***Stray Cat@***
思いを言葉で紡げない私は、ただの人形






彼はそっとベッドから出て着替えを済ませた。


私の髪を撫でて、その髪に口付けを落とす。
彼は、壊れ物を扱うみたいに丁寧に
何度も何度も、それを繰り返す、
私が目覚めるまで。




「起きたか、

「・・・ん・・」


私の顔を見て、景吾が小さく笑う。
気だるそうに起き上がる私を
そのまま抱きしめる。そっと優しく。



大事にされてる事は分かっている。
でも、大事にされすぎていて、
どこか不安になったりもする。




「帰らないと」

「じゃあ、表の車使え」

「歩いて帰れるから、心配ないよ」

「俺が心配なんだよ」





景吾はいつも私に優しい。
優しく触れて、優しく抱いて、優しいキスをくれる。


時々すごく怖くなる。
『何故そんなに優しくしてくれるの?』と
『幸せすぎて怖い』とは少し違う、
バカバカしいかもしれないけど、とても怖い。
この気持ちは一体なんだろうか?



もうすぐ春だというのに、見上げた空は、
まだ灰色で、吐く息は白くなっていく。
















廊下を歩いていたら、聞きなれた声がして振り返った。

「何、手塚君」

「こないだの書類なんだが、不備があったらしい」

「また?」

「ああ、だから……」

「分かった。じゃあ放課後は手塚君と
生徒会室でデートだね」

「いいのか?」

「なにが?」

「跡部」


小さな声で手塚君が言った。




手塚君は、私と景吾が恋人同士なのを知っている。
時々相談を聞いてもらったりする事もある。
その度に、心配されてることも知っている。


「今日は逢う予定ないから、大丈夫」

「そうか」










放課後の生徒会室。



私と手塚君は、不備のあった書類に目を通してから
手直しする、という坦々とした作業を続けてた。

静かな部屋の中には、書類を捲る音だけが聞こえる。



「跡部とは上手く言ってるのか?」

後ろから声が掛かった。

「別に上手くいってない訳じゃないよ」

私は振り返らず、書類に目を通しながら答えた。

「すまない。ただ……」

「ただ?」

「あまり幸せそうに見えないから」

言葉の意味が分からず、私は作業する手を一旦止めて、
身体の向きを変えた。


「幸せそうに見えないって、なに?」

「笑ってない」

手塚君が真っ直ぐこちらを見て言う。
その眼鏡の奥の瞳が綺麗過ぎて、怖くて、
私は目を伏せ俯いた。


「笑ってるよ」

「笑ってないだろ」

「笑ってるって」


声が大きくなってるのが分かって、慌てて口に手を当てた。


静まり返った部屋の中、
時計の秒針の『カチ カチ』という音だけが
やけに大きく聞こえる




「じゃあ」



「じゃあ何故、そんなに寂しそうに笑うんだ?」







心を見透かされてるみたいで怖かった。
何故この人には分かるんだろう

どうして分かったの?






>>>感想<<<
かなり続きます。この話。(姉様曰く。)
いいなぁー、あたいも跡部様に優しくされたいなぁー(吐血)
こんな優しくされたら誰だって恐いよ。なぜなら相手は俺様跡部。
ゴメンネ、姉様。ブンドリも頼んでこっちも続編で(泣き泣き


>>>モドル<<<
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