***ダークサイド***
飾らない闇と光

ダークサイド

「友達の友達って要するに知らない人やん」

まさにその通りだ。

「友達から貰った物やから一応渡さんと」

は申し訳なさそうに一通の手紙を握り締めていた
せやけどそれはよくあることで…
と言うよりこのやり取り自体がよくあることだ

そもそも俺との関係は家が近所やっていうだけで
それ以下でも、それ以上でもない

…まぁ、昔から顔合わせることは多いけど

「わかった、貰ておく」
渋々、誰からかもわからん手紙を貰う


…一応読むには読むけど
連絡先書いたところで知らん奴に普通連絡先教えるか?


「よう分からん」


そうやってまた手紙は増殖して行く



xxx

「あー…せやな、財前って女より
自分のやりたい事やってる方が楽しいのかもなぁ」
「やっぱりそうですよね…」

放課後、私は渡邊先生の元に遊びに行くがてら少し相談をしてみた。
別に解決策を求めているわけやないし、
無理して答えを出したいわけでもない

ただ、光に片思いしている…それだけだ。

「ちゅーかはアイツのどこがえぇの?」
「え!ど、どこやろ。いざ聞かれると…
最近、もし光に彼女が出来たらって妄想するようになって
でー…嫌だなぁって思ったーみたいな?」
「せやな、それは好きやって立派な証やな」

にまっと笑いながら先生は続ける
「俺から聞いとこか?」
「せ、せやけど…」
「そう言うの得意やから、
まぁーどんな結果が待ってても覚悟出来るんやったら」

悩むなぁ…。でも、前に進めない位なら
「私は大丈夫です」
「ん、よう言った。」




xxx




「何ですか、話って」
帰ろうと玄関まで来た所で見事に面倒なのに捕まってもーた。
今日ついてないな

「財前って、と家近かったよな?」
「それが何か」
「ちょっと忘れ物届けて欲しいんやけど。携帯」
「は、携帯?何での携帯オサムちゃんが持ってはるんですか」
「さっき進路のことで相談に乗っとってな」
「へぇ…」

とにかくこの状況を早く終わらせたいと、
半ば強引に携帯を取ろうとすると何故か取り上げられる

「まだ何か?」
「一つだけ質問ターイム!」
「…手短にして下さいよ」
「いや知らなかったら別にえぇんやけどなー、
このストラップ貰った人が好きなんやて」
「―何が言いたいんですか」
「あんまり待たせてたら他の物になってまうで〜?」
「…俺は何も」
「視野を広げてみるのも大事やで、ほなよろしゅう〜♪」





暫く呆然としていたに違いない
携帯に挟まっている手紙に気付かなかったくらいやし。
そして言いたかったであろう事を整理する


はただ近所ってだけであって。
付き合うとか、そう言う対象じゃ…

手紙が携帯をすり抜けて床に落ちる
ちゅーか何で手紙なんて挟めとんねん



”財前 光様”



…まさかオサムちゃんからの不幸の手紙とちゃうよな



手紙では初めまして…読んでくれてる?
そもそも皆どんな内容書いてるんだろう…謎です。

―変な手紙

今ちょっと舌打とかしてないよね?

―…

光は正直彼女とかどうでも良いと思うんだけど、
あ!思春期の男子はそんなこともない?笑

―結局用件は何やねん

光が他の女子と歩いてるのを窓から見る私…それは辛いなぁと。

―ヒキコモリ発言やんそれ、ちゅーか恐いわ

お別れのキスとかしちゃったりして!?凹む。めっちゃ凹むわ。

―どこまで想像しとんねん

だから、私のいないところでやってね!

―知らんわ!


あまりにも突っ込みどころの多い手紙に気を取られ
気付けば持ち主の家の前までやって来ていた


「はぁーいどちらさ…」
「忘れ物」
「あ、ありがとう」
「今どうせ暇やろ、ちょっと付き合ってや」

無理矢理腕を引っ張ってを外に出す

「ちょ、えぇ断定文!?酷過ぎる」

自宅から徒歩1分以内、財前宅到着
「あらーちゃん!久しぶりやね」
「どうもおじゃましまー…」

更に挨拶も言えないまま部屋到着

「ひーくん、何持ってくー??」
「後ででえぇから、暫くほっといて。
ちゅーかその呼び方えぇ加減止めろやおかん!」
「あらあら、せやったら買い物でもして来ようかなっ」
「要らん気遣わんでもえぇから!!」
「あはは、相変わらず明るいおかんやなぁ、ひーくん♪」

ベッドの上に放り投げられていた音楽雑誌で叩かれる

「いたぁ〜…で、何?私忙しいんですけどー」
「チッ…これ」

クローゼットから出したのはダンボールに入っている大量の手紙

「お前ホンマに手紙の書き方下手過ぎ。内容ぐちゃぐちゃやん。
他の奴どない書いとるんか見たい言うとったやろ、
せっかくやから読んで勉強しとき」
「すいません…手紙なんて普段書かないもんですから…」

『返事は?』なんて聞く素振りも見せずに
黙々と手紙を読む

昔からそうやった、コイツは知りたくない事に関しては
とことんシラを切る

「財前君のクールな所に惚れました、メール待ってます
…なるほど。で、メールしたの?」
「するわけないやろ」
「え、手紙貰た人に連絡したことは?」
「ない、面倒やし。」
「けどもしえぇな〜って思ったら連絡するんやろ?」
「当たり前やん」

話しながら器用に指を動かすなぁと見ていたら
打ち終わったらしく携帯を閉じてこちらを一瞥する


と、同時に携帯が光る


新着メールを見てはっとした。



タイトルは
『別れのキスに関して』

本文には一言、


の視野に入る所でしか出来ない場合は?



携帯を閉じてまた開いて見直す
私ドジやから…大丈夫、読み間違っては居なさそうだ


「理由は無いけど、が他の男と色々やってる場面
見とうないから俺の物にしておこうと思て」


返信を打ち終えたが携帯を静かに閉じる

タイトルは
『その件に関しましてはー…』

本文にはこちらも一言、

その場合は構いませーん


「好きになるって色んな理由あると思うんやけど、
まぁこれも一つの好きには変わらんってことかな?
私も光のどこが好きだかわからへんし」


「ま、このパターンが楽でえぇけど」


「んもう!どっちともかわえぇんやからっ!!」
「おかん、いつの間に」
ちゃん、ひーくん表現下手なだけで
いざとなったら守るようしつけたつもりやから!よろしくねっ」
「はぁ…いえ、こちらの方こそ・・・」
「ほら、チューって!!チュー!!!」
「置くモン置いたらはよ出てけ!」


光ママ、強制退去…可哀想だな



「…うん、相変わらず光ママは凄い」
「ホンマウザい母親やわ…にしてもそのストラップボロボロやん」
「あぁこれね、私モテないから男子にプレゼント貰えないし?
大事にしてたんやけどどうも乱暴に扱ってるらしく…」
「今度新しいのやるわ」
「マジで!?」
「せやな…めっちゃ血みどろの操り人形みたいなのとかえぇな」
「やだ!いらんわそんなんー!!」


END


>>>コメ。<<<
近所設定。なのでほんのり(?)関西弁風味で。
ツンデレ…いや、やっぱり光は付き合ってもツンだと思います笑
そう言えばわざと携帯忘れたり、手紙を書くように勧めたのはオサムちゃんです。策〜士〜♪(何



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