***セレナーデ・前編 〜ヴォックス・アンジェリカ〜***
空に祈りをささげ 星に願いをかけた
叫び声は空に吸い込まれ この想いは増すばかり
あと何度 十字を切ればいいだろうか―――




彼女はそっと、優しい声で音を奏でていた。







放課後の屋上。
見回りのため仕方なしに
重いドアを開けると、
夕日を受けて静かに歌う彼女がいた。



まるで天使みたいで、
俺は暫くそこから動けずにいた。



時間が経つにつれて、少しずつ身体の自由を取り戻し、
俺は彼女の元までゆっくり近付いた。
俺の影が彼女の身体に掛かった時、漸く彼女は俺の存在に気付いた。
顔を上げて笑う彼女。
その瞳に俺は目が離せなかった。





「もう下校時刻はとっくに過ぎている――」
やっとふりしぼって出た言葉は、重くて冷たい言葉。
ホラ、俺はいつだって、こんな事しか言えない――。




彼女は、スクッと立ち上がり、スカートの裾を直すと、
俺の顔を真っ直ぐ見て


「了解しました。手塚生徒会長殿!」


彼女は姿勢を正して、悪戯な微笑を浮かべた。





しばしの沈黙の後、恐る恐る彼女は口を開いた。
「あのぉ〜怒っちゃいましたか?」
先程の悪戯な微笑みは何処かへ消え、
今は不安でいっぱいと言った顔をしている。




「怒っていない。ところで……君は、ここで一体何をしていてんだ?」
彼女はパッと顔を上げて俺を見た。

と言います。手塚生徒会長!何をしていたか? ……歌を歌ってましたけど――」

「けど?なんだ」

「もしかして、屋上で歌ったら校則違反とか?ですかね」



そうやってまた、悪戯な微笑を浮かべた。
表情がクルクル変わって、ずっと見ていたかった―。



「別に校則違反ではない。もう遅いから早く帰れ」

「は〜い、なんだか手塚君って先生みたいだね」
笑いながら、彼女― ―は、俺の横をすり抜けて屋上を後にした。



その笑顔は今までの悪戯なものとは違って、パッと花が咲いた様だった。
暗闇に光がポッと灯るような、暖かな気持ちになる――。







(今『手塚君』と言ったか?同学年だったのか?)










翌朝、朝練が終わり教室に戻る途中、乾に彼女――のことを
聞いてみた。(乾なら知っていそうだと思ったから)


するとアッサリと乾は言った。


?ああ知ってるよ。隣のクラスだし、会えば喋るしね。
確か部活は演劇部だったな…彼女歌が上手いんだよ。
で、がどうかしたのかい?」

「いや別に…。乾のクラスの隣――」

「10組だよ手塚。はカワイイからね」

「……////」

何もかもお見通しといった感じで、乾はとっとと行ってしまった。






(やはり同学年だったか。なら何処かですれ違ったりしていたはずだが…)






昼休み、俺は彼女のいるクラス―10組―まで行くと
―――居た。
窓際の席に座り、友達と談笑していた。




ずっと見つめていたら、彼女も気付いたのか、
その視線が俺の方に向けられた。
目が合って、声を掛けようと思った瞬間――。


彼女は慌てて俺から目を逸らした。







胸がざわついた――







気付けば俺はそこから離れたくて歩き出していた。






(何故目を逸らした?何故――)








胸が痛い――










ただもう一度、君と話したかった
屋上で聞いたあの歌を、もう一度聴きたかった
それだけなのに 何故? 
こんなにも胸が熱いのは――





願うことは いつも一つ
それは 我侭な事だろうか?






>>>しいな姉様ヨリ<<<
生徒会で見回りなんてするかな〜?
なんて思いながらも、書いちゃいました。
見回りしたかな……(不安)



>>>感想<<<
叱って生徒会長〜(狂)いいよなぁー手塚生徒会長。
フフ、後編はまた時期を見計らって更新する予定ですvv
しぃな姉様の手塚ドリは基本的に可愛いですね、手塚が。
まぁ、硬派と言えば硬派なんですがvv


>>>モドル<<<
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