16.救急箱



−人は皆傷つきながら生きているから
傷ついてない人なんて存在しないのだから。−

「って、どーよこの言葉?」
「・・・どうなんだろうねぇ。。。」

学校帰りふと立ち寄った今にも潰れそうな古本屋。
ほこりがかった一冊の本を手にした丸井ブン太。

「・・・これ、タイトル見えねぇ。。。」
古びた本はインクか何かがこぼれたらしく、タイトル部分が黒く染まっていた。
「聖書か何かかなぁ?」
アクビをしながら一緒に居合わせていたジローが隣で呟く。
「丸井君、こーゆーのに興味あるの〜?」

「いや、別にぃー。けど何が言いたいのか気になんねぇ?」
「やっぱ気になってんじゃん。」
とろんとした目で俺の方を見ながら言った。

『その本、欲しいならあげるよ』
奥の方から店のおじさんが出てきた。

「え〜?ホント〜?良かったじゃん、丸井君〜」
「え?あ、うん。。。」(別に欲しかったわけじゃないんだけどなぁ・・・)

と言うわけで謎の本を譲って貰った俺だが・・・


−いくらなんでも気味悪すぎだから・・・
部屋に戻って本をパラパラと読んでみた。

・・・何だこれ・・・マジで聖書?けど何か違うような・・・

−人は一人じゃ生きていけないものだから−


ふーん。。。俺傷ついてるかな。悩みとかあったっけ。

ガムをふくらましながら考えてみた。
俺は今受験生だけどー別に勉強は苦じゃないし・・・
テニスの技術だって結構ある方だし?


−俺って悩みないのかも・・・
悩みがないのが俺の悩み?(せつねぇ・・・

それ以来頭の中はその事でいっぱいいっぱいだった。

『俺にとっての悩みって何』っていうよく分かんない内容。


「丸井、お前何悩んでんの?」

「・・・へ?」
あまりにも唐突過ぎて拍子抜けした声で聞き返した。
「・・・何、別に悩んでないけど?」

「ふーん、そう?」


「・・・な、何で?俺、そんな悩んでる風に見えんの??」

「んー?いや、何かいっつも上の空だからさ、最近。他の事考えてんのかなーって」

−その考える事を考えてるんだけどね。ややこしいから口には出さないけど。
「そう。。。」

上辺返事だけして俺は階段を降りようとした。
そう言えばいつの間に俺階段まで来てたんだろう?
今何時間目だっけ?仁王に会ったって事は休み時間?

色んな事が頭を張り巡って俺は『階段』という物を忘れていた。

「丸井!!危なっ・・・」

もう遅かった。ここからは良く覚えていない。
きっと階段を踏み外して転げ落ちたんだろうけど。。。

「・・・いてぇ・・・」
目が覚めるとそこは病室だった。
「あ、気が付いた?死んだかと思った(笑」

「あれ、仁王・・・俺・・・一体・・・ここ病室?」

「うん。丸井のコケっぷり皆に見せたかったわ」
俺がこんな傷だらけなのに元気に笑いほうけるもんだから仁王に対して腹が立った。

「つかお前のせいだろ!!お前が何か変な事言うから・・・」

「はぁ?俺は心配してちょっと聞いてみただけだしー。
転げ落ちたのは丸井が悪いし。」

「それとも何?実はめっちゃ悩んでたとか?」

「・・・俺にとっての悩みを考えてたんだよ、ここ最近!!」
−また笑うんじゃねぇだろうな、こいつ。笑ったら殴るぞ。

「・・・」

−コメントしろよ、沈黙よりまだ笑ってくれた方がましだ(←どっちですか
「何か言えよ!恥ずかしいじゃねぇかよ。」

あまりにも沈黙が続くもんだから思わず口に出てしまった一言。

「結局お前にとって悩みが悩みになってんじゃん?
それ、考えるだけ時間のムダだって。いつもみたく食いモンのことでも考えてればいいのに」

「人は傷ついて生きてるものなんだって。で、俺今まで傷ついたことあったかなぁーとか思ってるうちに
自分の悩みがないってことに気が付いたんだよね。」

「・・・分かってないなぁ。人は知らず知らずのうちに傷ついてるものなんだって。
お前も、俺もな。」

「・・・?」

「ほら、階段から転んだりとか目に見える傷はすぐ治せるだろ?けど心の傷ってーのはなかなか癒えないものなんだよ」

「だから、気付いてないのが一番幸せなんだって。」

「・・・そっか。」

「そう。あえて何だろう何だろうって引き出したらその後もっと辛い事になると思うけどね、俺は。
まぁ、苦しむ苦しまないは丸井の勝手だから」

「で?仁王は?」

「は?」

「見つけちゃったわけ?」

「・・・さぁ?苦しみは人それぞれだからねぇ(笑)俺も色々あったけど今のところは消化出来てるからなぁ」

「・・・そっか。」
−こいつ、結構大人だなぁ

「丸井・・・」

「ん?」

「もし一人で抱えきれない問題があったら・・・」



仁王は若干照れながら言い逃げして帰った。
でも俺はその言葉結構嬉しかったけどなぁ







「俺がお前の救急箱になってやるよ」








救急箱。本のタイトルは「救急箱」(ベタです、てか妄想しすぎです。)
一番初めに一番最後の言葉が思いついたっていうわけわかんない管理人(死
駄文・・・絵は明日にでもアップしようかしら・・・文才無いですから(断言
とりあえずコレでお題全部完成です(感涙)よし、次次ー!!!(ぇ
次は何しようかなぁ。とりあえず小説は姉ちゃんと凪つんに任せとこ(コラ




>>>モドル<<<










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