13.ほろ苦い思い出
向かい風。
あまりにも強すぎるその風に
必死にこいでる自転車はなかなか前に進んでくれず
嫌気がさした俺は自転車をこぐ事を止めた。
基本的に俺が学校で何か一波乱あった時は
大抵向かい風で、自転車は進んでくれないし家には帰れないし。
で、追い風で帰ってる小学生とか見てすんげぇムカついてる自分がいて。
あー、何でこんなにムカついてんだろー。とか思ってるうちに
自転車をこぐ事を止めてるんだよな、ホント成長しねぇー。。。
「あ、丸井先輩発見〜。」
−・・・・・・だから何(怒
「シカトっスかー?つれないなぁ...」
『・・・俺、今めっちゃ機嫌悪いから。そっとしといて。』
「えー!?さっきまであんなにテンション高かったのにっスか!?」
−返事はしない。頷くだけでいっぱいいっぱいだったし
しばらくたって赤也は俺の顔を覗き込んでこう言った。
「先輩、フられたって聞いたんスけどー・・・」
−・・・発信源誰だよ・・・ぶっ殺す(←丸井君、言葉悪いですって)
俺は冷静を装って赤也に返した。
『・・・それ、誰に聞いた?』
「・・・言ったら丸井先輩、絶対キレますよ?」
やっぱり心中穏やかじゃないのがバレバレだったらしい。
『誰から聞いたんだって言ってんだろ、俺の行動を心配するより質問に答えろよ』
「発信源が気になるって事は真実っスか?」
−この二年、生意気過ぎる。。。
勿論やられっぱなしじゃ立場ないから俺も反撃策を必死に考える。
『・・・てめぇ、さては見てたな』
覗き込んでた顔が急に退く。
そこら辺はまだ二年って感じだなー。
「ち、違いますよ!!」
『じゃあ何焦ってんだよ、だって俺誰にも言ってないし』
−あ。やべ、口すべった・・・。
「・・・俺は、たまたま教室から丸井先輩が女の子と話してるのが見えて。
そんで何か今先輩見たら怒ってたからフられたのかなぁーって思ったから聞いて見たんですよ?」
『で、でも見てたのに変わりはねぇし!!』
「丸井先輩こそ結局フられたんじゃないっスか!!」
(・・・結局お互い騙しあってたんじゃん・・・)
『−誰にも言うなよ』
「じゃあ先輩もっと俺の事可愛がって下さいよ」
『は!?十分可愛がってるだろ!!本当ならこんな生意気な後輩話したくもねぇよ!』
「そりゃないっスよー、こういう所がヒドイ。」
『じゃあもっと可愛がってくれそうなキャラになれよ(怒)そんないっつも強気だったら
いつか痛い目見るぞ?』
「もういいっス。俺は俺ですから。キャラ変える予定もありません。」
そんなしょぼくれんじゃねぇよバカ也。泣きたくなってくるだろうが・・・。
後輩の前で涙なんて流したら絶対なめられる。
泣くな俺。泣いたら終わりだ。何があっても後輩の前では泣かない。
『はいはい、そうですねー。切原君は切原君だから仕方がないよねぇー。』
幼稚園の先生が小さい子供に対して言うような口調で俺は告げた。
それを聞いて俯いてた赤也は涙声でボソッと呟いた。
「・・・意地悪・・・」
『何だよ。文句あんのか?』
「ちょっと1年・・・早く産まれてきただけじゃないっスか。
なのに先輩とか後輩とかって・・・」
”先輩”と”後輩”の制度があるのは日本くらいじゃないですか。と
付け加えて赤也は俺に訴えた。
確かに先輩だとかって威張ってたけど
確かに上下関係の制度があるのは日本くらいだけど
『だからって今この話題をしなくても・・・』
「先輩は後輩の前では泣かないんですね。」
『な、何だよ急に』
「だってこの前も試合終わった後一番悔しそうな顔してたのに
泣いてなかったし。」
「次の日仁王先輩に「丸井先輩って泣かないんですね」って言ったら
「あいつ、めっちゃ涙腺弱いよ」って言ってたんですよ。」
−仁王め余計な事を・・・。
「けど後輩の前では涙を見せないって言ってる事を聞いたんス。」
『・・・だから?』
「ここがアメリカだったら丸井先輩も俺に泣き顔見せてくれたんだなーって思って。」
『・・・。』
「別に泣かれたからってそんな態度変えませんよ、俺だって。
むしろ仲間って思われてないような気がして寂しいんですけど」
”泣くな俺。泣いたら終わりだ。何があっても後輩の前では泣かない。”
こんな考え何で持っちゃったんだろ。
後輩って言ったって同じ人間じゃん、弱いトコ見せたって別にいいじゃん。
年上だとか年下だとかそんな固定概念古いって話だよな。
『・・・赤也・・・』
「はい?」
『・・・泣いてもいい?』
「いいっスよ。」
向かい風の中また自転車をこぎ始めた。
今日あった嫌な事が全部無くなったから
今までの隠してた「自分の弱さ」を出したから
追い風で帰ってる小学生も無邪気で可愛いとかそう思えた。
『友達』と呼べる人が増えた。
『ほろ苦い思い出』。めっさ久々にお題更新です。(キャ
最初は絵だけにしようと思ってたのですがそれじゃあ画力のない私の場合
完璧な「説明不足」になります故、折角だから赤ブン風味に文を・・・(照
絵です、このお題は絵だったんです(必死に主張
そして実際ブン太はもっと後輩とか気にしてないと思うし(笑
それ以前にフられるの!?って話ですよね、うん。
そこら辺はあんまり気にしないで下さい。私も納得してません(ぇ
しかも今気づいたけどラブレター持ってる絵なのに文の方では
口頭で言ってるっぽいしね。なんか矛盾してるし・・・やっぱ文書きは苦手だ(逃走
>>>モドル<<<
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