***蛍***
光って消えるただそれだけと知りながら
光る僕はきれいでしょう?
濁って見えた明日が晴れるその理由は
もう誰にも聞かないから





以心伝心なんて現実には有り得ないから

だから人生もどかしい


「寒っ!」

いつもながら秒刻みのスケジュールは全てがギリギリなため
一秒ずれるだけで大惨事となる

冬の突き刺さるような冷たい風を直に受けながら
その日謙也は通学路をいつも以上に必死に走っていた


これはなかなかの好タイムが期待出来るとかそう思いながら、走っていた


遅刻を気にせずまったり歩いていた彼女を見つけるまでは。


「さ…寒っ!!何、この突風…」

勢いがつき過ぎて止まるに止まれなかった謙也が、後退して来た

!お前何のろ〜っと歩いとんねん!!遅刻やで!?」

「うちの担任甘いからちょっと遅れても大丈夫なんだもん」
「そうか!それやったら安心…って、ちゃうやろ!!」
千歳にしろにしろ、1組自由過ぎるやろ!


そんなやり取りをしていた時にふと少し遠い場所から鳴り響いたチャイム音

「うわ、しもた…!」
「時間に余裕持たないからだよ、自業自得〜!」

肩を軽く叩きながら落胆している謙也をさほど気に止めず
またマイペースに歩き始める

「…も、もうちょっと慰めてや!!意地悪!」

「い、意地悪とかじゃなくない!?」

「あーもう、止まっとったら余計寒なってきたわ」
「今日雪降るかもしれないって天気予報でやってたからね」
「ホンマか?!雪合戦出来るやん!」
「そこまで積もるかなぁ」
「夢無いなぁ!こういう時は『手加減してな!』とかって言えばえぇねん!」
「え、私も参加だったんだ…雪合戦」
「当たり前やろ!」

「やだよ、寒いし。それに手袋も無いし」

ぶつりと切れてしまった会話


無言の空気が続くのもどうやら苦手らしく、謙也は次の話題を探していた
、冬って好き?」
「んー…嫌い。寒いし」
「俺は冬好きやで!」
「何で?」

カバンの紐を掴んでいたの手を握り締めてポケットに入れる

「照れんでも手ぇ繋げるやんか!」

謙也は笑顔でそう答えた
「…自然にって事?」
「せやせや〜!」


下駄箱で靴を履き変えようとしていた謙也の背中を少し背伸びして叩く

「俺より速いとか凹むわ〜!すぐやから…」

そう言いながら振り向くと、目の前には彼女が居て―

「さっきの理由、可愛かったよ」

普段だったら~可愛い~なんて言われるのを嫌うのに

「私そういう理由好きだな!」

ニコニコしながらそう言うと、も自分の下駄箱に向かおうと謙也に背を向けた




気が付けば名前を呼んでいて


気が付けば日常生活じゃ絶対有り得ない行動に出ていて。


「・・・」


外から来たせいか、お互いの体温が唇を通じて伝わっていく気がした


SHR中の為二人以外に誰も居ない


「ど…どしたの、親密度一気に上げちゃって」
「一気に上げさせたん誰やねん!お前その笑顔禁止な!!取られてまうもん!」
「は?!何言ってるのスピードバカ、一時間目始まるよ」

「ばっ、スピードバカにすんなや!!」





今日が始まる


ここから、また―




END


>>>コメ。<<<
謙也は素直っぽい感じがあるから爽やかな話になりやすいです(笑)
冒頭+タイトルはラッドの曲より。



>>>モドル<<<
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