***紫ノ蝶***
籠の中の小さな小さな希望
偽りの仮面


紫ノ蝶


「…そういうことやったん」
「違う、これは…!」

おっと、いきなりのバッドエンド
きっとこのまま終わってしまうんだろうな…


xxx


放課後、光を捜しにうろうろしてたら
木陰に横たわっていた謙也先輩を見つけて
あまりにも具合悪そうだったから保健室連れてきたら
熱射病だったらしく


連れてきてすぐ帰るのも気がかりで、しばらく看ていることにした

看る…って言ってもただ眺めてるだけだけど


「先輩、大丈夫ですか?」
「心配してくれてありがとう、大丈夫やから は早う財前捜しや」

「でも…」


困った顔して見つめる
こない優しい子が何で財前の彼女なんやろ…不思議やわ

「せやったら一つ質問してもえぇ?」
「答えられることであれば…」


「どうして財前と付き合っとんの?」

「どうして…また難しい質問しますね」
笑いながら は続ける

「一緒に居て楽ってところかな…?」

「楽!?財前と居って!?」
「あぁ…語弊がありました…私ベターっとした関係が嫌いなんで、
何か必要最低限のことしか喋らない分楽っていうか」

「確かに話さんなぁ。あと痛いとこピンポイントでつつかれたりな、
アイツ変に頭えぇから」
「あはは、確かに!でも何で急に?」

「いや、そない優しい性格やのに何で財前なんかめっちゃ気になってな」
「優しくなんてないですよ、当然のことしてるだけで」
「俺とは合わんやろな、きっと」

「そんな、私謙也先輩好きですよ!好きっていうのは先輩としてですけど」

「ホンマに?嬉しいわ〜」


で、勢い余って抱きつかれたところをー


「見られてもーたな」
「そうですね…」

「スマン、後で俺からちゃんと話しておくから!」
「全然大丈夫です!光なら…分かってくれるかもしれないような…」
「えぇからえぇから!」


私は先輩に悪いなぁと思いながらも
とりあえず任せることにした



本当は一緒に帰ろうと思っていた道を一人で歩く時って
何でこんな空しいんだろう


ふと届く一通のメール

”17時にいつもの場所”

光のメールはかなり素っ気無い上に
自分から送るなんてよっぽどのことが無い限りまずない。
送信にしろ、返信にしろ端的で、用件だけって言うのが殆どだ

「…ん?」

このメール、続きがある
スクロールした先にあったのは


ドクロマークの絵文字



どういう意味だよそれ…


とりあえず返信して約束の場所へと向かうことにした


xxx
いつもの場所…
たまたま見つけた隠れ家的なカフェ。
お店の雰囲気とメニューも良くて度々待ち合わせがてら利用する場所


時刻は17時5分前

少し重い木のドアを開けると、鈴が鳴り響く

「いらっしゃい ちゃん」
「マスター、光来た?」
「あぁ、少し前に。せやけど珍しいなぁ、いつもは逆やのに」
「はは…居るって聞いて私も驚いてます」

若干足早に奥の席へと向かう

ベース音ガンガン響かせながら左手にスプーン、右手に携帯を持ち
指先を器用に動かしている

向かい側に黙って座ると
一瞬目線を上に向け、また携帯へと戻す

「ご注文は?」
「えーと、季節のフルーツパフェで」
「かしこまりました」

「…」
私から話しかけて良いものだろうか

絡むことのない目線を合わせようとただ黙って前を見ていた
…美味しそうなパフェ食べてるな…あれ何だろう

メニュー表を見ながら考える
抹茶パフェ…白玉入り抹茶パフェ…これかな?

「事情は聞いた」
「は、はいっ」
急に喋らないでよ…心臓止まるかと思った

音楽プレイヤーを止めて話を続ける

「誤解してすまんかった」
「え…と、誤解されるような事になったのは私の所為でもあるから。ゴメン」
「謙也さんのこと、好きなんやろ?」
「あくまでも先輩として…って言うか光、本当に納得してる?」
「せやかてあの人嘘吐けんし。嘘吐いてもすぐバレるようなヤツしか言われへんし」
「確かに」

「はいお待たせ!で、仲直りは出来たん?」
「ま、マスター話聞いてたんですか!?」
「聞いてたんやなくて聞こえてきただけや〜」
「こういう大人が多いから…」
「何や光ー!」
「何でもない」


xxx

「そう言えばあのドクロマーク、一体どういう意味?」
「あぁ、気付いたん?あれは

『誤解させた分はきっちり返して貰うからな』

って、意味。」

ニコッと笑って答える光

ちょっと待てと考え込む自分



「あ!そのパフェ奢るとか、そういうこと?」
「そない生温い事で返せると思っとるんか?」
間髪入れず返答する

「何だろー、分かんないなぁー」
―”分からない”訳ではない。
私はきっと
”分かりたくない”んだ


「ヒント、それは物や無い」
「やっぱ…正解しないとダメですか」


目の前に居る悪魔は薄ら笑いを浮かべながら頷いた




翌日…
「おはよう !」
「謙也先輩、お早う御座います。体は大丈夫なんですか?」
「全然平気やで!心配してくれてありがとうなぁ!
そっちは大丈夫やったか?…無事解決?」
「えぇ、まぁ…色々ありましたけど」
「何や!?何があったん!?」
「酷いんですよ、説明するとですね…ぎゃっ!?」

「謙也さん、昨日は…まぁえぇか。 、はよ行くで」
「ちょっと、光!?」

「ざ、財前…謝れや!!!」



END


>>>コメ。<<<
おお今回の光は素直じゃないか!!…と、思いきやネタです(笑
彼には”等価交換”なんて甘っちょろい言葉通用しないんでしょう、きっと。
ドクロマーク一つであんなに恐い意味を持たせるとは・・・



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