***Hospital Sea***
暗い暗い闇の中から
私は救うことも出来ず
ただただ―。


Hospital Sea


手術中のランプが消えて
それから何日間、この人の寝ている姿を見ただろう


包帯でぐるぐる捲きになっている右目
時々険しい寝顔になっては何かを呟く

何の夢を見てるんだろう?
暗い部屋にいる夢なのか、
あの時のワンシーンがフラッシュバックしてるのか

ただ見てることしか出来ない


ちゃん」
「あっ、すいません!今避け・・・」
「私は大丈夫、
ばってん・・・いつも千ちゃんの傍に居ったら疲れるでしょ?」
「全然平気です!!むしろ・・・家に帰っても千歳君の事が心配で」


時計を見ると面会時間が終わりに近付いていた

「どっちにしろ帰らないといけないみたいですね!
それじゃあ、私はこれで。失礼します」
「いつもありがとう」



パタン



「何か私に出来る事・・・無いかな」




そうだ。絵を描こう。
外に出られないんだし、絵をプレゼントしようかな






部屋に戻って早速作業を開始した




大きなキャンパスに
透き通る青を重ねる



「海行きたいな」






プルルル・・・
携帯の着信音に
集中していた脳は思わず体をビクッとさせた




「もしもし」
ちゃん、急にゴメンね。
実はあの後、千ちゃんが目を覚ましたの」

「えっ!?本当ですか?」

思わず立ち上がる

「けど、凄く落ち込んでるみたい。
もしかしたらちゃんを傷付けてしまうかも―」
「それは承知してます。でも、私会いたいんです」



「分かったわ。私もなるべくフォローするから・・・ね?」
「はい、有難う御座います!」




いくら寛大でも、好きな事を出来ない現状では
神経質になってるに違いない


そんな事を考えながら完成した絵は
少し不安な顔をしてる気がする


xxx




コンコン


「失礼しまーす・・・」



そこには脱力した目で景色を見つめる姿が在った


もう三日も経つらしい



「スマン、一人にさせて」

窓を見ながら応える

「・・・うん」


やっぱりな、と思いながら
ドアに絵を立て掛けて病室を後にする


いつになったら千里は元気になるんだろう?
そんなことばかり脳裏を過ぎる



「・・・」





どこまでも広がる海
見とると吸い込まれそうばい


キャンパスの裏には一言、

海行きたくなった!

と。


「貰ったの?」
「あぁ・・・に。」
「千ちゃん、沢山の人がお見舞いに来とったよ。
全然言わんから知らんかったけど学校じゃ相当モテるんだって?」

笑いながら質問をする

「そ、そげな事なかね」

ちゃんにお礼言ったの?」
「追い返した。
俺が精神不安定な状態で居られたら何言うか分からんから・・・」
「何か言われるより、追い返される方が辛いんじゃなかね?」
「・・・」
ちゃん、毎日千ちゃんの顔見て心配しとったよ」

「えっ」

「クスッ、それじゃあね」




パタン












「もしもし?」
、今すぐ会いたい」

「!」



一体彼の身に何があったんだろう

家に着く数十メートル前でUターンをする




駆け足で向かった先に待っていたのは
窓を見る後姿



「千里、何かあったの?って、寝て無くて良いの!?」


息を切らしながらも肩を叩いて問う




「ま、まさか追い詰められて飛び降りようとしてるとか・・・!?
早まっちゃダメだよ!まだテニスが出来なくなったわけじゃ―」



振り向いて一瞬目が合ったかと思うと
腕の中に押し込められた

「絵、ありがとう。本当スマンかった」
「ううん、全然気にしてないし!ちょっと元気になって良かった」



「海、行こうな」
「あっ、消すの忘れてた・・・ゴメン///」



顔を見合わせながら笑った


「ばってん…視界がどうも定まらん。口元どこ?」
「えーとね、ここ!」





「不意打ち卑怯ばい」
「何のことー?」





END



コメ。

千歳入院話。
千歳ママは千ちゃんって言ってる勝手設定です(笑
今すぐ会いたいなんて言われたら飛んで行きます(聞いてません



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