***Answer for...***
どちらか迷う時、頭の中で天秤に掛けてみるが
大抵が平行のまま―


結局決められなくて、脳は別の話題に切り替える


Answer for...


大変な事が起こった


それは良くドラマでありがちなワンシーン


「私、ずっと好きだった」
「…えっ?」


長い長い間を置いても今の一言が信じられなくて
思わず聞き間違えなんじゃないかと聞き返す


「もう、だから告ってるんだよ!千歳が好きだって…」

またも状況が飲み込めていないが故の長い長い間

「う、嘘はいかんばい

何か言わなきゃ、と千歳が放った一言は彼らしくない発言だった

「嘘じゃない、本気だよ」

真っ直ぐな瞳
それが逆に次の言葉を考えなくさせてしまう

顔には出ていないが
まさにパニック状態だ

「…と、まず理解する時間が欲しかね」
「それって、少しは期待しても良いってこと?」
「そうじゃなくて…つまり…」



言葉の詰まる姿を見て
はズバリ聞いた


「某人物に気遣ってる?」
「そういうわけやなかね、急過ぎて混乱しとるだけ―」

「さっき告白されたの」

千歳は何も返さなかった、いや返せなかった


「私は千歳が好きだから付き合えないって言って、
どうせなら言っちゃおうと思って」
「…その人は何て?」

「千歳に断られたら考えてって」


聞かなきゃ良かった、と思った



正直、自分は相談役だと思っていて
相手…つまりの事なんて何にも想っていなかった



じゃあ断れば良いんだ


答えは明確に出ている



「す、スマンけどそぎゃん目でん事見とらんくて」
「…そうだよね」


切ない気持ちを必死に隠そうと無理に笑顔を作ろうとする

「前に、一回だけ席が隣になったでしょ?」


千歳に背を見せながらは続ける



xxx
四天宝寺に編入して来て一番最初に隣の席だったのがだった


「よろしく」
「よろしくー!何か分かんないことあったら遠慮なく聞いてね、勉強以外で!」

「あはは、勉強以外か」


明るく活発でクラスのリーダー的存在

男女問わず好かれるの事を
ある人物が異性として好きだと言う事実を知ったのは
四天に来てちょうど1ヶ月経った頃だった

「千歳って、と隣の席やんか」
「だから?」

話し相手に尋ねる

「好きな奴とか居るんかなぁって」

「さぁ…そげな事話したこと無いから…」

次の言葉は想像出来た、何となくだけど


「俺、実はアイツのこと好きやねん」

「…」



「って、何かつっこんでや!恥ずいやんか」

「スマン。リアクションに困って…」
「まぁそうやろな、突然過ぎたわ…俺も」


xxx
「私に話しかけてた事は情報収集ってとこ…だったのかな」
「確かに、そういう事になるな」



位置的に言えば恋のキューピッド


なのに


今の自分は完全なる抜け駆け状態だ



空を仰ぎ見て、再び地上に視線を向けた

「あれが全部情報収集だったとしても、楽しかった。
朝練とかで疲れてるのに、千歳はいつも笑顔で話聞いてくれて、
相談に乗ってくれて。だから好きになったんだと思う」


が振り返った


何故だか長い間彼女を見ていなかった気がした


精一杯の笑顔で言葉を残した


一言、



"ありがとう"



と。









姿が見えなくなっても
尚、まだ状況を掴めていない



段々自分の気持ちに自信が無くなっていくような気がした



そしてふと、席替えの日を思い出す


「席離れちゃうと全然話さなくなっちゃうのって何でなんだろうね」

はクジの紙で小さな飛行機を折りながら
残りの人が引き終えるのを見ていた

「確かに、接する機会が無くなるから話さんかも。よっぽどの事が無い限りは」
「よっぽどって、例えば付き合ってたり〜…とか?」
「まぁ、付き合っとれば二人の時間があるわけやし、クラスでどうって事でも無かかな」


一拍置いてが続ける

「そうだよね。…寂しいな、離れるの」


結局、その時にくじ引きが終わって、俺は何も言っとらんで…


席離れて暫く経つけど、の言った通り
会話する機会が無くなって
全然話してなかったし



そういえば席が変わってからかな、


毎日がつまらんなって


授業も楽しくなくて、サボるように…





千歳はようやくあることに気付いた


授業が楽しかったわけじゃない、先生が変わってないのに
ここまで急に心象が変化するはすがない


重要なポイントを見逃していた事に






これで良かった、は正解じゃない


、待った!」

流石の千歳も今日ばかりは鉄下駄にイラっとしていた

「ど、どうしたの?」

「間に合って良かった」
若干息を切らしながらもとりあえず追い付けて安堵する

「…スマン、その…」
「良いよ、まず落ち着いて!待ってるから」


息を整え、再び用件を伝える
「さっきの言葉、少し訂正してもよかと?」
「うーん、良い意味だったら訂正しても良いよ」

冗談半分でが答える
「じゃあ修正させて欲しかね」
「えっ?」


「授業がつまらん理由が、が隣に居らんからって事に気付いとらんかった」
「ど、どしたのそんな気とか遣わなくても!私大丈夫だよ?」

首を横に振り、一言


「好いとった事にやっと気付いたから。
だから、今断って白石には渡したく無くて…妙な時差作ってスマン。
ばってん、これが俺の本当の気持ちで…」
「そんな申し訳なさそうな顔で言わないでよ!
っていうか…九州男児だからもっと男らしく豪快に言うのかと思ってた」
「それは偏見ばい」

笑いながら話す二人の間に、時差はすっかり消えていた


「あーでも嬉しいな!テストの採点ミスで点が上がった的な感じ!!」
は中間点の交渉ばっかりしとったな」
「…い、1点でも大事なんだもん」

「いつも点数んとこ折っとったけど、あれって何点だったと?」
「見せられないから隠してるんだよ!千歳は良いよね、隠さなくて良い点数で!!」

「隠したところで結果は変わらんし」
「それは点数良くないと言えない!」

「そういえばと離れてからテストの点下がった気がする」

お、やっぱりサボってるのに勉強出来るって法則は漫画の中だけ…


「5点位…」







「千歳」
「ん?何ねそぎゃん恐い顔して」

「やっぱり嫌い」


それだけ言って歩幅を広めに先を急ぎ始める


「えっ!?どげんこつねそれ?!」



天秤は自分の手で傾かせられる


それが正解だったのか誤りだったのか


判断するのも自分自身



まだまだ始まったばかり




おまけ(翌日)
「白石、俺・・・に告白された」
「知っとるよ」
「で、告白されて気付いたんやけど」
「好きやったんやろ」
「な、何で分かると!?」

驚いた千歳はまだあどけない中学生の顔をしていた
少しだけ笑いながら白石は指摘した

「千歳って、そういうとこズルいよな。いっつも頭の回転速いくせに」
「どこが?」

「諦めんから、俺!」
「白石、待っ・・・」



END


>>>コメ。<<<
バッドと見せかけてハッピー。
ハッピーエンド好きな私ですが、辛い後の幸せって結構好きです(何ですかいきなり)
千歳はマイペースだから好きになってる気持ちに気付くの遅かったりしたら可愛いって思った結果です(笑)



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