***気まぐれ予報***
「やーっと春になったと思ったのに」

日中のポカポカ陽気にすっかり騙されたようだ

気まぐれ予報


部活帰りの時間帯には―
「…寒い、死んでしまう」

仕方がないのでジャージを羽織りながら帰ることにした
…ダサいし目立つけどまぁ、夜だし良いよね

段々と人気の無くなる通りを
ポケットに手を入れながら無心で歩く

風の所為で携帯すら打ちたくない



「でなぁ、その時うちの友達どないしたと思う?」
「まぁたろくでもないオチなんやろー?」



「…」

早く帰りたいけどカップルが邪魔で通れない
…しかもどうでも良い話を延々とまったりペースで話している。



小さな世界とはこういうことを言うのだろうか。



抜かすのも余計な加速が混ざって
肌に受ける風の量が増すし
…って、どんだけ寒がりなんだろう私。

どちらにしろ、まだ夜は長い。
歩幅を狭めてゆっくり歩くことにした。


携帯が鳴ってる
…けどやっぱり手、出したくない

誰かな…



そんなこと考えてると後ろが騒がしくなっていたらしい。
私は音楽聴いていて全く気付いていなかったけど…


「わ、あの人めっちゃ背高くない?」
「ホントだー。スタイル良いねー!」


突然肩を叩かれ驚く
「ん?!」
「すまん、ビックリさせたと?」


「チッ、彼女つきかいなー」
「やっぱりかぁー!!」


…な、何が!?
何舌打ちされてるの私!?

「せ、千里、どうしたの一体…」
「一緒に帰ろう思ったばってん、先帰るから
電話にも出んし…」


あの電話は千里からだったのか。
…相当急いで追いかけてくれたのか
軽く制服が乱れていた

「何でそんな急いでまで」
「何でって、と帰りたかったから…って理由になっとらんばいね」
「もう、嬉しいけど」

xxx

「落ちついてきたら寒くなってきたと…」
「何もしてない私でさえ寒いのに、当たり前でしょ」

つんとした態度で現実を話し出す

「意地悪たい」

大きい背丈のくせに、子供みたいに拗ねる千里。
そんな彼に弱い自分。

「弱ったな…」

困っていると足が止まった

「どうかし…」
「もう春やのに、まだ寒かね」

予告もなしに後ろからギュっと抱き締められる
「そ、うかな」
あんなに寒かったのに一気に熱くなる


、背小さか」
「千里が大き過ぎるんだよ!」
「…え!?」
「えじゃない!」

「何か温かい飲み物飲みたかね」

話題が逸れたお陰で大きな腕の中から離れられることが出来た
急に湯冷めしたような気分だ

しかし春は自動販売機も段々と温かいジュースを置かなかったりして
つめた〜い率が高くなったりしていることもある


トボトボと諦めて無言で戻ってくる千里
「温かいのなかった?」
「見たら分かるとね」

「しょぼくれてるの?」
「別に」
「まぁまぁ、コーヒーいれてあげるから」
「よかね、自分でいれられるし」
拗ねちゃった?
「良いよ、じゃあ勝手に泊まっちゃうからね」
あれ、逆ギレ?
「構わんけど…」
「ホントに?!」
「なっ」
このテンションの変わり様は一体?

「実は今回のテスト、
点数取らないと親に塾行けって言われてて…
何かコツとか無いかなぁって」

少々考えた面持ちで話し始める千里

「…効率良く勉強出来る方法はある、と思う」
「教えて下さい千歳先生!」

「ばってん、がついて来られるか…」
「―え?」

「今日は寝れんかも。いや明日も…」
「や、ちょっと待っ」

手を引っ張って足早に短期集中型地獄の塾へと向かわされた



END






…おまけ
「テストの結果は?」
「先生のお陰で塾は確実に無さそうです…でも」
「?」

「た、倒れそう」



手厳しい
優しそうに見えてかなり無理難題を押し付ける姿は
ギャップがある分、メンタル面に物凄い影響を及ぼす


私はその場に倒れたらしい



目が覚める頃には全て忘れている気がしてならない





>>>コメ。<<<
千歳に後ろから抱き締めて欲しいと言う一言から生まれた話(膨らみましたね)
優しいけど実はかなり厳しいと思うんですよ(妄想ですか
愛情の裏返し(?)です



>>>モドル<<<
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