やっぱり最終的に辿り着く場所と言えば
好きやから…なんやろなぁ。




END

>>>コメ。<<<
はい、私の大好き(?)な元生徒設定です。笑何気に3-2。
今回は視点を変えてなるべくオサムちゃん目線で。
先生って生徒好きになっても制限されるんだろうなぁと。
んー、大人の世界は切ない!(誰ですか

オサムちゃんのスーツ姿ラフは★コチラ★



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