***サヨナラのキスで始めよう・後編***
『大切なものは失った時初めて気付く』
なんて聞いた事がある

手を伸ばせば届く距離にある時は、
それを当然のように思って

だから、その大事さに気付かない。

手離して初めて、それが大事だと知る
手離して初めて――





と別れて一ヶ月
俺は相変わらず、言い寄って来る女を抱いてた。

けど心に開いた隙間は埋まらない。

その度に、
という存在が俺にとってどれだけ
大事だったか思い知る。


失って初めて気付く、と同時に深く後悔した。


深く傷付けてしまっただろうか。
、俺は、お前に何度も、何度も、
消えない傷を付けてしまった?







。話がある」

俺は帰り支度をしている を、呼び止めた。
ちゃんと話さなきゃと思ったし、
の顔が見たかった。

「跡部君、部活は?」

『跡部君』と言われて胸が締め付けられてく。

「今日は休みだ」

「そう。でも私急いでるの、だから今度にして」

そう言って、 は教室のドアに手を掛ける、
その手を俺は掴んだ。

「今じゃなきゃダメなんだ」

「離してよ跡部君」

『跡部君』
また胸が締め付けられる。

「離したらお前、逃げるだろ?」

「逃げないから離して」


俺は掴んでた手を離した。
その変わり、 の両端に手を付く。


「話って何?」

下を向いたままの の声が震えてた。



ひどく傷つけた
その傷は癒える事はない?



「話って?」

黙り込んでた俺に、 は苛立った様に言った。
俺の顔を見ないままで


「俺を見ろ」

「・・・早くしてよ、急いでるの」

「俺を見ろ。

「・・・・・」

。俺を見てくれ」

自分でも驚くほど優しい声音だった。

それでも は俯いたまま、俺を見ない。
仕方なく の顔を覗き込んだ。


視線が絡むことはない、が
こんなに間近で の顔を見るのは久しぶりで、
身体が熱くなっていく。


「好きだ。・・・もう一度、俺と・・」


『俺と』?その後は?
何を言うつもりだ?何を言えばいい?
どうすれば を、その心を、もう一度俺の側に・・・




「・・・悪かった」

「何が?」
その声は、今まで聞いたことがない
冷たい声だった。


「ヒドイ事をした」

「今更そんな事言われても――」

「・・今更だなホント・・・」

自嘲気味に笑う俺を、 はジッと見てた。
やっと視線が絡んだ。
そんな事が嬉しくて愛しさが溢れた。


堪らなくなって、俺は の唇を指でなぞった。
そして自分の唇を重ねようとした、その刹那――


細い腕が、俺を突き飛ばした。



「いや・・・」


はその場に座り込んで、
小さな身体を震わせてる。


「何で・・・こんなこと」

「好きだ」

「ヤメテ!聞きたくない」


耳を塞ぎ、イヤイヤする の手を
俺は掴んだ。
耳元でそっと、囁きを落とした。


「好きだ



「一番大事なのは だ。
手離して、その事に漸く気付いた。
がいてくれなきゃ、俺はダメになる。
だから、・・・だから
もう一度俺を好きになって欲しい」


勝手な事ばかり言ってる。
ヒドイ言葉で傷つけた俺を
君は許してくれるだろうか?



長い、長い沈黙。


それでも俺は、 が言葉を紡ぐのを待つ。



パタパタと の大きな目から涙が零れた。


「・・・ ?」

頬に伝う涙を指の腹でそっと拭った。
「今の・・・ほんと?」

「ああ本当だ」

「今度・・・あんな事したら、絶対許さないから」

「分かってる、もうしない。約束だ」

「景吾」

「ん?なんだ」

「好き」


それは耳元で囁く愛の言葉。



さあ、もう一度ここから始めよう






>>>感想<<<
跡部ヒロインの名前今回めっちゃ呼んでるような気がしました(余談
さぁ!!後編が終わりましたよ(誰)上手くまとまって終わりました、凄いです。
漫画描きたくなった〜妄想の。(ヤメナサイ)反省したかな、跡部君(誰)
戻れてよかったな、と。アップが遅れちゃいました、スミマセン↓


>>>モドル<<<
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