***Break a mirror***
輝いたばかりの小さな光が
身勝手な鏡の中引きずり込まれ
可哀相に…もうこちらには戻れない

Break a mirror


彼女は頬杖をつき机に指で三角形を描き続ける

静かに、ゆっくりと


「バカだよね、私」


彼女はつまらなさそうに、それでも三角形を描き続ける


「線引きが難しいな、バカの」

彼は冷静に答える




「三角形なんて、大嫌い」



彼女は伸ばしていた指を折って拳を作ると
勢い良く机を叩いた


大きな溜め息を吐きながら、今度は机を枕にする


教室に残っているのは
情緒不安定気味の女子生徒が一人と
冷静に対応する男子生徒が一人


「浮気だって。出来心だって。」
「それ・・・もう5回位聞いた」
「何も知らないで私、ずっと一途に・・・
あー、ムカつく!損してる気がする!!」
「損得の問題とちゃうやろ、・・・」
「良い!?男女の関係は一本の線だけで十分なの!
それなのに何勝手に出て来て三角形にしてくれてるの!?
本っ当気分悪い!!」

彼女は起き上がると乱暴に机を蹴った

バランスを崩した机は倒れ
前の机もその反動で向きがぐちゃぐちゃになった

、落ち着きぃや。荒れ過ぎやでお前」
「荒れたくもなる!浮気されたって事は私の方が魅力無いって事でしょ?
それってさ、やっぱり・・・悔しいよ・・・」

大粒の涙を零しながら彼女は続ける

「私はまだ100%好きなのに、
向こうが100%じゃないって事は好きな気持ちが空回りしてる訳だから・・・

だから、今は凄く悔しい」


向きがバラバラになってしまった机をまた元の位置に戻しながら彼は答える

「何なら、浮気してみる?」

「・・・は?」

その言葉を理解するのには少し時間が必要だった



「ちょっとした甘い誘惑に麻痺した・・・
出来心ってそういう事やと思うけどな、俺は」

机を並べ終え、彼女の目の前に戻って来た彼は
そんなコトを呟いた

「仮にそうだとしても、私は乗らない。いや、乗れないよ」


俯きながら辛そうに彼女は返す

「だって100パー好きなんだもん」


”惨め”



そんな事自分でも良く分かってる



でも



でも・・・



「ありがとう、話したらちょっと楽になった」
「えっ、解決しとらんやろ」
「解決してないけど・・・
ほら、私ワガママだから相思相愛じゃないと嫌なわけ!
やっぱり別れる。いっぱいになった好きな気持ちは距離を置いて
ゆっくり無くして行こうと思う」

「聞いとったか、最低な彼氏」

「聞いてた、って」


教卓から出て来た一人の男子生徒を見て
思わずは自分の目を疑った


がここまで想っとってくれたやなんて・・・!俺嬉し泣きしそう!!」

「謙・・・何で」
「つまりその、意識調査っちゅーか」

混乱するに対し、説明を始める白石

「意識調査?」
「せや!!最近が白石とやったら仲良くしとるから、
好きになってしもたんやないかって思って!!」
「で、俺も仕掛け人として『何かあった?』って持ち出したっちゅー話」

「・・・」


彼女は無言で立ち上がると
勢い良く最低な彼氏目掛けて拳を振り―

「相思相愛ならそれでえぇやん、許してやりや」
「知らない。白石、良いから止めないで。
このバカ一発殴らないと気が済まない」
「せやかて一応うちのレギュラーやし・・・
病院送りにされても困るんやけど」

「だって、何で直接聞かないの!?
何この回りくどい確認方法!!男ならはっきり面と向かって―」
「本当に白石の事好きやっても、面と向かって答えられるか?」

謙也の言い分は間違っていなかった

今回の目的は
”白石に気があるかどうか”なわけで。

「本当の答え出す為には
これがえぇと思ったから協力して貰たんや」
「・・・」

静かに腕を下ろし、謙也を見つめる

珍しくちゃんとした事を考えて行動に移していた所為で
自分が何を言いたいのか分からなくなってしまった

「お・・・俺、浮気なんてせぇへんし」
「大体謙也不器用やから、しとったら絶対見破られるやろ」
「そうそう、これがホンマのバカ正直・・・って、何言わせんねん!!
ここはフォローやんか!!」
「ま、したとしても精々小春位やろし」
「そうそうそう、実はアイツ女の子らしゅうて時々キュンと・・・
ってなるわけないやろ!ちゅーかこのシリアスな状況でボケんな白石!」

「はぁ・・・」

目の前に居るのはいつもの二人

「純粋な乙女のハートを傷付けた罪は重いよ」


・・・



「じ・・・純粋?」
「・・・・・・乙女??」




『誰が?』




「ハモりやがって・・・もう!一生やってろ!!」

カバンを持ち、早足に教室から立ち去る

「ま、待ってや!!」
「一人にさせてよ!謙也となんてもう別れる!!」

「何やねん、自分さっき100パー好きやって言うとったやんか」
「うるさい!さっきはさっき、今は今!!
て言うかそこ掘り返すな!恥ずかしいでしょバカ石!」
「ばっ、バカ石やと!?」

「せやったらさっきのは嘘やったんか!?喜び損やんか俺!」


その必死な言葉を聞いてか、は立ち止まって振り返る
一定の距離を保ち、追いかけていた二人も立ち止まった


「あれは嘘じゃない」


そうとだけ言ってまた歩き始める


「・・・えっ」
「喧嘩するほど仲が良いって、こう言うことやったんやな」


現実を呑み込めていない呆然としている謙也の肩を軽く叩き
の後を追いかける白石



・・・



「はっ!しもた、何やボーっとして・・・あれ白石!??!」


姿が見えなくなっていても
きっとまたすぐに距離は近付くだろう





---


「真実は一つ」

甘ったれた蜘蛛の糸など必要ない


---




END


>>>コメ。<<<
おー、白石夢と見せ掛けて久々の謙也夢!
サイダー得意(?)のドッキリシリーズ。そしてシリアスギャグ甘と言う謎のジャンル(詰め込み過ぎです)
冒頭文+ラスト二行+タイトルはラスアラの曲より。
めちゃめちゃ好きなんですこの曲・・・!(知らんがな



>>>モドル<<<
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送