***VIRTUAL-GIRL-FRIEND-Vol.6-***
あーぁ、珍しいこともあるんだな。


VIRTUAL-GIRL-FRIEND-16-



「ははは、ー楽しかったかぁデート!」
「あぁ…うん…恥ずかしいからそれ以上言わないで」
「蔵君、の奴昨日友達の家泊まるって言ってたけど
お邪魔とかしてなかったかい?」
「いえそんな、ちゃんと友達の家泊まりに行ってはりましたよ」
「っていうかお父さんいつの間に蔵君とか呼んで…!!迷惑でしょ!」


「迷惑ちゃいますよ〜!俺かったいお父ん無理やし」

「ほら見ろ〜!お固いのは〜」
「…ちきしょう」
お母さんめ…何でこんなのと結婚したんだ…。

「じゃあねお父さん、浮気したらダメだよ〜!」
も気を付けなさい〜!色々と!
あと蔵君、遊びに来て良いからなぁ!!」


「色々って…何だよ!バカ親父!!」
「ハハッ、おーきにぃお父さん〜」



そんな超楽天的な親を後に
駅に向かっていた


「…大会まで会えないのかぁ」
「ええやん、言うても一週間後やろ?俺達は遠征やから前乗りするし」
「そうなの?」
「まぁ、前乗り無くても会いに行くけどな」

「そ…」
そんな嬉しい事言われたら返せないよ
ちょっとは近付けたかと思ったけどまだまだ勝てないな







アスファルトのトーンが部分部分で落ちて行った


「えー!?雨!?!」
「ついてないな…雨女とちゃうんー」
「そう来るか?!てか酷っ」
「結構強なりそうやな…雨宿りするか。」

「ちょっと、どこで〜!?」



半ば強引に手を引かれ
近くの廃ビルらしき所で雨が収まるのを待つことにした





xxx


「雨、止まないね」
「せやな」


こういう静かな場所だと何故か口数も減ってしまう

まぁ、雨の音で静かってわけでも無いけど…。



蔵ノ介は硝子の無い窓枠に寄りかかって腕を組みながら外を見てる
私はと言うものの、
恐らく前ここにいた住人が置いていったと思われる椅子に座って
ただその背中と視界に入る窓の外=土砂降りを見ているだけで。


こう言う時に考え事をすれば良いのに
そう言う時に限って考えるのが嫌になったりして
ボケーっと時間が過ぎる



「通り雨やろ、もうすぐ止むと思うで」
「良かったー、流石に明日は休めないからさぁ〜…」



もうすぐ止むのかぁ。


駅まで普通に歩けば10分もかからないし
あの綺麗な顔も、蔵ノ介自体を目で見れるってことすら
あと30分もしたら1週間後までオアズケ…か。



でも逆に考えれば1周間早く会えたんだもん、
お父さん…いや、出張に感謝しないと!


異変に気付いたのか雨と睨めっこしてた顔がこちらを向いた

「どないした?元気無いな」
「え?そんな事無いって!
ほら、雨だからちょっと滅入ってるだけだしー!!あははは…」


頬筋が確実に引き攣ってる。

ダメだ、今笑えないなんて…何の為の笑顔だよ



「何して欲しい?」
「何…?いや、そんな何もして欲しいことなんて…」



ある。


あるよ、あるある。
そう言えば大阪に来てまだまともに…
いやいや!そんな会ったばっかりでその頼みって無いか!?





「言わへんねやったら俺から一つ、頼んでもえぇやろか」



「私に出来ることだったら常識の範囲内で何でもするよ」
まずは気持ちの整理をしなければ。
とりあえず蔵ノ介の頼みをちゃちゃっと聞いてる間に考えて…




「…?」
机に座りながら人差し指で唇をなぞる
頼み事をする身のくせして笑いながら言葉を付け加えた




「雨止むまで貸してくれへん?」






「…上手いなぁ」
思わず感想が口に出てしまった。
危うくかなり無理して
『白リン、チューしよ!』って言う所だったよ



「何がやねん!まぁ、別に嫌ならえぇで?」
なぞっていた指が頬を掴んで心配そうに顔を覗き込ませた

「ううん、何て言おうか悩んでたからむしろ良いの〜?って。」
首を横に振りながら答える

言うの下手そうやもんなぁ、俺から言っといて良かったわ」
「下手じゃなくて…!」
ちょっと言い回しが思いつかないだけだし…!!




…通り雨が滞ってしまえば良いのに。






どうしよう。
昔の言葉で言ってしまえばゾッコンだ。


そのレンタル期間が長ければ長いほど
寂しいとか、離れたくないとか
珍しく女子っぽい意識が芽生えたりなんかして

?」
「蔵ノ介…あの、気持ち悪いとか置いといて」


雨と同じ位の速さで涙が止まらなくて
たった1泊2日なのに、会ってたのはもっと短かったのに
でもその中で色々なことがあって
その一つ一つが成長したりとか、勉強になって…



「ゴメン、らしくないけど…涙、止まらない」
武士とかそう言う突っ込み入れる余裕すらない



「せやから言うたやん、『嫌ならえぇ』って。」


そう言う広域で考えた上でのイエスノーだったの?
「普通、そこまで考えつかないから…モゴモゴ」
「え?」

「…何でもない」
腕の中で話すのって結構大変だ


「堪忍な、俺も同じ気持ちやねん」


アドバイス出来へんしむしろ欲しいくらいやわ。



同じ気持ちって…。





例えばその同じ気持ちって言うのが
`一週間が長くて離れるのが嫌だ`って言う部分だとしたら




「愛されてるなぁ」

「…今更の確認事項やろ、それ」

あ、聞こえちゃった


確認だってしたくなるわ!
一昨日までは顔も知らない相手と
仮想現実の世界で付き合ってたんだから―


そう、バーチャルの世界で…



「仮想現実内だけでの彼女…俺はそれだけじゃ物足りんわ」

「ビックリした…」
エスパーですか

「あかんかった?」
「いや、私も同じこと考えてて」



雨が止んだ

きっと今日ほど雨が恋しくなることはないだろう





時間は待ってくれないし
離れたくなくても離れないといけない


辛いな、何だろうこの親離れ出来ないような感じは。



「…駅、行かんとな」

「うん。」


xxx







「ねぇ謙也君、忍足君のアドレス教えてくれへん?」
「侑士に確認してからや無いと教えられへんで〜。」
「せやったら確認したら連絡ちょうだい〜!ほな!」


一方的に電話を切られる

確かに中立の立場におりたいけど
…あの二人が手を組むとなると
もしかすると最悪の結末が待っとるかもしれんな…




謙也は考えた末、メールを打ち始めた


sub:連絡先の件

興味あらへん奴にアドレスは教えへんて。




"送信完了!!"






あーぁ、味方しとるやん、俺。


そう思いながら携帯を放り投げた




xxx続く


>>>コメ。<<<
大阪編がやっと終了しました(長い事お付き合い有難う御座います/orz
大会まで勝手にあと1周間設定(土日なんですか大会は)
更に前乗り設定(笑)そんな感じで次は氷帝で一波瀾が…(好きですね
待ってこれ本気で何話迄続くんだろう(毎回思う恐い部分/事前に計画を
続きアップしました!(5/20)下にスクロール願います↓↓



>>>モドル<<<




お気に入りの物はなかなか手に入らない
嫌いな物はすぐに見つかるのに


VIRTUAL-GIRL-FRIEND-17-





月曜日。

正直連絡しようかなぁとも思ったけど
今したら逆効果だ。


「あ、宍戸おはよ〜」
「はよ…お前散々だったな」
「まぁね…大阪は氷帝並にイケメンが揃ってたよ」
「いや、そこじゃねぇよ」


「ところで長太郎は?」
「あぁ、今日日直らしいぜ」
「ふーん…
あ、そう言えば新しく編み出したフォーメーションはどうなの?
あの良く分からないやつ」
「…殴るぞ」

「す、すいません…!!」
恐ぇよ!
宍戸のどこまでが本音か分からないのはやっぱ見抜けないな…




それからと言う物の
この一週間は長いようで短かった

蔵ノ介も部長なんだもんね…きっと忙しくしてるに違いない

連絡もある一日を除いては―










xxx
水曜日。
明後日は大阪組が前乗りで来る

楽しみだなぁ。



にしても資料整理が終わらない

みんな帰っちゃったし…はぁ。




ガラッ



音楽を聴きながら作業していた私は人の気配に気付かなかった






「無防備やな」




!?








「な…離して!フェアに行こうよ」
「フェアにいったかては振り向いてくれへんやろ」


マズい。
すっかり油断していた。
早くこの腕の中から抜けないと…



「アイツとどこまで行った?」
「どこまでって…大阪までだよ。まず離して!」
何改めて聞いてるんだこの人は



「…シラ切るんやな」


腕が離れた

本当なら一旦外に逃げれば良いんだけど…
如何せんドア側に侑士がいるから行けないし…。
距離を取るため窓際に移動する


「いくら他の女に好かれてもな…」
「ゴメン…その、私は友達としか見れない…
でもほら!こんな変な子より
もっと可愛くて性格の良い子なんて氷帝にならたくさん…」
「本人は気付かへんモンや。
には魅力があってな、
それに惹かれた奴は気付けば皆虜になっとる。
えらいやっちゃなぁ」

「み、魅力なんて無いよ!」
「知っとると思うけど白石は女作らないって有名やってん、四天では。
まぁ、一部ではお高く留まって
みたいな嫌味も言われてたらしいねんけど絶対曲げへんかった」

「…うん」
知らなかった、そこまで言われても自分を貫いてたなんて


「そないな奴に告白させてもーたんやで?
魅力があれへんかったら出来へん」

「そんな大袈裟だよ、たまたま波長合っただけだって!」


ガツッ

「いだっ!」

照れて思わず窓に手をぶつけてしまった

我ながら情けない…


「大丈夫か?」
心配した侑士がこちらに来る
「うん…それより何しにここに来たの?」

「何って…」




「ちょっ」


壁に両腕を押し付けられてしまった
…身動きが取れない。


「侑士!!」
「どこがちゃう言うんや?俺と白石のどこが―」
「こう言うとこだよ!」
「なぁ、目合わせてや」
「手離さないと絶対合わせない!!」

いざとなったら実力行使に出るからね







xxx
「っ…」


「白石大丈夫か?」
「…ガット切れてもーた」
「良くあることやろ」
「あぁ…」

せやけど…何もしてへんのにガットで顔切るか…?





…」
「声に出とるで〜」
「あ、出とった?」

頬を触った包帯は紅く滲んでいた



xxx続く


>>>コメ。<<<
白石の綺麗な顔に傷つけてしまってすいません(そ、そこ!?
次回ちゃんと治ってるはずです(早いよ
予告通りの一波瀾。頑張れヒロイン!(応援しちゃったよ
続きアプしました!(6/03)下へスクロール願います↓↓



>>>モドル<<<




その日の雲は真っ白だったけど
自分の中の雲は灰色だ


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たたたた…


「ま、マジシャレになんない!」








涙なんて微塵も出ないむしろ恐怖と憤慨が入り交じっている



人を好きになるって恐いことだ



今は誰とも話したくない




無意識に携帯の電源を切っていた






「腹蹴りは効くわ…」

あっさりフラれてしもたな…
あないに追い詰めた時なんて
今まで断られたこと無かったんに―



欲しい物は手に入らない。

…なるほどな、よう出来た言葉や




xxx

'おかけになった電話は
電波の届かない場所にあるか電源が入っていない為―'


嫌な予感は的中した


…大丈夫やとえぇねんけど


あと二日…か。
長いけど繋がらないことにはどうも出来へんし
…あかん、集中せな。







xxx



翌日(木曜日)

軽く人間不信になってしまった私は
必要最低限の言葉しか話さず一日を終えた

必要最低限と言っても
滅入ってるところは絶対見せなかったし
(あの帽子被ってる鋭い人にはバレてるだろうけど
あえてソッとしておいてくれてるし)
侑士とも普通に話したし―


でもこんな状況で…電話出来るかな…






『お掛けになった電話は…』

うわ、電源切ってる!
「怒ったのかな…
あ、まさかマネに『白石君、こっちだけ見とって
とか言うてラブラブな感じに!?で、電源切ったとか!!」

「よう喋るな…しかも微妙に関西弁やし」
「わ!電源が蔵…えぇ!?」

「電源切られる身にもなってや」
「ご…ごめんなさい」


察しているのか相手はそれ以上責めはしなかった
「好きなタイミングで話しや」




「…大好きです」







「あぁ俺もや、愛しゅうてしゃぁないわ」


バカ




とりあえず蔵ノ介には全部話そう

人間不信になったりとか
自己防衛とか


その辺りを…



…明日そっち行くから辛いと思うけど我慢してな」
「もう…そんな優しくしないで」
「優しゅうなんて無いわ、アドバイス言うてるだけや。この違い分かるやろ?」

アドバイスは本音ってことか







「大丈夫、そんなヤワじゃないし!
それよりそっちはその…しつこくとかされてない?」

「まぁ大人しいモンやわ、
何言うたか知らへんけどそれ効いてんのとちゃうかな」
「そっか、良かった」
「…心配してくれてんねや?」
「当たり前でしょ…す…好きなんだから…」

「何?聞こえへん〜」

「な、何でも無い!」



話しておいて良かった
だいぶ楽になった気がする


「やっぱ自分の好きな人は信じなきゃね…」

信じないで他人から信じて貰うことなんてあるわけが無い


今日は良く眠れそうだ―




xxx続く


>>>コメ。<<<
…短い。結局二回振られちゃったね、忍足(って、何でやねん!
不幸中の幸いで終わらせました(ギリギリセーフ/何がですか
次回は四天in東京話(お、順調に進んでるぞ)
書く側のくせしてあぁ…羨ましいなぁこの逆ハーって思った話(えっ

続きアップしました!(06/10)ページ切り替わります。■ENTER■



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