***蝙蝠蜘蛛***
昼間は暗い所でぶら下がって休み、
暗くなると前足を羽のように広げて飛び、
虫を捕らえて食う


蝙蝠蜘蛛-コウモリグモ-


鳥に似て、鳥にあらず。
けだものに似てけだものにあらずと言う所から、
定見無くその時々の勢いの良い方に味方する者の意にも
用いられる。(新明解国語辞典より)


光は蝙蝠に良く似ていると思っていた。
学校に居る時は殆ど寝ている姿しか見た事無いし
昼間送ったメールは8割方夜に帰って来るし

呼び出されるのも決まって夜だ。

だから、蝙蝠に似ている。

でも定見が無い訳ではない。
むしろ逆だ。油断していると味方にさせられてしまう


「ずる賢い蝙蝠め」


・・・昼間から何やこの脈絡の無いメールは。

からのメールは時々意味が分からない。
どうでもえぇことは順立ててきちんと打つくせに
修飾語が抜けて気になる文に限って端的にまとめ過ぎる。

二年二組。
他クラスには基本的に教科書借りる位しか行かんし
借りるって言うても精々両隣のクラスで、
こない離れてるクラスなんて以ての外。

「財前君や!!」
「ぎゃー!相変わらずのイケメン!!」

そう、それと女子の扱いが面倒。
おる?」
?おるよー!ー!!財前君が呼んどるよ!」
「うん・・・え!?」
五時間目終了後の眠気が一気に覚める
まさに高性能目覚し時計。


「財前君!写メ撮ろー!!はい、笑って笑って」
「いや、ちょっと」


ティロリーン♪

「・・・」
ほら、女子って面倒


「な、どうしたの。珍しいね、明日天気荒れるんじゃ」
「えぇから」

無理やり腕を引っ張りとりあえず二組から遠ざかる

「別に廊下でも良いじゃん、六時間目始まるよ?」
「聞きたい事がある。俺のためにサボれ」

・・・はぁ!?何て自分勝手な


xxx
六時間目、渡邊先生の国語。

「あれ、は?」
「財前君と愛の逃避行中ですー」
「えぇなぁー。私も連れてって欲しいー」
「ざ・・・あいつらホンマに・・・分かったから静かに!」





「あーぁ、オサムちゃんにまた何か言われる」


そして屋上にて何故かメンチ切られる私
「で・・・何でしょう」

「これ、どういう意味や?」

携帯の画面を見せ付けられる。
私がさっき送ったメールだ。

「光は動物に例えたら蝙蝠が似合うなって思って。
昼間はテニス以外はあまり動いてないし、夜の方がテンション高いし」
テンション高いって言っても他の人と比べたら低いけど

「それに、いつの間にか人を味方に付けてる。
だから、ただ単に蝙蝠じゃなくてずる賢いを付けたってわけ」
「それ打たんと分からんやろ」
「あは、確かにー。全く、それだけで呼んだの?
今からならまだ間に合うし、私授業戻るよ。」

用件は済んだと思った。


「黒地に黄のしまがある、大型の蜘蛛。
巣の中央に構え、夕方虫のかかるのを待って
毒のある上あごで噛み殺す」

「ど、どうした・・・歩く国語辞典?」
光は腕の中に私を押し込め、微笑して何かを説明している。
何か・・・何だ、これは何のことだ?


「どない思う?」
「ま、まず離してくれませんかね?」
「俺の質問に答えたらな」
「・・・えっと、非常に残酷だけど
生きていく上では必要な事なので仕方が無い?
罠にかかった方がついてなかったと言うか・・・」
何蜘蛛について語ってるんだ、自分

「それがの答え?
・・・せやったら運悪く女郎蜘蛛に捕まった哀れな蝶ってことで」
「蝶?って言うか女郎蜘蛛のこと言ってたの?」

「蝶は基本的に日中活動する昆虫やからな。
計画も無く好きに飛んでるから捕まるんや」
「ま、待って待って!何か女郎って女の人っぽいし!
何故に例えてるのか意味が分からないよ。はい終了」
「いや、もう逃げられへんよ
どっちかっちゅーと、蜘蛛の方が似とるかなぁって」

・・・私噛み殺されるのか?
「って言うより、俺蜘蛛やねん」
「・・・・・・・・・・・・は?!冗談でしょ!?」
「美味しく喰えるまでずっと待ってたんや。
蝙蝠やなくてスマンな」
いやいや、スマンて!ちょ、目がマジじゃねぇか!!

「美味しくない!絶対美味しくない!!」
「甘い物しか置いてない所しか連れてって無かったやろ?」
・・・それで!?
毒のある上あごで・・・上あごで・・・ううっ

「良い人生でした・・・」
死ネタ書かないって言ってたくせに、とコハクサイダーを怨みます(Σそんな)


そして静かに首を噛まれる。
私は蜘蛛と付き合っていたのか。
って何だこの話。結局蝙蝠みたいって挑発した私の自業自得じゃん

だから哀れな蝶々か。上手い、座布団一枚。


「・・・あれ、死んでない」
蜘蛛はケラケラと笑っていた
と俺の違い。こういうとこな」
「は?」
「お前がずる賢い蝶になれない理由、アホ。馬鹿正直」
「・・・あ」
は、はめられた。っていうか言い過ぎ

「そういうバカな所、嫌いやないけど」
「・・・じゃあ好きなの」
半泣きの顔で問い質す
「せやな、好きやで」
「じゃあチューの一つや二つしたらー!?」
「数えられる内は足りひん」

・・・また自分で引き金引いてしまった!また!!

「一つで良い、一つで」
「せやったら・・・この単語が何か当てられたら
糸、切ってやってもえぇで。
せやけど間違ったらその単語と同じ目になって貰おか」
「本当に!?よし、さっき暇で辞書パラパラしてたし・・・やる!」
これ拒否ったところで前みたく窒息死(未遂)したくないし(※揶揄参照)
「そのものに触れた指先や手のひらを何回か表面に沿って軽く
ある方向に動かして、有るか無きかの刺激を与える」

・・・これ、当てないとR指定とか入っちゃうんじゃないんですか
大丈夫なんですか、言っても・・・いや、有り得ない。
年齢制限はかけていないはずだ!(この子さっきからサイト意識し過ぎです)

「て、テクニシャン?」
「何の感想やねん、それ。それともそれが答え?」
「いや何でも無いです!!えと、えっと・・・」
絶対間違ってる!!何!?じゃあ何?

「ダメだ、どうもエロティックな方面に・・・!」
私って一体・・・
「やらしいで、
「あー!!お願いだからこれ以上耳元で囁いたりしないで!!
どろっどろに溶けるよ!?光卑怯過ぎる!」
「お前の妄想癖が生んだ末路やん」

そして答えを聞いて私は「なんだよ、そんなことかよ」と
変に気疲れしてしまったのだった。



END


>>>コメ。<<<
特に意識はしてなかったんですが、
最後になってみれば揶揄のヒロインと繋げたら何か繋がりそうだなと。
この子はきっと頭よさそうに見えるんだけどどこか抜けてるんだと思います笑
でも光にはそれが意外に(?)ツボだったりして:−)

ちなみに最後の文章の答えは「撫でる」でした。
三省堂国語辞典さまさまで御座います。笑
あの文で正解出来た人に拍手を送りたいです!(パチパチ!!



>>>モドル<<<
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