***海岸通り***
好きです、付き合ってくれませんか?

嫌。だって俺テニスに打ちこみたいし。


俺は嫌という言葉を吐く事に慣れていたのかもしれない―



海岸通り


「へっくしっ!」
「宍戸さん、風邪ですか?」
「ち、ちげぇよ」

きっと誰かが噂してんだよ、なんて根拠もねぇこと言えるはずがなかった―




”レギュラー落ち”


3年になって引退が近づいてる時に
この言葉はひどく俺を焦らせた―

絶対に這い上がってやろうと思って毎日長太郎と秘密特訓を続けたり
のばしてた髪を切ってまでしてそれなりの筋を見せたつもりだった




それで勝ち取ったこそのレギュラー

けど失った物も沢山ある










「さん・・・宍戸さんっ!!」

「な・・・何だよ」

「校門前に宍戸さんを見つめる人影が見えるんですけど」

「・・・人影?」



―俺が失った物



・・・」

「やっぱ知り合いでした??」

「・・・あぁ、ちょっとだけどな」

「でも彼女・・・立海の子じゃないっスか?」

「―まぁ・・・」

帰るにはどうしてもその校門を潜り抜けないといけない―
あぁ、面倒になりそうだな




案の定、校門前で鉢合わせになる


「宍戸クン、久しぶり。」
「・・・」

「あ、君が鳳クンか。初めまして。」
「どうも初めまして。・・・でも何で俺の名前を?」


「氷帝のテニス部レギュラーは皆知ってるよ」
「え・・・アナタは一体・・・?」





長太郎がそう言うと奥にいたもう一人が顔を覗かせた




「…!!」



「―立海大附属中テニス部仁王雅治の彼女、です。」
「以後よろしゅぅ。」





「成る程、そういう事だったんですね。…で、今日は何の用事だったんですか?」



「彼氏自慢をしに・・・なんっちゃって」
「随分と傷つけたらしいのぉ、宍戸」



「え・・・宍戸さん一体・・・?」




あまりにも楽天的なに俺はキレた





「もう過去の話だろ!!ニ度と俺の前に現れんじゃねぇ!」









「あ、宍戸さん!!待って下さいよ!!」










俺だってちょっとは酷いことしたとか思ってたのに
何だよ、ちゃっかり自分の学校で男作ってんじゃねぇかよ…!!

しかもよりによって仁王かよ・・・






夕方6時、薄暗い海を見ながら俺は泣いてた
何で泣いてたのか自分でもわかんねぇけど涙は止まらなかった―





「っ―宍戸さん!」


「は・・・何だよ長太郎・・・」





「自分に嘘付いちゃダメです!!」



「お前に何が分かんだよ・・・何も知らねぇくせに!!」
「泣いてるのは悔しいからじゃないんですか!!」
「違う!」
「だったら何で泣いてるんですか」
「ゆ・・・夕日が綺麗だったんだよ!!」
「だから嘘付かないで下さい!!そんならしくもないこと言って・・・」
「何で嘘だって決めつけんだよ!らしくなくて悪かったな!!」
「宍戸さん分かりやすいから顔に出てるんです!!」
「出てねぇ!!―ぁ・・・」
「やっぱり嘘ついてるんですね?」




「―自分でもわかんねぇんだ、何がしたいのかとか本当は悔しいとか
テニスに打ち込む為に何かを犠牲にしなきゃいけねぇとか・・・」


「でも宍戸さん優しいっス。直球型だと思います」

「・・・サンキュ・・・で、長太郎何処まで聞いた?」




「俺は宍戸さんが走った後すぐ向ったんで何も聞いてませんよ
ただ、あの場にいて宍戸さんを見てて思ったことを言っただけです」






「―そっか」




 あれがない これもない
 どんな希望も叶えたい欲張り
 そんな僕らの足りない物だけそっと包むように
 夕凪の最後には優しく揺らぐ風
 海岸通りに春が舞う



「早く春が来ればいいのにな」

「そうですね」






海風は街中の風よりも冷たかった









「宍戸 亮ー!!!」












「!?」






「話しは全部聞いてたぞーーー!!!」







「え、何どういう意味?」



物陰に隠れていたのは紛れもない仁王の彼女。





「コホン、改めまして・・・私と付き合ってはくれないでしょうか!?」













・・・








「は?!何言ってんのお前」

「あーまた宍戸さん素直じゃない!!」

「いや待て長太郎、これは明かにおかしいだろ。つか・・・仁王は?」





「雅治はどうしても見たいテレビがあるらしく帰宅致しました。
そして私はアナタの行動をずっと物陰で見ていました。」





「いや、わかんねぇ。もっと分かりやすく説明してよ」

「大まかに言ってしまうとドッキリ」
「ど・・・ドッキリ?!」
「うん。雅治考案の『宍戸の気持ちを暴け!そして虜にさせるぞ計画』です。」
「仁王さん、ネーミングセンスないっスね・・・」
「いや、そこじゃねぇよ。明かそこの前に何でって話しだろ」
「だって宍戸さあんな仲良しーな感じだったのに急に冷たくなり、更に告ったらフラれたでしょ?」
さん、そういう時期に告白はマズイですよ」
「長太郎、ちょっとお前黙ってろ。話ややこしくなるから」
「え、そんなぁー・・・。」
「で、絶対何かあると思い、氷帝に侵入して宍戸の姿を見てたんだけど」
「お前・・・ダメだろ!不法侵入だろそれ」
「細かい事は気にしないでー。それでどうもレギュラー落ちが原因だと分かったので
そこらへんを雅治に相談して元の仲良しな関係に戻るにはどうすればいいか考えてたのよ」



「・・・で、今回の。」

「宍戸の気持ちを暴け!そして虜にさせ・・・」
「もういいから。つか長いから」



「で、宍戸さん、お返事は?」
「何で長太郎が仕切ってんだよ」
「じゃないといわないまま帰りそうですし」
「・・・・・・」










ハイ



「ん?」




「握手だよ、握手!!仲直りはいつもこれだったろ!!」


―宍戸さん顔真っ赤っス





「ありがと宍戸―」
「―亮でいい」







「昔から変わってないなぁー。素直に名前で呼んでくれって言えばいいのに」
「うるせぇ」






「それでは、俺はこの辺で。宍戸さん、もっと素直になってくださいよー!!」


「余計なお世話だっての!!」
「やーぃ、ひねくれ者ー」
「お前まで・・・!!」
でいいよー??ウフフ」
「―気持ち悪ぃんだよその笑い方!」
「うるさいなぁー素直に喜べってー」






 海岸通りに春が舞う



「来るの早ぇんだよ―」
「え?何か言ったー??」
「何でもねぇ!!」





END





>>>後書き(っていうより言い訳<<<
宍戸夢初。映画共演丸出し(爆笑
使う予定はなかったけどアジカンの『海岸通り』より一部引用。
何か書いてるうちに海岸通りっぽいなぁと思い拝借。
何だかんだ言っても宍戸は可愛いな〜、かっこいいなぁ〜
そして仁王と宍戸って繋がりを書いていきたい(マイナー所



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