***HideandSeek***
どうやら俺は嘘が苦手らしい


HideandSeek



「お兄ちゃん、のどこを好いとーと?」

いきなりの直球な質問。
「…その前にどこでの話聞いたと?」

「お母さんが言うとった!」
「母さん…」
口軽過ぎたい、ミユキにはまだ早いやろうから言わんでって念押しとったのに

「ねぇどこ〜?」
「ま…真面目に答えないかん?」
「当たり前っちゃね!!お兄ちゃん、うちん事子供やと思っとる!!」
「いや、子供やろ?」

「違う!立派なレディー!!」
「す…すまん」
女子って難しかね…


妹の迫力に負けた優しいお兄ちゃんは極力分かりやすく話を進めることにした


「えーと、そうばいね…まず話しやすいって所かな。一緒に居って辛くない」
「うんうん」

恋バナに興味津々のミユキ

「あとは…騙されやすいから退屈もせんし…こぎゃん感じでよかと?」
「えぇそれだけ!?それだけやのにがよかねお兄ちゃん!?」


「いざ具体的に…って言われると出て来んなぁ。」


兄妹でそんな話をしていると、インターホンが鳴り響いた

「うちが出る!」



ドアの先には噂の人物が。

「ミユキちゃん、遊びに来てたの?」

!うちちょうどに聞きたいことあるっちゃね!!早く入って入って」
「何だろ〜?あ、おじゃまします」
「いらっしゃい」


「ここからは女同士で語るからお兄ちゃんはどっか行っとって!」
「ミユキ冷たか」

「家の主が寂しそうにしてるよ?」
「甘やかしたらダメ!」
これでは兄と妹の立場が逆だ

そう思いながら
静かに家を出ていく千歳

ちょうど見たかった雑誌もあったし、本屋にでも行ってこようかな





「はい、お茶」
「どうも…で、女同士の話って?」

はお兄ちゃんのどこに惹かれたと?」

「直球だなぁ…
千里を外したのはこういうことだったのか

そうだね、ミユキちゃんはずっと見てるから慣れちゃったかもしれないけど、
お兄ちゃんカッコ良すぎるんだよ」

「お兄ちゃんが?」
案の定ミユキちゃんは驚いた面持ちで聞き返してきた

「うん、外見も中身も」
「確かにすっごい優しくてうちも好きやけど、喧嘩して怒ると恐か」
「へぇ〜、歳離れてるから千里が引くのかと思ったけど、喧嘩するの?」
「お兄ちゃんがうちの事子供扱いしてばっかりで!」
「なるほど。こんなにお姉さんなのに酷いね」
「分かってくれると?」

「分かる分かる、私もミユキちゃんと同じ位の時は好きな子追い掛けたりしてたから」
「その子に告った!?」

は首を横に振る
「ううん、出来なかった。同じクラスの子だったんだけど、
男子って子供っぽいから、からかわれたり、言い触らされる方が嫌だなぁって思って」
「じゃあもし、今その子とお兄ちゃんが居たらどっちがよかと?」

「勿論お兄ちゃん」
「どげんして?!」

「成長したから…かな?考え方が変わったって言うか。その子より千里の方が上なんだ」

ミユキはそれを聞くと、真剣に話し始めた

「…実はうちも今好きな人が居るっちゃね」
「お、そうなんだ」

「ばってん、お兄ちゃんはダメだって反対しとって」
「反対?またどうして」
次の一言を聞いては納得する


「好きな人って蔵兄ぃなんやけど〜…」

「蔵兄ぃって…白石?」
「あたり!」

「え、えーと…」
身近だ、これまた身近過ぎる




xxx

「あれ、千歳?さっきお前ん家行く言うて向かっとったで」
「…居るよ」

「せやったら何まったり立ち読みしとんねん」
「追い出された」
「…は?」

「ミユキに女同士で話したいから―って」
「ははっ、それで追い出されたんか?!あかん、ツボった」

「白石笑い過ぎ」

「女同士で会話やなんて、ミユキも大人になっとるんやない?心配やな、お兄ちゃん」
「そっちこそ、彼氏とか作っとったりして。お兄ちゃんには秘密〜とか言って」
「それ言われると不安になるやんか」
「自分で言っといて俺も不安なったと」


妹に過保護過ぎる兄貴約二名。

各々雑誌を読みながらも頭では別のことを考えていて
そんな中、千歳の携帯が鳴った

「もしもしお兄ちゃん?今どこ?」

「近くの本屋だけど」
「これからと蔵兄ぃに会いに行くから帰って来て!」
「白石に?白石なら同じ本屋に居るよ」

「本当!?蔵兄ぃに代わって!」
「え?どげんして」
「いいから!!」

仕方無く植物関係の本が並んでいるコーナーに向かう

「白石、ミユキが代わって欲しいって」
「俺に?」


訳も分からずとりあえず携帯を受け取る白石

「ミユキ?俺やけど…どないしてん」
「蔵兄ぃ暇?!」

「まぁ、忙しくはないな」

「これからうち来て!渡したい物があって…」
「千歳に確認せんでえぇの?」
「とにかく早くせんと帰る時間になるっちゃね、それじゃ!」

ツー…ツー……

「何て?」
「渡したい物あるだけ言うて家来いって言われたんやけど」
「スマンけど来て貰ってもよかね?連れてかんかったら喧嘩になるやろうし…」

「構へんよ。とりあえずこれとこれを…」


白石が手にした二冊は

植物の全て〜I love plant〜

世界の小悪魔フラワー
毒のある花は華がある

というなんともマニアックな二冊だ

「それ、本当に買うと?」

「当たり前やろ、これ買わんで何買うんやっちゅー話や」
「・・・」
千歳は何も言い返せなかった




数十分後、家の主が戻って来る

「おじゃましま・・・」
「蔵兄ぃ!!早く早くー!」
「ちょ、ミユキ落ち着き」

「寂しいね、お兄ちゃん」
・・・何やってたと?」
「ちょっと白石にプレゼント作ってて」



「手紙?」
座るや否や手渡される可愛らしい封筒
「うん・・・貰ってくれる?」

白石は何も言わず微笑みながら封筒を手にする
「俺に書いてくれたん?ありがとう、貰うわ」

そんな微笑ましい光景に思わず呟く
「私も書けば良かったな」
「じゃあ後でお互いに書き合おうか?」

それは意外な一言だった
「千里からのラブレターなんてレア過ぎる・・・嬉しくて倒れるかも」
「大袈裟ばい」

「これって、今読んだらあかん?」
「よかよ!」

手紙に綴られていた文章は、小学生らしい
素直で、真っ直ぐな物だった。

「あー!お兄ちゃん覗かんで!!」
「す・・・すまん。気になって・・・」
「まぁまぁ、しょ気ないのお兄ちゃん」


手紙を読み終えた白石の第一声はと言うと、
「何や、全然えぇよ。今度遊びに来た時にでも」
「本当!?指切り!!」
「ははっ、指切りなんて懐かしいな」

「良かったねミユキちゃん!」
「うん!!」
満面の笑みを浮かべるミユキ。


こうして、ミユキとの手紙作戦は無事に幕を閉じたわけだ。



・・・一部納得していない人物を除いては。
xxx
「デートなんてまだ早か!」
「良いじゃん、白石も快諾してたわけだし一回位〜。
それに、千里だって付き合ってるんだから妹の事言えないよ」
どうやら手紙の内容はデートの誘いだったらしく、
過保護な兄を必死に説得する

「ばってん、俺がミユキ位の歳の頃は・・・」
「恋する歳なんて関係ないー!ほら、私手紙書き終わったけど」
「待って、いざ書くとなると何書けばよかか悩む」
と、言いつつも頭を抱えながらペンを走らせる


数分後

「書き終わった。はい、
二人はお互いの手紙を交換すると黙読を始めた


千里へ

まさか付き合ってる人に手紙書くとは思いませんでした。笑
さっき、ミユキちゃんに千里のどこが好き?って聞かれて
正直、何て答えて良いのか困ってね・・・その結果、
外見も中身もカッコ良過ぎる・・・なんて曖昧な返答になっちゃったんだけど。

例えば、中に何が入ってるか分かるオマケ付きのお菓子あるじゃない?
番号とかが振っててこれが入ってます〜的な。
あれを買って、中を開けたら想像もしてなかった位レアなおまけが入ってたっていうか。
うーん、分かりにくい。

外見はニコニコしてて優しそうなのに
物凄い頼りになって、知らない間に引っ張られてて、どんどんハマってってるんだと思う
でもその分時々サディストになられるとドキっとするので止めて欲しい・・・
って言っても本人は気付いてないから厄介なんだけど。

そんなこんなでこれからも沢山愛してくれたら嬉しいとか書いときます。私は愛します。
書いたモン勝ち、そして書き逃げ。



これを読んだ千歳の感想はと言うと・・・
「時々サディストになっとる?」
「なってる」
「そうかな・・・」
ほら、こういうところが気付いてないサディストだ。

一方のはと言うと
「ねぇ千里」
「ん?」
「字、上手いよね」
「そう?どうも」
「文章も・・・」
何でだ、何でこんなに照れさせる文を平気で書けるんだこの人は!?
サディストか、言葉のサディストなのか!?(落ち着いて下さい)

「とりあえず・・・抱き付く」

隣でいつものように話を返す千歳めがけて飛びつく
「わっ、!?いきなりどげんしたとね?」
「もうやだ−!」
「何か気に触ったと?手紙書いた事無くて・・・」
「違う、逆にやだ!!何でかなぁもう・・・
私の方が沢山手紙書いてるのに全然上手く伝えられない」
「逆に?と言うか、俺からすればの手紙、凄い嬉しかったけど」
「約束して!あの手紙の最後の文だけは守るって」

小指を出しながらは言い放った

「約束する」

の変にハイなテンションに翻弄されつつも
千歳は小指を絡ませながら返答した

「ゆーびきりげんまん、嘘吐いたら針千本のーます、指・・・」



きーった・・・


私は心の中で歌い続けた。
いや、心の中でしか歌い続けられなかったという方が正しい。



「ちょっと、何で途中で・・・指切れてない!!」
「真剣に指切りしとるがあまりにも可愛くて、我慢の限界が」
「か・・・さらっと言わない!照れる」
「はい、指切った。これでよかやろ?」
「だってまた最初から言ったら同じ事になるんでしょ?」
「分からんよ」

は絶対また口止めされるんだと確信した
ちなみに千歳が送った手紙の内容はというと・・・



手紙書く・・・なんて言ったばってん、何を書けばよかか・・・。
そういえば手紙っていつも貰う一方で、返事書いた事無かったな。

さっきミユキに、のどこ好いとるか聞かれて大雑把な返答しか出来なくて。
一緒に居って楽っていうのが一番だと思っとったけど
よくよく考えて見た時にそれは違うってことに気付いた。

答えはもっと単純で、俺にとってのは宝物。

宝箱の中の物って、鍵さえあれば簡単に盗めるやろ?
でも、その鍵が内鍵で中から開けられる物だとしたら。
つまりに好きな人が出来て、その人に心を開く時が来たら
それはもう、俺の宝物じゃなくなるってことばいね。

だから今は宝物。
何や意味分からん文章ですまんな。

最後に、これは俺が書く最初で最後のラブレターだから



「内鍵、預けちゃおうか」
「え?どうやって」
「外鍵にするんだよ!千里の鍵と交換する。そしたら私の物だし」
「あはは、それは名案ばい」



END


>>>コメ。<<<
手紙ネタ。前にも千歳夢で手紙ネタ書いた事あったんですが
今度は何と千歳からラブレターですよ奥さん!!(誰ですか
ラブレター貰いたい・・・!いっそ鍵を掛けて閉じ込められても千歳だったr(強制終了



>>>モドル<<<
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送