***KILLER GAME***
「は、殺す?」

いきなり物騒な一言でこの話は始まった

KILLER GAME



前に自分の事本気で千歳が好きなんか気にしとったよな」
「う、うん」

オサムちゃんは誰も居ない部室で面と向かって話し始めた

「最近おもろい事無くてなぁ、どや!演技には自信あるか?」
「…話が見えて来ないんですけど」

楽しそうにオサムちゃんが答えた

「四天宝寺名物ドッキリ企画♪」
「ドッキリって…」
千里が引っかかるとは思い難いけど


白石か光辺りに実は私のことが好きで
でも断られて、気が狂う役を演じてもらう。
(どっちかOKするんだろうか…)

そしてその勢いで殺される。

シナリオはざっとこんな感じだ。
…何て大雑把なシナリオ

「ドッキリとは言えし、シリアス過ぎる…」
「俺殺りたいっすわー」
「ひ、光!いつの間に!?」
やるのやの字は殺すですかやっぱり
「さっきから居ますわ、せやのに気付かんでペラペラと」
「気配すら感じなかった…」
何者なんだよ一体

「ほら、このナイフもそろそろ血を欲しがって」
徐に懐から護身用ナイフを取り出す
「って、刺す気満々じゃん!!まだ死にたくない!」

「やっぱ財前の方が殺しそうやろな」
「その見解、あんま嬉しくないっすわ」
そりゃそうだろ!

「よっしゃ決まりやな!決行は明日日曜!!」

…と言うわけで強引に決まったドッキリ。
正直、どんな反応をするのか楽しみだったり、不安だったり

「意外とクールに『やっと離れられた』とか思われたらどうしよう」
「可能性は無きにしも非ずですけど」
「く、光・・・!じゃあもし光が千里の立場だったらどうする?」
「…さぁ?」
「さぁって」
さんに言うような話でもあれへんし」

むかつく…!






xxx

日曜の朝
彼女の妙な一言に一瞬戸惑った

「もし、私が死んだら―」
「え?」
「死んでもすぐに彼女作ったり出来る?」
「そげな縁起でも無い事、言うたらいかん」
「うそうそ、冗談だよ」

まさかそれが現実になるなんて…



xxx



「千歳さん、ちょっと話あるんですけど」
「どげんしたと?改まって」

日曜はフリー練習とあって
オサムちゃんが来るまでの間、各々練習している状態で
コートはかなり疎らだった

(ちなみにレギュラー陣は千歳以外全員仕掛け人である)


コートの脇で話された事実

さん、俺にくれませんかね」
「なっ…そんなん、良いなんて言うわけ」
予想外の告白に当然驚く
「ちゅーか、千歳さんホンマに好きなんですか?」
「好いとってなかったら付き合うわけなかね」
「やっぱ話しても無理ですね、せやったら」

軽く笑うと部室へと無言で走り出す財前

「財前!待つたい!!」

その姿を必死に追い掛ける千歳


「…俺、絶対財前の嘘には騙される」
「アイツ本当こういう役上手いよな…」

後輩の演技っぷりを感心する謙也と小石川。




部室の掃除をしていたに迫る危機
「あぁ、光。どう?」
「そない余裕かましとる場合ちゃいますわ。
すぐ来ます。ヘマしたらホンマに刺しますからね」

頷く間も無くとりあえず部室の鍵を閉める

「…」
絶対ヘマ出来ない!!

「財…」
ドアが開かない
…鍵まで掛けて

静かに耳をドアに当てて、中の様子を伺う


「何、どうしたの?鍵とかかけちゃって」
さんの事、ずっと好きやってん」
「……は?!」
「せやけど千歳さんに先越されて」
「ちょ、ちょっと待って光!!落ち着こう!!ね!」
光上手いな…素で緊張する
「いや、落ち着いとらんのそっちやないですか」

「とにかく私は今そのー、千里の事が好きなわけだし
その気持ちには応えられないと言うか…」
「そんなん、知ったことや無いですわ」
「強引だなぁ…光だったら他に合う子居…」



会話が不自然に止まった


「…?」
「あれ、千歳どないしてん入らんで」
「しっ!」
「?」




「っ…!」


「ホンマはこない残酷な事、しとう無かったんですけど
言う事聞かんかった罰ですわ」
「な・・・んで…?」
罰って。罰=死は酷過ぎるだろ…!


いきなり苦しそうに話し始めたかと思いきや
の声はそれ以上聞こえて来なかった




「これでいつでも一緒に居られるな」



「何や何や?中どうなっとんねん」
「お、オサムちゃん鍵持っとらんの?」
嫌な予感がする


罰?



「鍵、鍵…えーとこれ馬券や…あ、あった」


千歳は急いで部室の鍵を開けた















何とも現実では味わえないような光景が
目の前に広がっていた




真っ赤に染まった床
ぐったりとしているどころか微動だにしない


左手にナイフを握り締めたまま、無表情で立ち尽くす財前


「な、一体どないなって…!?あかんわ、救急車!」
「無駄やと思いますよ。ちゃんと刺しましたから、心臓」
「財前!お前自分が何やったか分かっとんのか!?」


「う、そたい…」

フラフラとの前まで歩み寄ると
力を失うかのように跪く
その反動でまだ生温かい血が膝を中心に微かに飛び散った


、変な冗談されると寿命が縮むばいね」

体を揺すっても目は開かない


「だって、さっきまで元気に話しとったのに」

人から流れる血と言うものはこんなにも鮮やかな色だったのかと
両手をまじまじと見つめる







「財前、何で」
「嫌やわ千歳さん。そない睨まんで下さいよー、
両想いの間に割り込むにはこの方法しか残って無いと思いません?
手っ取り早く、常に自分の傍に置けるんやから」
初めて見る顔やな、めちゃめちゃ怒っとる

「俺が競馬にさえ行って無ければ…」
ひたすら自分を責めるオサムちゃん

後悔したところでもうそれは過去の話に過ぎない

「それに、千歳さんモテるんやし。代わりなんて他に沢山」
「代わりなんて居るわけなか!」

その一言は明らかに千歳を挑発していた

胸倉を掴みながら思い切りロッカー目掛けて押え付ける
そんな状況にも関わらず目の前の先輩を睨み付けたまま黙り込む財前


「千歳、落ち着き!気持ちは分かるけど
殴ったところでは戻らんのやで!」
「けど…っ」


少し冷静さを取り戻した千歳は
再びの元へと戻った


思い切り刺されたのにも関わらず
物凄く穏やかな顔をしている
首から下を見なければ眠っているようだった

頬を撫でながら静かに語りかける
死後間も無い体はまだ温かい

「スマンな、の事全然守れんかった…」

ポタポタと頬を伝って行く雫



「…」
千歳さんが泣いとる


静かに時が流れていた


















「…?」


しかし不自然な出来事が疑問を生んだ
死んだ筈のの目から涙が零れ落ちてきた


「―バ、カ。」


確かにそう言った
またも何が何だか訳が分からない
「心臓、刺されたんじゃ」

「はは、ドッキリなのこれ」
血まみれのが泣き笑いながら答えた


「ちっ、つまらんわ。確認しなくても普通に両想いやないですか」
「いやー青春やわー!!感動やなぁ」

「…ほ、ホントに?」
「オサムちゃんに千里は私のこと好きなのかなぁって言ったら
ドッキリやるとか言い出して!貰い泣きしちゃったよ」

「財前も?」
「流石に俺かて本気で刺すまでやりませんって」

「っちゅーか全員仕掛け人やで〜♪」
「…人ん事ば泣かせて…俺ん家で説教」
「え?せ…説教!?」
「あはは!頑張りや!」
「ちょっと!提案者はオサムちゃんだよ!?
何で私だけ説教されないといけないの!?」

さんも馬鹿ですわ〜、説教と言う名の…」
「財前、それ以上言うと逃げられるばいね」
「何!?」
そこで止めるってどういうこと!?


「わー!部室血まみれやー!!」
謙也と金ちゃんが戻って来た
「財前に刺され過ぎました」
「血のりが思ったより多くて」

「がおー!」
「ぎゃー!ゾンビー!!」


「コラ!他の生徒に見られる前に早う着がえなさい!千歳も!」
「は、はい」
オサムちゃんじゃん、言い出したの!

xxx
帰宅後…


「…やっぱ怒ってる?」
「財前の告白断った事より、
信用しないで騙した罪の方がよっぽど重かね」

「だからそれはドッキリなわけであって…」
「安心しとっとや、俺は刺したりせんよ」
「…当たり前だよ!」

それを確認すると耳元で静かに囁いた

「意識がちゃんとある侭、傍に置いてあげるから」
「…」


…意識があるまま傍に?



「さて…どっちが辛かね」


そう付け足すと静かに微笑みながら
を軽々と持ち上げて寝室に運び始めた



END

>>>コメ。<<<
最近微妙に好きなドッキリネタ。(えへ/えへじゃない
…ドッキリなのに何かドロドロしてる!!何だこのジャンル!(笑
昔は良くこう言うの書いてました(病んでる
しかも最後ちーやんが若干黒い意味深なシメ方!(更に笑
気がつけばギリギリです。下手したら光よりタチ悪いかも…ね(ねって
ただ泣いてるちーやんを書きたかっただけなのに(飛躍し過ぎです



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