***marry me***
「いよいよやな、結婚式ー!」
先生は、電話で楽しそうに話していた

marry me

先生を探していた時だ、
たまたま電話越しの会話が聞こえてしまった
・・・結婚式

その単語だけが頭にずっと残ってしまっていて
その日からあんなに仲良かった先生と私は、一線を置いていた


叶わない・・・なんて分かってる
相手にされてないことだって分かってた。私は生徒。

でもそれが
”ゼロ”になってしまった瞬間
何とも言えない無力感に陥ってしまう物なんだと痛感する

「教師を好きになった私がバカだったんだ」

そう言い聞かせて、
毎日のように他愛無い話してたりとか
分からないとこ一生懸命探して聞きに行くのも止めた。


いくら頑張ったところで、
先生の傍に居る人はもう決まってしまっているのだから


そんな風に無理やり気持ちを傾けさせてから三日経った放課後
既に他のクラスメイトは部活や、帰宅してしまって
教室にはウォークマンを聞きながら宿題を解いている私と
同じように勉強している男子生徒が数名位しか居なかった


ー・・・」


だから、自分の世界に入る程音楽の音量を上げていた私は
呼び声も聞こえず、気付いたのは肩を軽く叩かれてからだ

「・・・用事ですか?」
「最近・・・って言うても三日位か。
のどーでもえぇ話聞いとらんなぁって、ちょっと心配で見に来たんやけど」
「どーでも良い話をしたくなくなったから」
「それは答えになってへん」
前の席の椅子に座りながら心配そうな顔で見つめる

何も言わず問題集を解き始めるに対し、オサムちゃんは続けて話す

「勉強も捗っとるんやな」
「お陰様で」

三日前とは明らかに違う態度に教師の勘が働く
「はぁ、原因は俺か」

はその一言に一瞬反応したかのように見えたが
何も聞いてないかのように問題を解き続ける

「別に、先生がどうってわけじゃないけど」
「せやったらおかしいやろ」
「・・・私はただ!
おっと、危ない

ただ、気分が変わっただけ」


乱暴に勉強道具をカバンにしまうと
コートも羽織らないで手に持ったまま全速力で学校を飛び出した





古ぼけた
”立入禁止”の看板が立ててある廃ビル。
ここの最上階からは学校が良く見える

一人になりたい時はよくここでボーっと景色を見つめていた

・・・あーぁ、何やってるんだろ。


カンカンカンカン


階段を上る音がビル内に響く
今まで一度も人に遭遇したことはないのに
一体誰が何の用事で?
私みたいにボーっとしたい人?

と、思いながらも私は無意識に瓦礫の影に隠れていた


足音は最上階に到達した。
・・・ま、マフィアとかだったらどうしよう
余計な妄想をしてしまったがために、逆に恐怖心と緊張感が込み上げて来る

口から心臓が出そうとはまさにこの状態だ


息を切らしながら、足音の正体は呟く
「ここでも無いか・・・アイツどんだけ足速いねん」


カンカンカンカン・・・

足音がまた遠ざかって行って、恐る恐る元居た位置へと戻る

「ビックリした・・・。オサムちゃん、ここまで追って来てたんだ・・・」
どうしてそこまでして真実を突き止めようとするんだろう?
と言うか、何で此処の事知ってたんだ・・・

「あ、そっか。」
思い出した、私が前に話したんだっけ


・・・


「学校の延長線上に建ってる立入禁止のビルあるでしょ?」
「あぁ、朝通るのも恐いわー何か出そうで!」
「でもあの最上階での景色はかなり良いんだよ!隠れた名所だね」
「ちゅーか立入禁止のビルに入ったらあかんやろ〜」

・・・


「生徒から聞いた話は、極力忘れんようにしとるつもりや。
まだ教師歴浅いし若いからなー!他の先生より記憶力がえぇねん♪」


・・・ちょっと待て


振り返った先に居たのは



「ど、どうして・・・だって」

「だって足音が小さくなったのにー・・・とでも言いたそうやな。
足音なんていくらでも誤魔化せるやろ、音の大きさで」


つまり私は、まだその場に居た先生に、まんまと騙されたわけだ
・・・涙が止まらない
それは悔しさなのか、そこまでして問い詰める優しさになのかは分からない

ただ、涙が止まらかった。

「な、泣くなてー!誰かに見られたら誤解されるやろ!?」
「分かんない!涙が止まらない!!それにこんなとこ、誰も来ないし・・・」

「無理やり先生離れしようとした理由は?」
オサムちゃんは涙を拭いながら質問する
これ以上隠したとしてもこの人はきっと諦めないだろうと思い、は口を開いた
「先生が結婚するから・・・」


・・・


「俺が?」
黙って頷く

三日前・・・オサムちゃんは必死に三日前の事を思い出そうとしていた
あの日は確か・・・

「あぁ、結婚な。聞いとったんか
「た、たまたま聞こえて来ただけだし」
「せやけど・・・別に俺が結婚したところでお前には何の支障も無いやろ」
「ある!」
は即答した

「・・・どこが?」

「鈍感!一生懸命分かんないとこ探して聞きに行ったのも、
どうでも良い話しに行ってたのも、全部、全部・・・」
オサムちゃんの顔が見たかったから



何て、言えるわけが無い


「せやったんか!!わざわざ分からん部分探しとったから
の質問はいつも難しかったんやな!
マニアックな問題ばかりで毎回冷や冷やしとったんやで。
俺への挑戦状かと思っとったけど、ちゃうんか?」

「違う、私先生に本気で恋し」
「わー、ストップ!!」

めちゃめちゃ焦りながら会話を遮るオサムちゃん

「どうしてここで止めるんですか、本当のこと聞きたいんでしょ?
全部話して私から離れてくれるんだったらもう言うから」

「いや、それ以上は言わんでえぇ!!もう分かった!」
「何焦ってるの、もう後の祭りなんだから言わせてよ」
は言おうと決意したら言うなと言われ、若干半ギレだった

「言われたらお前の事生徒として見られなくなるやろ!?
少しは俺の気持ちも考えてや!」


・・・


「いやいや、別にそこまで気にされることでも無くない?
オサムちゃんのこと気になってる女子なんて沢山いたじゃん。
・・・そこまで気にするものだったんだ」
「うーん、せやな・・・どう伝えればえぇんやろこういう場合・・・
教師は一個人を贔屓するような発言はしたらあかんし」

オサムちゃんはピンと来た
発言がダメなら行動だ、行動!・・・と、何とも単純な発想だが。


「オサムちゃん!?」
を抱きしめながら必死に言葉を探すも、なかなか見つからず・・・
「つ、つまりこういう事や!後は察してや!!」

意味分かんないよ、どういうこと!?
「結婚するんでしょ?」
「する!・・・・・・友達が」
意地の悪い教師は自信満々に返した返答にボソッと付け足した

「はぁ!?友達?!」

抱きしめた右腕を背中に回して指で文字を書く

「は、な」
「声に出さんで」

・・・れ、る、な
は心の中で文字を読んだ

「・・・えー?分かんなかったからもう一回」
「お前絶対分かっとるやろ!?」
「いや、分かんない」
「せやから・・・」
「オサムちゃんこそもう離さないでよー?」
「はな・・・って、やっぱり分かっとるやん!!」



END


>>>コメ。<<<
何となく展開読めましたかね・・・!すいませんワンパターンで・・・!orz(でも好きこういうの・・・!
オサムちゃんが出る夢を良く見るんですが、その夢をイジって出来た話です(ややこしい
見た夢では生徒といざこざを起こして学校から逃亡するって話だったんですが
お店の中で逃走したりとかスパイが出てきたりとかかなり入り組んだ夢だったので使えるトコだけ使って見ました。
きっとあんな先生に追い回されたい願望があるんだと思います(暴露



>>>モドル<<<
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