***モノ・ホシ***
教科書、ノート、筆記用具
時々睡眠
おいでよ、空いてるから

モノ・ホシ


テスト2週間前。
それは油断するシーズンであり
追いこみのタイミングを暗示させるシーズンでもある


しかし、勉強の仕方は十人十色。
私の場合、一番厄介な『
ギリギリまで保留』タイプ


それを見兼ねた彼からの提案で半強制的勉強会に向かう


部屋に余計な物置いてなさそうだよな・・・


必要のない妄想と共に。



「おじゃまします」

目に付いた物は犬。
これはもしやトイプードル?

「あらーおいでやすー。噂のちゃんね?」
「う、噂されてましたか私」
「えぇ、よう聞いてはりますよー。さぁ、どうぞどうぞ」
・・・何を喋ってるんだろう


コンコン


ちゃん来たわよ、入って良ぇの?」
「えぇよー」


ガチャッ


「遅かったな」
「途中でノート忘れた事に気付いちゃって・・・」

「ウフフ、ごゆっくり」
「あ、どうぞお構いなく!」



バタン


・・・妄想が当たったな

案の定部屋には必要最低限の物しかない
強いて言えばCDがちょっと乱雑に置いてるかなって位で…

本人は本人で犬とじゃれあっている始末
「何やってんねん、はよ準備せえや〜」
「す、すいません…」
ちきしょー!教えられる立場だと思って〜!!


「で、まず国語な。ここ範囲やから重点的にやらな」
「あの、わんちゃんがセンターで
一定の距離感が気になるんですけど」
「スマンスマン!コイツ独占欲強いらしいねん」

テーブルに私、愛犬、そして―
「蔵ノ介、可愛がってるんだね」
「まぁ家族やしな、俺動物嫌いやないし」
それは分かるけど…

「ほなこの問題解いて」
「うん」

こうして問題に取りかかってる間も
ベッドの上でじゃれる1人と1匹。

それを背にして集中…なんて出来るわけない!
あ〜もう気になるなぁ!!
犬とは分かっていても気になる…!!


このもどかしさが段々イライラに変わってきた
イライラ度が増えると集中力が反比例して減る
え、もしかしてヤキモチやいてる?

まさか!


…回答用紙は空欄が目立つ

憤り、焦らす、躓く。読めた自分が何とも情けない


「解けた?」
「…まだ」
そりゃあ犬抱いて見に来たら機嫌も悪くなる

「何キレとんねん」
「キレてないよ?ただ問題が難しくて…」
ヤバい、考え過ぎて眠たくなって来た

「じゃああと10分な」
「はーい。」






「お手は?」


ワン!


ちゃんとお手してるよ、偉いなぁ

蔵ノ介母が持って来たおやつを上げながら

10分間、ずっとこの調子で経過した


集中出来なかったなぁ…
「これでだいぶの苦手分野が見えて来んねんで」
「へぇ〜そうなんだー」

わんちゃんは蔵ノ介の胡座の中で
右腿を枕にして眠っている

寝てるんだったらちょっとくっ付いても良いよね?

「ここの問題なんだけど…」



ワンワン!!


「ど、どないした!?」


2度吠えて蔵ノ介目掛けて飛び付いた
…あれ、もしかして私ライバル視されてる?

「あはは、何やヤキモチでもやいとるんか?
やめーや、くすぐったいて〜!」

一瞬犬に生まれたかったって思った私も
やっぱりライバル視してる?


コンコン

「散歩行くから連れて行っても良い?」
「あぁ、えぇよ。のことライバル視しとんのか
分からへんけど積極的やねん、今日」

あ、蔵ノ介ちゃんと気付いてたんだ

「女の子に取られたくないんやろうね」
「せやったら賢いなぁ」

「じゃあ行って来るわね」
「気ぃ付けて〜」


バタン


「分かってたの?」
「いや、普段もあんな感じなんやけどな。
友達来ても絶対部屋入らんのに今日入ったから」
「ぶっちゃけ私も犬になりたいって思ったけど」
一瞬。
「妬いてたんや?」

そう嘲笑する

「別に!妬いてたわけじゃ…」

素直になれない自分

「それより問題!勉強しに来た訳だし…!!」

「素直になれや?なれへんの?」

両手で顔を掴まれる
それを外して答える

「素直だし」

「せやったら、とりあえず今から俺家庭教師な」
「はい?」
唐突過ぎる

「つまり主導権は俺言うことやから」
「提案によっては却下しますけど、先生」

「まず、勉強に集中する為にイライラを無くす。
ほな目ぇ瞑って、
「何、煮干とか食べさせるの?」

恐る恐る目を瞑る

てっきり魚が来ると確信してたのに

瞼を閉じていることもあってドキドキしまくっている


「蔵…」
「あかん、目ぇ開けたら―」
そう言って両目を手で覆われる
って言うか倒置法?あ、これも勉強の一種?


見たくても見れない現状があるのって結構恐い。


手と顔が離れた
明るい世界に若干戸惑いを感じながらも急いで目を慣らす

「これで認めてくれへんかな、うちの犬」
「逆じゃない!?帰って来て『この女、蔵ノ介の唇をー!!』
とか思われて噛まれない?!私」
「そんなドロドロせぇへんやろ?」

「女は恐いからね…って言うか
わんちゃんと間接キスじゃない?!良いの!?」
人の口通しての間接ってアリなのかどうか分からないけど

「せやったら…」


お願いだからそこでニコニコしながら止めないで欲しい
せやったらの次は何?まぁ別にえぇやろとか?

どうでも良いけど早く勉強やりませんか

「俺、目瞑るから中和してや」
「…はぁ」
中和?!
「中和ってえ、何?どうすれば…!?」

落ち着け。早とちりしちゃダメだ

「思ったことそのまま行動に移してえぇよ」

「思っ…!?」
間違ってたら後で謝ろう









「こんな状況を妄想してた…違ってたらゴメン」
「惜しいなぁ。」
「更に上!?白石先生、止めて下さい」
「何考えとんねん!明らか時間の問題やろ」
「時間…」






中和って結構時間かかんねんで






「そん…」


それって言い訳じゃないの?

「問題解けなかったら、こうな」
「はい!?それじゃあ全然進まないよ」

「間違わなければ進めるやろ?」




それは究極の勉強会だった


そんな勉強法、危なさ過ぎて思い付かないだろ、普通!


END


コメ。

犬+家庭教師ネタ。一回書いてみたかった、夏(いや、夏じゃないし
今回は攻めの姿勢を強く出して見ました(出てると良いな…



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