***ふたりごと***
これは口説くのが下手過ぎる大人と
サバサバし過ぎた少女のお話である


ふたりごと



花火大会?

「あぁ、そっかそっか。
やから浴衣美人が仰山おったんやな〜。で?」
「もう良い」

はあからさまに声のトーンを低くすると
本気で電話を切ろうとした

「あー!!冗談やて!!切らんといてやー!」
「知らない」
の事やから、一緒に見たい〜とか言う用件やったんやろ?」
「・・・」
「せやけど人ごみは嫌やからどないしようー的な」
「分かってるんだったら変な事入れてからかわないでよ!」
「俺ん家に来ればえぇやんか。ベランダからバッチリ見えるで、花火」

人の話シカトだし
「今日はずっと家に居るから、のタイミングで来て貰って構わんし」
「グータラ親父」
「ぐ・・・お前今・・・!!」



ブツっと切れた電話を持ったまま
今の言葉に凹むオサムちゃん


そんな親父と付き合っとる小娘はどこのどいつやねん!





xxx
そして…


「馬子にも衣装やな」
「またそういうこと言う!」
「あれ、これ褒め言葉とちゃうんか?!」
「違うー!」
「ははは、嘘やて!綺麗やで


無言のままベランダに向かう
その光景をこちらも黙ったまま見つめるオサムちゃん

何ともアンバランスなカップルだ


「うわー、意外と良く見えるじゃん!」
最初の花火が打ち上がり思わずテンションが上がる

キラキラ光る火の美しさに見入りながらふと後ろを振り返った
「・・・盛り下がる」

そこに居たのはビールを飲みながらテレビを見るヒゲ。

少し位一緒に花火見てくれても良いじゃん、浴衣なのに!
レアだよ!?夏にしか見れないんだよ私の浴衣!!

いくらそう思った所でエスパーじゃあるまいし、伝わるわけが無い

私はまた花火の方向に向き直し、一人で観賞を続ける事にした


良いんだ、今日は花火を見ることがメインなんだから



しかしはこの時何も気付いていなかった
実はテレビの電源が付いてなくて
黒い画面越しにちゃっかりオサムちゃんも花火とを見ていた事に―


そして蚊に刺されるのが嫌で室内に居た事も勿論知らないわけで。


「キレーやなぁ。花火も、も」


何て、呟いたところでこれも当然聞こえるわけが無い



そんな一時が数十分続き
ラストを飾るに相応しい一番大きな花火を見たが室内へと戻って来た

「・・・あれ、テレビ見てなかったの?」
「いや、見とったよ。花火大会を人ん家のベランダで見る女っちゅー番組」

ん?ちょっと待て、それって
、俺アレやりたい」
「な、何。そんな真顔で」


「時代劇とかであるやろ、帯クルクルするやつ」


・・・


・・・・・・



「却下!最っ低!!」
「えぇやんかー!一回だけ!!な、な?」
「うるさいこの酔っ払い親父!もー!!大嫌い!帰る!!」

「酔ってへんわ!」
「じゃあ尚更だよ!!」


よっぽどやりたかったのか
シュンとしたままそれ以上話さなくなってしまったオサムちゃん


「じ・・・自業自得なんだから!」

そう言い捨ててドアに手を掛けようとする

「諦めたんじゃ無いんですか、先生」


どう言うわけか、何かに帯を掴まれそれ以上動けない自分が居る


何か・・・いや、何かと言うかそれは酔っ払いの腕だ


「諦めたなんて一言も言うてへんよ、俺」
まぁ確かに言ってませんけど

「帯解かれたら私大変な状態になるんですけど」
「うん、知っとる。まぁとりあえずそこ座りや」

どの道帰ることも出来ないので渋々オサムちゃんの隣に座る

「何言われても帯はダメだからね」
「ちゃうねん、悪ふざけしっとたらこれ渡しそびれてしもて」

ポケットから四角い箱を取り出すとに手渡した

「・・・何これ?」
「開けたら分かる」

箱の中に入っていたのはピンクから紫にグラデーションのかかっている
小さなバラが二つ付いた簪だった

「わー可愛い!!どうしたの!?」
「今日浴衣着て来るって言うとったから・・・」
「買って来たの!?オサムちゃんが!?」
「いや、俺の姉貴も今日花火観に行くとかで、
その買い物にさっき付き合わされて選んだんやけど・・・」
「へぇー、コケシじゃないんだね」
「せやねん。無かったんや、コケシの簪・・・」

探したのか・・・!危ないなぁもう

早速付けてみようと洗面所へと向かう
鏡の前で自分を見つめながらふと呟く

「可愛いなぁ・・・」


満面の笑みで戻って来た彼女を見て
オサムちゃんも何となく気に入ってくれたということを認識していた

「似合うでしょ!」
「せやな・・・って、断定かいな」
「ありがとう!!大事にするから!」
「まぁ花火大会の時位しか使わんやろうけどな」

再び元の位置に座ると今度はが尋ねる

「これは先生得意の女性を落とす手法ですか」
「はぁ?そない器用やったら今頃ハーレム状態なんやけどなぁ〜」

「良いよ、だったらさっきの条件飲ーんだ!」
「さっきの条件?」
「あ、忘れてるんだったらそれはそれで良いんだけど」
「え、何!?どこの下り?!」

「あはは、帯だよ帯!もうオサムちゃんグダグダ過ぎ!!」
「そこ!?せやかて嫌やって言うたやん!」
「えー?知らないー!」



END


>>>コメ。<<<
花火大会シーズンめちゃめちゃ過ぎてのアップです笑
途中まで書いてたんだけど放置してたら秋になったって言う爆
こんなグダグダなおじさん大好きです私(聞いてません
あと勝手に姉貴いる設定(笑



>>>モドル<<<
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