***偽化粧***
例えば
普段強がっていて泣かないある人に求められると

ドキッとしてしまうのは俺だけなんだろうか…




偽化粧



「で…そろそろ聞いてもよかね?」

部室に入るや否や
そこには泣き顔のマネージャーが一人ぽつんと立ち尽くしていたわけで。
そげん切なそうな表情で見られるとどげんしてよかなんか分からんくて…

「とりあえずこれでも慰めとるつもりばい」
腕の中に押し込めながら頭を撫でる

「…対処法としては間違ってない」

それにしても誰も居らんし、一体何が原因ね

「いやぁ別に、大したことじゃなくて。」
「ばってん、その泣き様は大層な理由があるんじゃなかと?」

もう涙を流さまいと真っ赤な目をジャージの袖で必死に擦る

…そんなことしたら余計目立つばい

「ありがと。もう落ち着いた」

離れながらはそう呟いた


「じゃっ!」
「待った」
「…やっぱり?」

黙って頷く


「そこ座る」
「は、はい」

「理由話す」
「はい…だから本当、大したことじゃなくて」
「それは個人によって違ってくるんやなかね」
「すいません」

「とりあえず話してみて」
千歳はやれやれと笑いかけた




世の中自分の思い通りになんて行くはずなくて
誰も自分の気持ちなんて分かってくれるわけもなくて

放課後、早めに来てしまった部室でふとそんなことを考えてしまった

そしたら、自分が取り残された気分になってきて

「人肌恋しくなったと?」


コクリと頷く


「時々私何やってんだろうって思っちゃうんだ」
中学生と言うのは情緒不安定にだってなりやすい
いくら見た目が大人っぽくったって
生意気に大人みたいな事言ったって
まだ人間が出来かけようとしている段階なのだから。


って随分難しい事考えとるな」
「難しくなんてないよ、ちょっと考える方向が変に真面目なだけ」

「孤立からは免れたと?」
「幸い、人肌に触れたからね」
照れながら答える

「そっか、良かった」
微笑みながら更に返す

「千歳は…何でもない」
「何ね、気になったい」


…その真っ直ぐな視線には負けました
「泣いてる女子の慰め方はいつもあんな感じなの?
私には影無いだろうし…好きなタイプにすら掠ってないのに」

「えっ?」
きょとんとする千歳。
ここで惚けるのは卑怯だ
「だからー」
「気になる?」
「気…うん」

伝わってないかと思っていたら実は伝わっていて

予想通りの回答が来るんだなと思っていたら実は予想以上で


「そんなん、好いとるからに決まっとるばい。
俺の気持ちには気付いてくれんかった?」


「…い、待って」

「?」
い?いって何ね



「だって、千歳の半分は優しさと癒やしで出来てて、
だから私皆にもそんな感じだと」

「いや、が思っとる程優しくもないし…」
「優しいの!!あーもう」

向かい合った椅子と二人
ずるずると体勢が崩れ落ちたかと思えば膝の上に凭れる
「…?」

「どこかで夢見てた



次に来るのが千歳だったら嬉しいかもって」


「そうだったと?」
「そうだったの」

「変な体勢で居るから背中見えとーよ」
「見せてんの」

「このまま抱きしめてもよかなんかな」
「どうぞお好きに」



…最後は冗談で言ったんやけど


「誰も来なきゃ良いのに」
「じゃあ、誰か来たら離す」
「うん…?」



…って待った!それって確実一人には目撃されるじゃん!





END


>>>コメ。<<<
千歳の半分は優しさと癒しで出来てると思うのは私だけでしょうか(えっ
青春は色々悩める時期だったような…そうじゃなかったような・・・(遠い目



>>>モドル<<<
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