***イチマイノレンアイ***


『楽しかったよ、ありがとう。』

分かってる。
この時間はここで終わることも、最初から。

「おう」

そして俺はこの言葉しか言えないってことも。


全部、全部・・・・・・・・全部・・・・
最初から分かってんのに―なのに何で・・・



何で涙なんて流れてんだ―――


イチマイノレンアイ


「丸井、ガム一枚くれない?」
「ん?ガム?」
「うん。あ、ダメか」
「いや、別に構わねぇけど。」
―そう言って一枚のガムを差し出す
「サーンキュ!」
「あれ、でもガム嫌いじゃなかったっけ」
「まぁね、でもこれは思い出に!」
「は?思い出?」
「お菓子好きのクラスメートを忘れない思い出!」
「え?何言ってんだよ、どーせ高校でもいっ―」
―思わず言葉を止めた、いや止めざるを得なかった。
「ゴメっ・・・」
「ん?あぁ、別にいいって!」
は推薦が通って都内の名門校に
編入することが決まった矢先だった―
噂で聞くには『レベル判定で受けるだけ』と言っていたのに
受かった途端両親が手続きを全て済ませてしまったとか。
散々反抗したけど結果は変わらず。
「本当は高校も皆と一緒が良かったけどね」
「・・・」
―返す言葉が見つからなかった

「いつ行くの?」
「ん、皆には内緒にしてるんだけど・・・明日」
「―明日!?」
「声が大きい!!!」
「あ・・・・・・明日のいつ?」
「朝」
「そっか」
「丸井とは中一の時から同じクラスだったよね」
「そうそう、お前泣き虫でさ!」
「う、過去は振り返らないで」
―こうやって話してる分には何も変わらねぇんだけどな―

学年トップ、運動神経抜群って揃ってりゃぁそりゃ決まるわな。
「丸井だっていつまでたっても証明解けないじゃん」
「うるせぇ!お前に教えてもらって何とか持ち堪えてたけど(苦」
―自分の勉強があるのにも関わらず
俺のために残って勉強教えてもらったりしてるうちに気に―
「それじゃ、またね」
「あー・・・あのさ」
「?」
「一緒に帰ってもいい?」
「・・・へ?何で」
「やっぱ今日最後だしさ」
「別にいいけど」
「じゃ帰ろうぜ!俺今日部活休みだし」
「?うん」
―最後、もう一回だけ一緒に帰りたいなんて思ったりして。

「丸井と帰るのは証明の勉強で残った以来だね」
「そうだなぁ」
「今度はちゃんと一人で出来るよう地道に勉強してってよね」
「分かってらぃ」


 こうやってこの制服でもうと並んで帰ることは無い
 遅くまで残って勉強一緒にやることも無い
 それに、俺まだ気持ち伝えて無い・・・


 ダメだ、今ここで言ったところで逆にに迷惑かけるだけだ


「ねぇ、時々は学校風景とか写メしてよね」
「めんどくせぇー」
「えー!してよー!!」
「気が向いたらなー」

 もうは立海の制服を着ることも無い


「私ね、立海が凄く楽しかった!!
色々経験出来たし、友達も沢山出来たし!」
「そっか」

 次の学校祭にの姿は写真に写らない

「皆で一斉になってオリジナルTシャツ作ったりとかね!」

 次の学校祭にはクラスTシャツを着ない
 学校祭には『一般客』として参加する―

「予算足りなくなって大変だったし!私会計でてんてこ舞いだったよ」
「そうそう、ってば一人で顔真っ赤にしてさぁ」
「もーあの時ほど必死なことは無かったな」
「勉強より?」
「うん(笑」

 両親はの『一番居たい場所』を分かってないのか?
 別に高校からでも良かったのに―何でこんな時期に。

「丸井、さっきから色々考えてるでしょ?何か上の空だよ」
「え、そう?そんなことねぇよ。あ、そうだ」
「ん?」
「ちょっと待って」

 ありたっけの想いを伝えたらそれで少しは落ち着くんじゃねぇか?
 ありったけのことしたら少しは納得出来るんじゃねぇ?

「これも持ってけ☆」
「え?これ?でもさっき貰ったよ?一枚」
「それとこれとはわけが違う!!」
「えぇ?同じにしか見えないけど」

 もう一枚のガム。ここにありったけの想いを詰めて

「今あげた方、家帰って食べてもいいぜ」
「いいの?」
「食用だからさ、そっちは」
「どう違うんだぁ・・・?」
「まぁいいからいいから」
「それじゃぁ、私こっちだから」
「元気でな」






「楽しかったよ、ありがとう」






「おう」







そして反対方向を向く
決して振り向かない
振り向けば泣いてんの、バレバレだからな(苦笑





 何でアイツが居なくなんなきゃいけねぇんだよ・・・!!






イチマイノレンアイ―涙の分だけ一枚は長くなる――――
そんな魔法が欲しい
xxx


「ただいま」
「あら、お帰りなさい。明日の荷造り手伝って」
「あ、うん。着替えてくる」


バタン


―最後の最後まで変わらなかった
親の言いなり、男の子とは付き合っちゃダメ。
もっと丸井といたかったのにな、私




貰ったガムを広げてみる―
ガサッ








「―!!」










『アリガトウ、ダイスキ』






















「丸井・・・!!」

ドタンドタン

「ちょっと何どうしたの一体」
「お母さん!!私、私・・・」
「何?」
「私引越ししたくない!!!」
「・・・えぇ?何いきなり言い出してるの」
「私・・・今年は学校祭で実行委員長やろうと思ってて・・・」
「そんなの、向こうの学校でも出来るでしょ」
「違う!!だって2年からずっと一緒のクラスの人達と
皆で今年もまた・・・」
―お母さんに反抗したの、2回目だ


「またやろうねって・・・」
こんな号泣したの、何年ぶりだろ?
「約束が違うよ・・・実力試しって言ってたのに・・・っ」
「・・・」
「うっ、うっ・・・ヒック、ヒック・・・」




バタン!!!

気が付けば外に出ていた


お母さんが自分の名前を呼んでいたかもしれない
今どこに行くのか自分でも分かっていないかもしれない
けど丸井の言葉で目が覚めた―



私、やっぱりここで卒業したい!!!











誰でも良かった
一言、この言葉を聞いて欲しかった
でもそういう求めてる時に限って話せる人がいない





「丸井・・・丸井ぃ〜っ!!・・・・ウグッ・・・ヒックヒック;;」
スーパーマンじゃあるまいし名前呼んだところでくるわけがない







「ばっかやろーーーーーっ!!!!!わあぁぁぁっ!!」
大声出したのも何年振りだろ









「グスッ・・・丸井と今日帰って来なければ
そしたらこんなことになんなかったのにさっ・・・」
「ひでぇー」
「だってそうじゃん!!!何事もなく終わったのにぃー!!」
「お前がこんな泣き喚くと思って無かったからさぁ」
「ヒック、ヒク・・・ッ・・・・・ん?」


暗い世界から明るい世界に真っ赤に腫れた目を向け
なかなか光に慣れないのを必死に慣らそうとした






「よっ!泣き虫
「まっ・・・・ウッ、ウッ・・・」
「ま?お前超泣き虫な(笑」
「ばぁかぁ〜〜〜〜〜!!!!!」
「は!?大きなお世話だっつーの!」
「アンタの・・・せいで―っ・・・!!」
「はいはい」
「な、慰めろよーーーー!!(泣」
「え、俺が?!知らねぇよ慰め方なんて!」
「せめて抱いたりさぁー!!(号泣」
「こんだけでいいの?」



「いいの!!!バカ!」
「あ、またバカっつった!!!」
「明日さ、学校サボってでも見送ってやるから」
「いいって…笑ってここを出て行きたいからさ・・・
丸井なんて見たらまた泣いちゃいそうだし」
「もうちょっと早く言っとけば良かったなぁ」
「ホントだよね(笑」



夕日がとてもキレイでした
むかつくくらいキレイで言葉を失うほど

キレイでした




「ありがと」






コメ。

この後彼女が転校したのか両思いになれたのかは
ご想像にお任せ致しやす
いやぁ、青春だね
つかクラスTとか実行委員云々立海にあるのかな(高校時代丸出し/笑



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