***Stick with yourself***
自分のために生きてるんだから、着飾らなくていいんだよ
人生は時に困難だ、でも朝は必ずやってくる
自分のために生きてるんだから、着飾らなくていいんだよ
人生は時に困難だ、だから君自身でいなきゃ

Stick with yourself

「はぁ・・・」

さっきからため息ばかり吐いている
いつもそうだ。大会前とか、試合前になると決まってため息が増える
・・・一緒の部屋にいるのに何だか別の空間にいる気分。


「やっぱり慣れないものなんだ」
「ん?何が」
「部長としての責任感・・・とでも言おうか。
蔵ノ介さっきからため息ばっかり。部活のこと考えてるでしょ?」
「せやな・・・責任感っちゅーか、何となく不安にはなっとるのかも」
ペンを回しながら答える

テニスの聖書とまで言われたらプレッシャーなんて半端じゃないだろう
・・・待てよ、不安になってると言うことは
色々考えて頭がパンクしそうー!って状態で・・・
つまり、今私の方が行動起こすなら強い!?無抵抗ってやつだ!
あ、何でも出来そうな気がしてきた!
(さん、それは物凄い勘違いです)

「・・・何人の顔見てニヤけとんねん」
若干機嫌の悪そうな声色で突っ込む
「えっ!?あ、何でも無いけど」
危ない、顔に出てるよ私・・・

たまたま好きなバンドのDVDがあって、それを見ているのに
私の中には既に内容が全く入って来ていない


蔵ノ介は資料を見つめながらまたため息を吐いていた

さて、どう攻めて行こうかな
後ろから抱き付いてみる?・・・それは気持ち悪い。
押し倒してキスするとか・・・そんな大胆なこと今の状況でも出来ない

・・・力になれるなら何でもするよ!いや、それは言ったらまずい。

、DVD止まってんで・・・?」
DVDの再生が終わって最初の画面になっているのに
は一向にテレビから視線をそらさない

・・・何か見えるんか?恐いわ


前から抱きついて・・・いや、抱き付くパターンはどれも気持ち悪い

どうやらは有利になった今の状況をどう攻めて行くかという事を
考え過ぎてしまい、逆に何も見えなくなっているという始末。
しかしそれは、白石にとって逆に有利なわけで。

「んっ」
あれ!?・・・しまった!もしかしてボーっとし過ぎてた!?

唇から離れた蔵ノ介の口元は薄っすらと笑みを浮かべていた
「どないしたん、ぼけーっとして。このバンドそない陶酔する程好きやったんか?」
「ち、違う・・・本当は私が襲う予定で・・・襲うって言うか何と言うか」
どうやらまだ現実に馴染めていないようで、言ってはならない一言を呟いてしまう
「襲う?誰を」

獲物予定だった人物を黙って指差す
「へぇ・・・襲おうと思っとったんや」
「襲うって言うかほら、蔵ノ介色々考えてて上の空になってるから
て、抵抗しないかなって・・・チャンスって言うか」
睨む獲物を目の前に、もはや言葉も滑らかに出て来てくれない

「別に今の状況や無くてもやったら襲ってえぇねんで。
せやから付き合うとるんやろ?」
余裕綽々に蔵ノ介は話す
「遠慮しとく・・・」
この場合、もし仮に私が襲ったとすると、
逆の立場になって
「あの時にされても何も言わなかった」とか言われた場合、
「そうですね」としか言えなくなってしまう。
要は仕返しが恐過ぎると言う事だ。

「ねぇ、基本を極めるのってつまんないことでしょ」
「・・・話し変わり過ぎやで、お前」
「何か蔵ノ介の顔見てたら急に聞きたくなって。
でも基本がしっかりしてないと上達なんて有り得ない。
軽音も同じでさ、コードが出来ないと基本的に良い音楽なんて生まれない
・・・まぁ、別に使うコードだけ覚えておけばあとは応用出来るんだけどね」

バンドのDVDに食らいつくところからも伺えるが、
は軽音楽部の部長をやっている。
だから基本がなっていないとどういう結末が待っているかを良く知っていた

その話を黙って聞いている白石

「満遍なく、苦手が無くなるなんて並大抵の努力じゃ絶対無理。
だから聖書って呼ばれる理由も分かる。
けど、いくら基礎を極めたって終わりは見えない
・・・っていうか無いと思う、時間が止まってくれない限りは。
やっぱり得意不得意って存在すると思うんだ、それは本人が一番分かってる」

は俯いて目にかかっていた白石の髪を掻き上げると
自分の方に顔を無理やり向かせて視線を合わせた

「努力は結果になって絶対出るから、もう悩まないで」
・・・」
白石は切なそうな中にもハッとした表情を浮かべながら見つめる

「こんな事言った所で不安が消せないのは分かる、
部長だし勝たなきゃっていうプレッシャーになってるのも分かる。
だけどその分蔵ノ介は人より努力してるから・・・って、
そんな見つめなくて良い!照れるから!!」
「いや、お前が勝手に顔持ち上げたんやろ」
「あ、つい感情が出てしまって・・・すいませ」

急いで離そうとした手を逆に掴まれる
「離さんといて」
「だからゴメン・・・え?」
「暫くこのままで居させて」
「で、でも」
「視線逸らすな」
「はい!・・・私今めっちゃ顔赤いよね?」
「ちゅーか赤通り越して紫になっとるで」

「マズいよそれ!もう良いでしょ!?何この至近距離での真剣な睨めっこは」
紫になるって照れる超してどうなっちゃってるの私、蔵ノ病とでも言う!?
嫌だよそんな病、大体処方箋が見つからない。
「ははっ、珍しく真剣な事言うから頭ぶつけたんかと思ったんやけど大丈夫そやな」
「・・・ひどい」
たまには真剣な事だって言わないとただのアホキャラになっちゃうし

「今日が傍に居ってくれてホンマに良かった、ありがとう」
少し照れ笑いを浮かべながらそう口に出した蔵ノ介は、
中学生らしいあどけない顔をしていた

「でしょ?もっと感謝しなさい」
「・・・そういうとこ可愛くないねん、お前は。
可愛くニコっと笑ってどういたしましてとか言えへんの?」
「逆に聞くけど言って欲しいの?」

「・・・いや、えぇわ。気持ち・・・何でもあらへん」
「あー、今気持ち悪いって言おうとしたよね!?」
「し、しとらん」
「絶対言おうとした!良いよ、言ってあげるよ!!」
「せやから言わんでえぇて!」
「なんで!言って欲しいんでしょ?どういた―」

強制終了。
どうやらのぶりっ子は相当見たくなかったらしい。

塞いでいた口を離すとは睨みながら先ほどの言葉を続けようとする
「しま―」
「諦めや、こうなったら意地でも言わせんから覚悟しとき」

「や・・・やだ」
「そういえばさっき俺を襲うとか言うとったよな」
この人は自分にとって有利になる発言は絶対に忘れない
「あ、そうだ。宿題あったよね今日!帰ってやらないと」
まずい、励まし過ぎた。蔵ノ介が元気になってしまった
それは嬉しい事なのだが、は色々と身の危険を感じ始めていた

強引に手を離し立ち上がってドアに手をかける
確実に巻けた、そう思った矢先だ
「宿題なんてノート写せばえぇやん、貸したるからその分の時間俺が貰てもえぇよな」
そっと囁きながら両腕は体を囲って確実に拘束している
「それはまた、随分と白石君らしくない滅茶苦茶な発言ですね」
かて自分で宿題やってきた試し無いやん」

「・・・参りました」

私はそれ以上言い返せなかった


END


>>>コメ。<<<
基本がしっかりしてないと・・・って言うのは何にでも言えるんですが、絵もそうですよね、
書いてて何だか自分が言われてるみたいな気分になって軽く凹みました(暴露
白石を襲うとはまた大胆な事を考えたものです。失敗したけど・・・!笑
冒頭文はGood4Nothingの曲から。疾走感のある良い曲です:-)



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