***happy*holiday***
抱えきれないほどの物があるのに
足りない物なんて無いのに
満たされることも無い



happy*holiday


午前八時



陽射が当たって反射している時計を覗いた


「あれ…」


隣りで寝ていた人が見当たらない

「あ、おはよう」
朝でも変わらない笑顔、制服……制服!?

「え!今日学校だっけ?!」

「今日月曜ばいね」
「うわ、ちょっと待って遅刻する!」


絡まった布団から必死に脱出する

相当寝相悪いな私…(しかも人の家で)





「千里、どけてくれないと困る」
思いがけないところで通せん坊をくらってしまった

「あはは、スマン。まさかこげな騙されるとは」
「騙…」

視界に入るカレンダーをじっと見入る



今日は見事に数字が赤い


「焦った…皆勤賞逃すかと思っちゃったじゃん」
頭をわしゃわしゃと掻きながら半ギレ状態で話す

その光景を見て乱れた髪を整えながら呟く

「俺そろそろ行かんと。」
「…部活行くならユニフォーム着ていけば良いじゃん」
紛らわしいことを…
「あれ着とると一発で四天って分かるから流石にな…」

難しい顔になる

確かに遠くにいても分かるよなぁ…あれ。

はどげんしとる?」
「そうだなぁ…待ってても良いなら留守番してるけど…」

いや。

でもなぁ、
自分のいぬ間に他人がいるのってかなり迷惑行為だよねぇ

「やっぱ一旦帰…」


「昼位には戻って来るばい」






半分寝ぼけていた脳が一気に覚めた(気がする)






「じゃ、また後で」

優しく笑いながら玄関へ向かう


「い、いってらっしゃい…」






バタン



「…さてと」


用意されていた朝ご飯を温めながら考える


―何してよう




とりあえず天気良いから布団干して…
掃除は…散らかって無いなぁ
部屋を見渡す


「ん?」



目に入って来た物は
ベッドの下にある大量の謎の紙袋



「あ、あたいが見てもよかなんかしら…」
テンパってわけのわからない話し方になる

チン♪


ビクッ

「…チンどころじゃないよ!」


とは言いつつとりあえずレンジから温めた朝ご飯を出す

「あっつ!」


落ち着け自分!
慎重にテーブルの上に置き、再度寝室に向かった


「あー…無駄に緊張する」



大量発生している紙袋を目を瞑りながら恐る恐る出す



せーの!


「うぉっ!?」



しーん…


驚き過ぎてうおとか言っちゃったよ…

「手紙と…ぬいぐるみも沢山入ってるなぁ。」
千里実はメルヘン趣味?

「まさか〜」


ま、まさか無いよね…?

悪いことだと分かってはいるが手紙を開いてみる

「千歳先輩へ…ほうほう」

思春期の娘が気になる親父か私は




「一年の…あぁ、あの子か!髪サラサラな…あの子?!」


とまぁ読む手紙全部が衝撃の事実を物語っているのだ
私の知らない所で
"世界は回りに回ってるんだ"と言うことを痛感する


「確かにモテはするんだろうけど…」
しかし千里はこう言うもらい物に関してはまず言わない。
聞けば言ってくれるかもしれないが…

「ぬいぐるみに手紙を持たせるのかぁ。」
全部ぬいぐるみの手を離れて開封してる…ってことは
一通一通読んでるんだねぇ。優しいな。


そうだ、私も書こうかな



朝ご飯を食べて布団を干し終わり
冷蔵庫の中にあったアイスティーを勝手に注ぎながら一息つく。

午前十時。



近くの文房具屋さんで買って来た便箋と睨めっこをする
色々な試行錯誤して完成された手紙を読んだ後だと
尚更気を遣ってしまう


いやいや、私らしく書けば良いんだ。素直に


普段伝えられない気持ちを









ガチャッ





「ただいま…」






静かな室内

溶けきった氷


何故かテーブルの上で寝とる彼女




、風邪引…」

肩を叩いて起こそうとした時
一通の手紙に気付く


千里へ



「俺宛て?」



起こさないようにそっと肌掛け布団を掛けて
ソファに腰掛ける




時間が勿体無いから何かしようと思ったんだけど
そしたらベッドの下からプレゼントが沢山出て来て
でもそのプレゼント全部千里は開けてて
手紙を読んでるうちに私も書こうかなって気になって
(勝手に読んでゴメン、読み終わった後でたっぷり叱られます)
書いてみました。

とは言うものの、何を書けば良いかなぁ。

いつも有難う…母の日じゃないんだから違うか
じゃあもし私がラブレターを送るなら!
きっとこう書く。



千歳君が大好きです。



…あれ、一言で終わっちゃう!
おかしいな、こんなに文才無いとは思わなかった

存在自体が好きなんだって言うか
細かい所を書いていくと書ききれない気がするし


だからこれしか思い付かない


あぁ、何か言い訳っぽいな。
こんな私ですがこれからも…よろしく。


貴方のより(なんちゃって


P.S.
悪乗りし過ぎました。すいません。




クスッ







、起きて。昼食べに行かん?」
「ん…ヤバい!私寝てた!?今何時…!?」

時計の針は正午を指している

そしてそのまま目線を下に向ける


「あっ!ててて手紙読んだの…?」
「勝手に読んで…」
「うわ、どうしよう。わけわかんない文だったよね」
テンパって顔が引き攣る

「今まで読んだどの手紙よりもシンプルだったとね」
「中途半端に書こうとしたら長くなりそうで」

抱き締めながら囁く

「ばってん、一番心に響いた。
が居てくれて本当に良かったって。」


「そんな」
慣れないんだよなぁこの素直過ぎる一言


「一生懸命書いてくれてありがとう」


「あ…」

自分の為に一生懸命書いてくれた物
例え気持ちには応えられなかったとしても―
だから千里は全部読むんだ

しかも読み終わっても捨てないで取っておくから
あんなに溜まるわけ、か。


「千里、おかえり」
目を見て改めて迎え入れる
「ははっ、今更?」

「はー、あったかい」

「生きとるからなぁ」
「あはは、そう言う意味じゃないよ」



無意識に目が合う




「綺麗な瞳」
「…それって普通俺がに言う台詞なんじゃなかね」

「ううん、そんなの関係…」

流行の波に乗ろうとしたのに
大事な部分が言えなかった


口が塞がって







「…ねぇ」

俯いてとりあえず会話を最後までしようと思ったのに
そんなのお構い無しでその場を去り着替えに行く

「全く、やりっぱなしじゃん」

「…何やっとーね。また留守番しとー?」

さっき向こうの部屋に行ったかと思いきや
5分も経たないうちにカギを持って既に玄関前に立っていた

「準備早っ!」

足早に向かう

「そう言えば言うのすっかり忘れとった」
「へ、何?」


この時、お昼ご飯は絶対冷たい物にしようと決意した




俺もん事、大好きって書くと思う






END



コメ。

休日出勤をしてて『あーぁ、学校は任意で行くから良かったよなぁ』
なんて考えた時に思いついた休日ネタ。
千歳の優しさを出せてたら良いな(という願望/またお決まりのパターンですか
残念ながら(?)エローホン(←VTネタ)ではありませんでした。(笑)


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