***isotope***
例えばそれは掴めない物で
例えばそれは叶わない物であったら

諦めるのが楽なのか
諦めないのが楽なのか


isotope


好き、嫌い、好き


「三つ葉で花占い?それってやらんでも結末分かるやん」

嘲笑される始末

「は、花占いなんてやってないし」


膝には三枚の葉

「隣り座ってもえぇ?」

「どうぞ、ご自由に」

河川敷でぼけーっと川を見つめていたら
思わぬゲストが登場した

寝転がりながら伸びをする一人の男子


「先帰ったと思ったら、こない場所で道草か」

「―何となく。ぼーっとしたくて」

雲間から日が差す

「う、眩し…」

そう言うと、橋の下の日陰に潜って行った


「確かに、眩しいの嫌いそう」


面白半分でついて行くと、肩にかけてた荷物を下ろし始め、
カバンからラケットを取り出していた


壁打ちの練習でもするのかな


近くに生えてた草で笹舟もどきを作りながら黙って壁打ちする姿を見つめる



「楽しいー?」
「楽しそうに見えたら目、おかしいやろ」

く…


「ここ、帰り道じゃないでしょ?」
「何期待しとんのか知らんけど、何となく来ただけや」

「それ、私にも出来」
ボールを掴んで振り向く

「アホ、やったら川に落とすわ」

ラケットの上でボールを弾ませながら答える


「どーせ不器用ですよ」

「不器用なん、俺も一緒やわ」

「は」


また反対側を向いて壁打ちを続ける


「ホンマはに会いたくて、ここまで来たのに
天性のモンか、すぐ苛めとうなるし」

「ん?」
今凄い良い事言わなかった?

「はっきり言う事に抵抗は無いのに、
こういう気持ち伝えんの、めっちゃ苦手らしいねん」

「ほぉ〜」


「…何やねんそのリアクション」


「あ、いや、まさかそんな事言われると思って無くて…
リアクションに困る」

「そう言えば面と向かって言っとらんかったかもな」


壁打ちを止めてこちらに歩み寄る

「良いよ言わなくても。て、照れるし」

「別に何も言うとらんけど」
「…分かってるよ」
落ち着け
この人はこういう性格だ

無言のまま距離だけが狭まる

無意識のうちに一歩、また一歩と後退する

「ほら、逃げ場無くなったで」

「…あっ」


気がつけばあと一歩下がれば水の中、と言う位置まで来ていた


「なぁ

「な、何?」

真顔で名前呼ばれると死ぬほど緊張してしまうのは私だけだろうか


「俺不器用やから」


「不…」



いや、この人絶対不器用じゃないと思う


「言葉にするより影響力あるんだけど、その行動」

「そうは思わへんな、
言葉使うんやったら白石さんとか凄いで、例えば・・・」

「光は今のままで良いよ…その分私が言ってあげよう!」
行動が大胆な上、口達者なんて身が持たない
「何て?」


抱き付きながら耳元で囁く


「ずっと離れないから覚悟しといて」


と。


「…それ脅迫やん、恐いわぁ」
「え!違う、脅迫じゃ…」

「しかもこない場所で抱き付くとは、お前の方こそ覚悟えぇんやな」

「え、何の」


徐に両足を抱えるとこう付け足した

「俺に命令するなんてな。ほら、落とすで」
こっちの方が酷い脅迫だ
人の体の自由を奪いやがって…この悪魔は
「いやいや!ごめんなさい!!落とさないで!ここ流れ速いし!」


必死にしがみつく自分。

惨めだ…惨め過ぎる…

ふと気が付くと、物凄く近くに光の顔。
真っ白くて、透き通った肌…物凄い羨ましい

「モテる理由は本質を知らないからだね」
「は?」
「だって、こんなドSな事知ったら付き合わないよ。
身が持たない、うん。それだ」
「誰が?」
「…光、もしかして天然?」
「せやかて俺、めっちゃ優しいし…絶対ちゃうやろ?」

見せたこと無いような笑顔で問う
…悪ノリだ。いくらなんでもそれは悪ノリ過ぎる。

しかし恐い。笑顔を見て恐いと言う感情が生まれたのは初めてだ
「ち、違います…」

そうやって今日も何となく捩じ伏せられる

そんな自分もまた不器用。



END


>>>コメ。<<<
ショートストーリーな感じです。日常のサディスト的な(何気に凄いジャンル
白石や光はテニス部で何故あんなに白いのかと!!(熱弁しないで下さい
何故あんなにモチモチスベスベな肌なのかと!!(それはあなたの妄想です
でも不器用とか言って器用に自分の物にしている光も良いと思います笑



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