***P.R.***
誰も知らない秘密の場所

P.R.

「千歳君!これ受けとって!!」
「あーズルイー私も!」

調理実習後の彼の机の上は
今にも雪崩が起こりそうだ

お菓子作って渡して
…授業って言うよりアピールタイム?



終了のチャイムが鳴る

「自分で食べちゃおうとか思わないのかなー。
私全部食べるけど」
「…千歳君にあげへんの?」
「だってあんなに沢山ある中の一つに加わったところで
何も変わらないだろうし…お菓子食べたいし」
変わっとるなぁ。」
「そう?」

友達にすら言えない秘密がある
と言うか、女子と言う女子には話せない秘密が…


「次お昼だねー」

雑談しながら廊下を歩いてると
後ろから何やら足音がどんどん近付いて来る

しかも一人じゃない、むしろ大人数だ

「え、え、何!?」
「うわ、後ろ!人が」






一緒に逃げて





逃げ元が囁く

「…はい?」


「千歳君速いなぁ、流石テニス部や…?」






「は、速い!」
腕が千切れそうだ
「スマン、ばってん…まかんと。隠れて」
「隠れるって・・・」

着いた先は体育準備室


「痛っ、挟まった」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫」
ごちゃごちゃと運動用具一式が置かれている

とりあえず、と言いながら8段積み重なった
跳び箱の裏に隠れることに

「狭い…って、どうして私まで逃げないといけないの?」
「気になっとーことあって」

片手に掲げていた紙袋を置いた後、
胡座をかいて俯きながら話し始める

私は…と言うものの
さっき家庭科で作ったクッキーを食べながら聞く体勢に入る

「何?」
「本命から貰えん程虚しいことはなかね」

パキッ

力が入ったのかクッキーが半分に割れる

「だって校内ではバレないように距離置こうって約束だったでしょ!?」
「あ、そうだったとや?」
「しらばっくれちゃってー!可愛いとか言っちゃうよ〜?
もしかして本当は他の人にあげるか心配してたとか!」

調子に乗り過ぎた


跳び箱にそっと頭を固定されたかと思いきや
口に咥えていたクッキーの端を噛んだ
…これじゃあポッキーゲームならぬクッキーゲームだ

「虐めんで、
困った顔をしながら小声でそう伝える

「私その顔に弱いんだから…」




ガラッ


「わっ…」
び、ビックリしたー…

思わず口で悲鳴を塞がれる
「!?」

「おらんかなぁー?!」
「おらんやろー!こないな所、隠れられへんてー!」


「どこ行ったんやろー千歳君ー」
「ホンマに速いんやもんなぁ。」


バタン

「甘…もう、唐突に…」
クッキーの甘さが普段の2倍にも3倍にも感じる


「…ほっといて欲しか」
「しょうがないよ、皆に気に入られちゃってるんだもん」

紙袋を見つめながら諭す

「ほら、こんなとこずっと居ても怪しまれるしそろそろ戻らないと〜。
昼休み終わっちゃうよ?」
それにしても今日は随分と受け身だなぁ。口数も少ないし


「誰も居ないかなぁ〜」

ドアの隙間から外を覗く
ラッキー、ちょうど誰もいないや


「千里、今なら誰もいないから外出れそうだよ」


外を見ながら後ろに向かって手招きをする

「今日家寄って行かん?」

腰を抱き寄せながら疑問を投げ掛ける

「ひょっとして怒ってる?何か口数も少ないし…」
「怒っとらんよ、強いて言うなら…
ん事好いとーって校内で言えんのが辛ばい」

コラコラ
「さらっとそう言う事言っちゃダメだってば」
「照れとる」
「…照れてない」

「耳赤いけど」

髪をかき上げながら意地悪くそう言い残して先に出て行った



準備室に立ちすくみながら思った

「結局強気な向こうが勝つんだよ」




xxx

面倒な話ばい

を揉め事に巻き込ませんよう好きな人なんて居らんとしか言えんで
同じ学校なのに一緒に帰ることも出来んし


まだ別のクラスだったり
学校が違った方がよかね、姿見んで済むんやし…


「千歳君、宿題見せてぇなぁ!」
「え?あぁ、俺ので良ければ」
「おーきに!」



宿題やって来た?」
「うん、とある家庭教師に教わったからさ」
「とある?っていうかどこ行ってたん」
「な、悩み相談を受けてた」
「ふーん…」


何か聞きたそうだったけど
運良くチャイムが鳴った


内心かなりホッとした






「千歳君ホンマに彼女おらんの〜?」
「居らんよ」
そうやって聞かれる度にいつも自分の嘘が突き刺さる



「好きなタイプとかは?」
「ほら、授業に集中せんと」
「も〜…真面目やなぁ」






「何かえぇ感じやなぁ〜あの二人」
確かに隣りの子とは仲良いと思う

「そう?」
けどそんなこと言われると気になる…
「せやけど千歳君の彼女ってどないな人がなれるんやろね?」
「案外えーって人だったりとかして」
私でした〜!なんて絶対言えない
「有り得へんて〜!!おもろ過ぎ!」
「ははっ、おーきに」


xxx




人には嫌になる周期みたいなんがあって

そん中で三ヶ月も一つとか言うこともあった気がする

つまり俺は
三ヵ月もこげな生活しとるわけだ



「まぁ、辛いけど仕方無い話やな。
を取るんか自分を取るんかは千歳次第やろ」
「そうばいね…」


家に帰って来てが来るまでの間、
電話相談をしながら自分を落ち着かせていた

「アイツホンマにマイペースやから確かに心配になるやろな」
「…」
「そこがえぇとこでもあるんやけどな。人に流されんから大丈夫やろ」
「ありがとう。危なかったばい、白石も頑張ってな」
言った言葉は取り消せないからな




どうにか最初の壁は乗り越えられそうたい―










ピーンポーン


「上がって」

「お邪魔しまーす」
良かった、いつもの笑顔だ



と、安心したのも束の間。
珍しくキッチンから大きな溜め息が聞こえた

溜め息の先を見つめる

「悩み事?」


飲み物を運んでる姿を追いながら聞く


「色々な」

「じゃあその悩み聞くから質問に答えて」
「別に悩み聞かんでも答えられる質問やったら答えるばいね」

「いや、あのー…隣りの席の子とかってどう思ってるかなぁ〜…なんて」
何言ってんだろ。ヤキモチ発言じゃんこれじゃあ…
あ、マズいな目見れない


頭に手を乗せられる

「可愛いと思っとーよ」

そして笑いながら付け加える

の次にな」


「そ、そこまで言わなくて良いけど!!
じゃあ千里は靡かないかな〜…」

自分の膝に向かって話しかける


「何ね、取られるか心配しとったとや?
…俺からしたらが離れる方が心配やのに」

「嘘!?」
思わず顔を上げる

「いや本当に」

そんなこと思っててくれたのかぁ

「言わないと分かんないことだらけだね。
まぁそれもそうかぁ、私達何だかんだ言って学校で話さないに等しいし」
「いっそのこと密会場所でも作ろうか」


「え」
「嫌?」

「嫌じゃない嫌じゃない!」
「場所って言っても部室位しか無いけど」
「どこだって良いよ!千里と一緒に居れるんなら!!」

絶対ウキウキしてるなぁ自分


「な、

テーブル越しに手招きされる
手招きのお返し?

隣りに来て体育座りをしたらどうやらここは違ったらしい

「手招きの意味を履き違えた…って、わっ」
表情一つ変えず持ち上げたかと思いきや…私の現在位置って…

「どどどどうした!?」
「あはは、焦り過ぎ」

焦って当たり前だよ!

ものの見事にすっぽりと足の間に入ってしまったし
膝にちょうど肘は乗るし…人間座椅子みたいになってるから!!




ギュッ






「愛しとる」

「愛…えぇっ!?」
心臓が保たないです

「…恋しい?」
「言い方の問題じゃなくて!!」
この人時々脈絡も無く甘い言葉言うから困る


しかも逃げられないし背後からそんな囁き落とされるし


「ねぇ千里、右前方に何か見えるんだけど」
「ん?」

ひょこっと肩から横顔が覗く

右に注意を向かせたのは
右目が見えにくいからだ


…ゴメンね

「もう少し左」


「何も無かね…」
いつもの部屋ばい、まさか第六感?



「はいストップ!」


来た!口合わせられるポジション!!


「…!」



回りくどかね




「右に向かせたのも計算ってわけや」
「甘い言葉のお返し」
「甘い言葉?言っとらんよ」
「…大好き」

「何?聞こえんかった」
「だ・い・す・きって言ったの!」


耳元でゆっくりと話す

「そう来たか」


面目無さそうに笑った






END


コメ。

人気過ぎ設定にしてみたネタ(いや、本当に居たら絶対人気あるはず/どこからその自信が?
後ろから抱き締められt(強制終了
オマケの密会挿絵描いちゃった夢は□■コチラ■□(おいっ
千歳描きたくて(聞いてません



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