***マジックカットの嘘吐き***
所詮人なんて皆自分勝手で
自分が一番可愛いものだ

マジックカットの嘘吐き

私は知っていた、把握していた
故に、辛過ぎるこの方法が一番だったことも。


ってば」
「あ、ごめんボーッとしちゃって…何?」

いつものように、学校から近いファーストフードで
仲の良い友達と寄り道していた私はどこか上の空だったみたいで。

「明日の予定!」
「明日?あ、そっか。遊びに行くんだっけ」

「光君の事まだ気にしとるん?」
別の友達が問い質す
「いや、気にしてないし」

「ホンマに?」
「しつこいなぁ、早く予定立てようよ」


…気にならないわけがない

でも泣いてでも縋るなんて
カッコ悪いことしたくなかった(一応、人として)


光には気になっていた先輩が居たことは知っていた。
その上で付き合っていた私は所詮
『二番目』

一番には勝てない


「ちょっとー何でうちだけポテトちっさいの!?」
「日頃の行いが悪いんじゃないの〜?」
「うわ、ムカつく!」

けど、いざそうなると友達とこうやって話すことで
気持ちを必死に隠そうとしている自分が居る


それは見えない惨めさだ



xxx
と別れて明日でちょうど一ヶ月。

「兄貴」

「どないしたん、顔が悪魔みたいやで」
「よう言われる。それより、明日で一ヶ月経つんやけど」
あ、否定せぇへんねや
兄貴は事を察した
「光はどないやねん、好きやったんやろ?」
「確かに、先輩の事は気になっとった。
せやけど…好きとはまた別の話」

この話には裏があった

「何や、俺としてはそのままくっ付いてくれた方が良かったんやけどな〜」
「兄貴の都合なんて知らんわ。一ヶ月って約束は守ったんやしもうえぇやろ」

「光、お前は確かに約束を果たした…いや、果たすよな。」


まぁとりあえず座れとリビングのソファに案内する

「せやけどこの一ヶ月。何もなかったとは言え、
ちゃんと別れて別の女と付き合ったことは事実やろ?」
「ちゅーか…兄貴の友達の妹やったなんて俺知らんかったし」


xxx
遡ること一ヶ月。

いつもの如く、
遊び好きな兄貴に行きつけの娯楽場に付き合わされて
「今日は友達も呼んでるんや〜!」
「今日も、やろ」


そこに居たのが先輩とその兄貴で

「財前君、久しぶり〜」
「何や、知り合いやったん?」
「ちょっと前に委員会が一緒やった先輩…」

今思えばこの時点で兄貴は知っていたんや、ムカつくわ


「今日何賭ける〜?」
「せやなぁ〜何がえぇかなぁ」
兄貴同士が会話していた所に、先輩はあの話を持ちかけた


「財前君、と付き合っとるんやって?」
「…えぇ、まぁ。」

「前にから聞いたんやけど」





「私、どう頑張っても光の一番にはなれないんですよね」
「え、何で?」

たまたま図書整理の当番が被った時、が言い出した


「先輩が一番だからって言われたんですよね…
だから補欠っていうか、そんな立場で。
何で付き合えてるのかも微妙な所なんですけど」
「財前君がそんな事言うとったん?」


コクリと頷く





「今日のビリヤード、勝ったら私と付き合ってみる?」

「そない昔の話…まだ気にしとったんかあのバカは」
昔って言っても半年くらい前の事やけど





「っくし!風邪かなぁ…」



「あれ、もう脈無し?」
「確かに先輩の事気にはなっとったけど、
別に告ってどうやっちゅーレベルでは無かったんですわ」
「そやの!?」
「せやから別の賭けで…」

「えぇやん光〜。せやったら負けたら一ヶ月付き合ってみるとかどや?
もしかすると合っとるかもしれんし」
「兄貴、楽しんどるやろ」
「せやな!」

即答やん

「アホらし、帰るわ俺」
「逃げるんか?」
「そない挑発には乗ら…」
「一ヶ月でちゃんの心が離れるのが怖いんやろ」
「ちゃう」

「ま、その程度の関係って話やな」
兄貴は追い打ちのかけ方が巧い。
「…賭け乗るわ」



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冷静にやっとったら勝てるゲームやったんやけどな

を傷つけた。分かっとるわ、そない当たり前の事」
俺がにしたいのはこない陰湿な事やない

せやけど、
一度交わした約束を破るのは自分の中でのタブーやった

「許されへんやろな、裏切ったんやから」
「お前そない好きやったんか?」

「嫌いやったら補欠と付き合うわけないやろ」

むしろ身近すぎて気付いてなかったんや

はアンカーやったのに


「灯台下暗し…」
「は?」
「とにかく、兄貴に何言われても俺は先輩と付き合わへんから」


光は自室に戻るとベッドの上に横たわりながら携帯をいじり始めた



話したいことがある、明後日の午前0時、公園で待っとるから


約一ヶ月ぶりのメール

開けるのに緊張すること10分

「午前…0時?!中学生は外出てたら補導される時間だよそれ」

でも

「行かなかったら行かないで後が怖そうだし…」
と言うより一番怖いのは
光に会って自分の気持ちを抑えられるかどうかがだ。

まぁ明後日の事だし、今は明日の遊びだ遊び!


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翌日…

「なぁ、さっきから時間気にしとるけど何かあったん?」
「え?気にしてる?!何も無いよ!!」
ダメだ自分、無意識に…
「なぁーこれ似合うー?」
「ま、時間が来ない限り何も起こらないわけだし」
「んー?」
「別に、何でも!」

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「最終日ってことを良い様に使うんですね」
「あはは、まぁねー」
一方の光は先輩に呼び出され、最後のデートなる物をしていた。
他の人からはカップルとして見えてるんだろうなと思う。

にフられたら、もう一ヶ月位は相手してあげてもえぇよ」
「そうっすね、考えておきます」
「目が笑って無いよ!」
「先輩はそれでえぇんですか」
「何が?」
「本気でも無い男と付き合って、楽しいんですかね」
「あんまり深く考えてないな。財前君は友達…って感じ」
「・・・無理、してませんか?」
「そうやね、正直がちょっと羨ましいかな」


時間はあっという間に過ぎて行った。



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午後23:50
コンビニに行くと嘘を告げ、家を出る
空は真っ黒で、私の中にはアドレス消して欲しいとか
金輪際関わるなとか言われるんじゃないかって言う不安が9.9割を占め、
でも0.1割位はもしかしたら…と言う希望があった


約束の時間の5分前に到着した私は
とりあえずブランコを漕ぎながら相手が来るのを待っていた

ブランコなんて乗ったの久々だな、何年振りだろう

しかし深夜の公園でブランコを漕いでる女子中学生。
怪し過ぎる…と言うより警察に見つかったら即行補導される
「家出少女か、自分」
思わず自分にそう突っ込みながら。

「お巡りさんあっちです、不審な少女が居るのは!」
「やば、見つかってるし…眩しっ」

顔にライトが当たった

「…何て」

けどそのライトは携帯のライトであって。
薄目を開けたその先に居たのは
「光…」

0:02。約束の時間は過ぎた。
光は、ブランコを囲む柵に座りながら話し始めた

「今更何をどうせぇなんて言える立場や無いから
に何も頼まへんし、求めない」

…?


「ただ、俺にとっての一番はやった」

「…あ、え!?」
開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ


「遠くばかり見とって、近くに居たエースに気が付かんかった。
お前の事が好きや、ずっとな。それだけ言いたくて」
「な、何でこの時間にそれを?」
正直、訳が分からなかった。状況が飲みこめない

「シンデレラの呪いが解けたから」
「シンデレラ?って言うかあれは呪いじゃなくて魔法で…」
変な例えをされて余計に頭が混乱する

「負けず嫌いが仇になった…ホンマにすまんな」

あの光が下手に出てる。珍しい事もあるものだ
「ん?ってことは、私は光の一番だったの?」

黙って頷いた光を見て
我慢出来なかった私は、ブランコから飛び降りて
数歩先の彼の元に駆け寄った

「私、ずっと二番だと思ってたんだよね。
でもそれって、いくら努力しても光の気持ちが変わらないと
一番にはなれないから諦めてたんだ。
だけどどこかで一番になりたい自分がいて…何言ってるんだろ。
私の中で光は一番で…うーんと」
あまりにも状況が整理出来なさ過ぎて言葉に詰まる

そんな残念な姿を見兼ねてか、光は黙って抱き締めた

「こう言う傷付けるの大嫌いや」
「ど、ドSのくせに?」
痛む姿を見て楽しむのがサディストなんじゃ…

「いや、ドSちゃうし」
…光をドSじゃないとするならば
他の人は殆どマゾヒストに分類されるぞ

「なぁ、俺とまた付き合ってくれへんか」

耳元で自信なさげに囁く

「裏切った」
「分かっとる」

「なのに…この一ヶ月間、ずっと自分の気持ちに嘘吐いて
忘れようとしてるのになかなか忘れさせてくれない」

泣きながらは続ける

「次別れるって言う時は一ヶ月前に言って下さい…」
「仕事辞めるわけやないんやからそない前から言えんし」

は、目を潤ませてこちらを睨んでいた

「承諾…ってことでえぇよな」

怯まず問いかける

「そうだね、大好きだよ。惨めな程に」

今まで”好き”と言う言葉を数え切れないほど聞いたけど

「好きって言葉、こない重かったんやな」
「うん」
「広げた傷は時間かけてじっくり縫い合わせるから」
「あれ、塩塗りこむとか言わないの」

彼は笑いながらこう告げる

「俺が塩を塗りこむのは目に見える傷だけやから」

…ちょっと待て
「や、あの。そっちの方が感覚的には辛い…」
「その場の痛みの方が楽やろ」
「楽じゃない!だから」

反論を吸い込むかのように口で塞いだ

「ばっ…私まだ許したわけじゃ」
「せやな」
「分かってるんだったら何でいきなり」
「本能が理性に負けてもーて」
「ところで何で先輩と付き合ったの?」
「賭け…やな。
お前が一ヶ月で離れる関係やったって認めたく無くて
…せやけど意地張った結果がこれやし」
「ふーん、じゃあ今度は私と賭けしてくれる?」
「何を?」

は胸の中で提案をした

「私が勝ったら、今度別れる時は理由をちゃんと言って欲しいの。
何も分からないまま一方的に居なくなられると
白黒ついてなくて物凄い引っ張るって分かったから」
「約束する、そんな日が来るんやったらな。
で、俺が勝ったら…って話もしてえぇの?」
「うん、賭けだから」

頭を撫でながら光はとんでもないことを口にした

を好きにしたい」
「…す、好きにとは具体的に」
「せやな、色々と。もう離しとうないし。で、何で決める?」

まだ良いって言ってないのに話が進んでしまった!

「え?そうだなぁ…あ、靴飛ばし」

私はブランコを指差しながらそう答えた
「ブランコとか乗るのめっちゃ久しぶりや、飛ぶかなぁ靴」

光は嫌な顔も特にせず、ゆっくりとブランコを漕ぎ始めた
何か可愛いな…そう思いながら私もブランコを漕ぐ


そんなこと思って甘く見ていた結果は…


「うん…」
「賭けには勝ったけど、傷はこれ以上大きくせぇへんから」


「約束だよ」
もな」
「…あ、」


そうだ、何か物凄い事賭けられてたんだ!!



END


>>>コメ。<<<
切甘な夢を…!とコメント頂いて
どんなだろう…どんなだろう…と思いっきり手探りで書いたのがこれです。
確実に期待に応えられていない気が満々なのですが、
私が書く切甘はこんな感じです(爆死)すいません…!(土下座
毎回のようにSを否定する財前君ですが、S程そう言うんだと思います(きっと



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