***VIRTUAL-GIRL-FRIEND-Vol.8-***
あの人はいつもの笑顔で
何事も無く他のメンバーと接していた


VIRTUAL-GIRL-FRIEND-22-





「うわっ、千歳!」
「珍しいばいね、難しい顔して。考え事?」
「・・・うん。あ、千歳はその、だからえーと…」
何て言えば良いんだろう?
って言うかさり気に珍しく難しい顔とか言ってなかった?

「ここに居るメンバーは本当の白石ん事も知っとるよ。
まぁ、金ちゃんは置いとくとして。
ばってん、俺も途中から来たしまだ分からん部分もあるけど」

「そう…って、何で分かったの!?エスパー!?」


「ここ来る時にもしかしたら言うかもって言っとったから。
何か確信させるようなこと言ったんじゃなかね?」
「ん〜、別に。そんなピーンと来るようなこと言った覚えは無い」
「完璧主義なんて言葉、所詮作られた物ばいね」
悲しそうな顔をして答える


「それどういう…」
「今に分かったい」
言い終わる前に千歳は頭を軽く叩いて行ってしまった


大会前日にドッキリ、花火、カミングアウト。
しかも夜になってからいきなりのハードスケジュールだ。




「オサムちゃん、少しと話したいねんけど
部屋に入れとってもえぇやろか」
「少しなぁ〜?」
疑いの目で復唱される
「…」
「分かった分かったて!そう睨むなや〜!!」
「すまんなぁ、おーきに」

「白石さん、恐いですわ」
「財前、お前人のこと言えんやろ」

xxx





完璧主義は作られた言葉
本当の部長を知ってるのは限られた人物のみ

「つまり、今見てる蔵ノ介は作られた物ってこと?」

ベットに寝転がりながら椅子に座ってる
作られた人物”をチラッと見る


「いや、テニスに関してや。”作った”のは」
「…この前金ちゃんと試合してた時思ったんだけど」

「何を?」
包帯を捲きながら聞き返す

「何と言うか無駄の無いテニスだなぁって。
でも私が見て来た人達って
自分の必殺技極めたりしてた人が殆どだったから…」

ゴロゴロとしながら話を続ける

「もしかして…蔵ノ介は自分の為じゃなくて
部長として勝つ為のテニスに切り返したとか…
あはは、違うか!!そんな自分を捨てることが出来るなんて」










やったんや、それ











全身が固まった
当然ながら本人を見ることすら出来ない


「自分を一から作り直すようなモンやからな。
お陰で今じゃテニスの聖書とまで言われるようになってもーた。
…勝たな意味ないねん、どんだけ凄い試合やってもな」


でもそんなこと、普通の人じゃ絶対出来ない。
人の何十倍も努力して、練習したからこそ為し遂げたことだと思う
こう来たらこう対応するって言うのを数え切れない程考えたんだ、きっと


そっか、だから皆知ってたんだ。
部活での蔵ノ介が変わったから―


「参ったな、俺の部屋に厄介な虫入って来てもーた。
苦手やねん、滅多に見んから」




泣き虫。




背中震えとったらバレバレやろ、泣いとんの



横になりながら抱き締める
まさか泣くとはなぁ…

「鈍い虫やな、捕まっても抵抗せぇへんし」

もぞもぞと方向転換をする



「ははっ、ぐちゃぐちゃやで顔」
涙を拭いながらストレートに発言される
どう返せって言うんだよ・・・
「っるさい…」


「よし、私の胸貸して上げるから思いっきり泣け!」
「胸借りて泣いとんのどっちやねん」

う。


「もっと弱いとこ見せてよ、私だけバカみたい」
「せやかて弱い所、が持って行ってくれとるからなぁ。
俺の代わりに泣いてくれとるんやろ?おーきに。」


「ち、違うし!!これはあれだよ、目にゴミが入ってさ…」
必死に目を擦る
「顔上げ、
「何、上見たところで蔵ノ介しかいない…」
あれ、この感じさっきどこかで…デジャヴ?


「…ヤバい、この虫よう見たら可愛ぇわ。飼ってもえぇかな」
「飼っても…飼う!?」


濁りのない瞳に何かを吸い取られてしまいそうだ


「飼いたいなら…大事に飼ってよ」
「これ以上どうせぇ言うねん」



コンコン


「タイムリミットやでー白石ぃー」
「あ…泣き顔だったら誤解される」
鼻をすすりながら立ち上がる



「送るわ。あ、忘れ物しとるで」
「忘れ物?えーとカバン持ったし…何か落したかな」
「明日大会やで、励ましとかあれへんの?」

「ゴメン、すっかり忘れてた。頑張れー」
「…棒読みやなぁ。テンション下がるわ」
「不器用なの!」
「せやったら俺からしたるわ」
「するって」



マネとしてまぁ、頑張りや



「…まぁって何だよ、ミイラもどきめ」
って言うかチューするんだったら事前に言ってくれないと
ビックリするじゃん!!
「ミイラとか言うなや、凹むやろ」


ガチャッ


「青春やなぁ〜。時間足りんかった?」
「オサムちゃん、それ以上言うたら大阪帰すでホンマに」
の彼氏おっかないわぁ、どうにかならへんの?」
「うん…多分ならないと思う」
その恐さ…どうにかなるんだったらどうにかしてるよ





xxx
意外にホテルと家は近くて
あっという間に着いてしまった


!もー、榊先生から電話着てたわよ!
明日、8時に学校集合だって」
「あー、大丈夫、メール着てたし…」
「こんな時間まで一体…あら」
「どうも、初めまして。」
軽く会釈をする

「こちらの方は?」
「蔵ノ介だよ、ほら前に大阪で…」
「大変!こんなカッコ良い子と付き合ってるの!?」
「め、面目ない…///」
何言ってるんだ自分
「そないなこと無いですよ、
むしろ俺の方が付き合って貰てんのが申し訳ない位で」
「やだもーかーっこいーには本っ当勿体無いわー」

「お母さん…」
うちの両親って一体…
「それじゃあそろそろ失礼します」
「もう帰っちゃうの?家でゆっくりして行けば…」
「明日大会だから!これ以上迷惑かけられないでしょ!!」
「残念だわー、蔵ノ介君。また遊びに来てね」
「はい、是非。ほなおやすみ。また明日な」
「うん、わざわざありがとう。おやすみー。」





明日から大会か。
長いような短いような。

「この大会終わっちゃったら次はいつ会えるんだろう」



寝る前にふと考えてしまう辛いけど変えようのない未来


、写メ撮り忘れたわーお母さん!」

ガクッ

「もう!早く寝ろ!!」
真面目なこと考えてる時に限ってこれだよ…



xxx続く


>>>コメ。<<<
前夜編終了(お付き合い頂いた方有難う御座います((orzorz)
白石の部長秘話なんて勝手に考えてみたりしたあの日(いや、いつですか
ファンの方々に怒られそうだす(既に日本語がテンパってますよ
やっと大会だ!うわーい!!(一人でテンション上がらないで下さい)
原作通りに進みます。終わっちゃうよー寂しいよー(何でやねん
続きアプしました!(7/16)下へスクロール願います↓↓



>>>モドル<<<







大会編やっと突入↓↓








眠い…

何でこういう時ってやったら眠いんだろう…
「憂鬱だからかな…」

青学との対決…か。


「勝って欲しいな」


VIRTUAL-GIRL-FRIEND-23-



『絶対優勝するんだから!』
『お前・・・さっきからうるせーよ』

―まぁ、が焦るのも無理はねぇか

『宍戸と長太郎は良いよ、勝ったから!
もー、若と岳人は術中にハマるし!!』
『うるせー』
『おかっぱ!』
『お、おかっぱ関係ねーだろ!!
って言うか気に入ってやってる髪型とやかく言うなよ』
『まぁまぁ喧嘩止めーや。始まんで試合』

―侑士が仲裁に入る


もう過去の話だ





追い越せそうで追い越せられない
追い抜けそうで追い抜けない

「そんな試合だったね」


ここはもう大会場所ではない
病院だ
目を開けない部長に話し掛ける


「…髪の毛持って行けって言われて持って来たけど…
どうすれば良いんですかね、監督」
「とりあえず横に置いておけば起きた時に全てを察知するだろう」
監督はいつでも冷静だ
「そうですね…
私、部の為に最後まで頑張っていた跡部を見て流石だなって思いました」

「女性たるもの常備していないと立派な淑女にはなれない」
袖で顔を拭いていた私にハンカチを差し出す

「すいません・・・」

「とりあえず跡部は大丈夫だろう、戻ってヨシ!」
「いや、でも」
こんな顔だしなぁ・・・戻れって…。
「お前にはまだマネージャーとしてやってもらうことがある」
「…何ですか?」

「他校の動向調査だ、
そろそろ不動峰と四天宝寺の試合が始まる」

「監督…」
まさか知って…



涙を振り払いながら病院を後にした




xxx


「氷帝、負けたんや」


トーナメント表を見ながら思わず呟く

「当たらなくて安心しとるんちゃうの?蔵〜リン♪」
「…せやな」


「?」
小春と一氏が顔を見合わせる


「どこ行くんやぁ白石ぃ?試合始まんで」
「ちょっとメール打つだけや、気にせんといて」




、お疲れさん。
試合って辛いと思うねん。勝ち負けあるやろ?
せやけど決まったことは変える事出来へんから
今は自分の気持ちを隠さんで出すこと!分かるか?
相手誰でもえぇねん。
一緒に闘いに行った仲間やったら絶対返してくれるはずや。
…あ、忍足はあかんな。

ほな、試合始まるからまたな




「蔵ノ介…」
わざわざ試合前なのに私のために・・・

「挫けてなんていられないな」


駆け足で試合会場へ戻った



xxx




「跡部は?」
「目赤っ!!」
「泣いてたんじゃないっすか」


会場に着いた途端質問責めだよ

「質問は順番にして下さい!
跡部は大丈夫だし目はご察しの通り!」

答えられてんじゃん

「不動峰戦、早く行かねぇと終わっちまうぜ」
「え!?まだそんな時間経ってないのに!?」
「お前…四天宝寺がただのお笑い集団とでも思ってるのか?」
「いや、そんなこと思って…無い無い!」

その間は何だ

「あーっ!やー!!アイツやでコシマエ!!」
「金ちゃん…あれ、試合は?」
出来ることなら会いたくないんだけどね…青学に。
「終わったー!」

「終わった!?」
「監督来るまで待機だろ?行って来た方が良いんじゃねぇの」
「宍戸…何か良い事でもあったの?」
「バカ。負けてんのに良い事なんて早々あるわけねーだろ」
「すいませ…ん?」

「目ぇ真っ赤やでー、泣いとったん?」
「えーと…私の学校コシマエの所に負けちゃってね」
そんな大きな瞳で心配そうに見つめられると
お姉さん困っちゃうよ!
「せやったんか!!分かった!ワイが倒したる!!」

「…ありがとう」


頭を撫でながらそう答えた


「せや!実はな、白石に応援せぇへんと殺されんねん」
「えぇ!?」
随分と応援に対してバイオレンスな…
も一緒に応援しようやぁ!」
「み、見るだけで良いよ。目立ったら面倒だし」
「こっちやこっち〜!!」
手を引っ張りながらコートに連れて行く

「いたた、金ちゃんちょっと速い…」


「どっちのマネか分からんなぁ、あれじゃあ」
「そう言えばまだ諦めてねーの?の事」
「義理やったら選び放題なんやけどなぁ」
「…ま、関係ねぇけど」


xxx

「・・・目立つなぁ」
金ちゃんから借りたユニフォームを羽織る

しかしいくら四天のユニフォームあるからって

堂々と前に行くことも出来ず
(集中してる皆の邪魔になるのもマズいし…)

少し離れた場所で観戦することにした


「えー、謙也あんな速いんだ」
浪速のスピードスターって…自分で言ったらダメだろ

スピードスターって…

「ダメだ、試合に集中しないと」


「金ちゃんユニフォームどげんしたとね?」
「あるで!」
に貸したん内緒にするって約束したんや!!
絶対言わへん!!

「そう」
「?千歳どこ行くん」

「ちょっと探しに。」


他のメンバーは皆試合に集中しとるしバレんな




「見つけた」
「…ゴメン、早くも邪魔になった?」
「いや、大丈夫たい…一年経ったんばいね」
「早いな…千歳はいつも個性的なユニフォームだよね」
「あはは、そうかも」
「試合に集中してる蔵ノ介、やっぱいつもと違うなぁ。
私気付かれて無い?」
「多分な。」


試合が終わった

「また棄権…」
まさかここまで強いとは…恐るべし四天宝寺。
普段はふざけまくってるくせになぁ…

「さて、次で終わるばいね。、前に来とって」
「早くも勝利宣言!?ダメだよ、そんなわっ!」

二重に被せられるユニフォーム

「重いしブカブカだし…」


「…誰ですかそれ、容疑者?」
ほらもう…頭から被せるからそう言われる


「泣き顔しとる勝利の女神ばい」

一瞬白石に目線を向けコートに入る

「…!」

女神だなんて千歳ったらもー///
…どうでも良いけど暑い



バサッ

「ギャッ!」
容疑者破れたり
「やっぱり!何コソコソしとんねん!!」
「神尾クン可愛くない?」
「浮気!!」
「・・・えぇ加減にして下さいよー。」

「話は後や!試合始まるから全員集中してや」

「ちょっと!蔵リンから離れや!」
「俺が離しとう無いねん。せやったら小春かて離れや〜」
「意地悪〜!!」

・・・うーん。




ゴツッ


橘の目にボールが当たる


「ひいっ、痛い痛い!!」

思わず目を覆う自分
「当たっとらんのに・・・」



「千歳、あんなに強かったんだ」
「元九州二強やからな、強いに決まっとるやん」
「…でも橘が目を怪我させて二人とも辞めたんだもんね」
「良く知っとるな」
一瞬下を見る
「一年前から友達だからさ」
「…せか」



両者一歩も譲らない試合…二人のオーラに飲み込まれそうだ


7―5

千歳の予告通りの結末を迎えた


「最後…っていうか橘右の死角に打って無かった」
「気付いたん?思い過ごしかと思っててんけど
…大した洞察力やな」
「だって千歳好きだも〜ん。集中力3割増〜」
本当は蔵ノ介が側に居て安心してただけなんだけど焦るかな?


腕の中にいる私を見下ろすと無言でフェンスを掴んで目先を見据える

「拗ねんで、俺」


そんなストレートに…
「有り得ない…」

その一言を確認するとクスッと笑ってメンバーの方に向かった


今の笑い方ではっきりしたことと言えば

意地悪が分かった上でのわざと発言

と言う事実


まだ回復してないって言うのに。



「いやぁお疲れさん!この調子で優勝やな♪」
「あれ、千歳は?」


xxx

「俺、部活辞めるばい」
「えっ…えぇっ!?次準決…」
言葉を呑んだ

それはマズい発言をしたからではなく
"あること"を思い出したからだ

深呼吸をしてから言い直す

「辞められると良いね」
「どげんこつね、それ」


千歳が部を辞める事は知っていた
でも冗談だと思って深く考えて居なかった


まさか本気だったとは…
とりあえずオサムちゃん、策士だ

「スマン、ユニフォーム持っとって。着替えて来ったい」
「うん…」






「あー!ユニフォーム泥棒!!」

ビクッ


振り向いた先にいたのは小学生くらいの女の子

「違っ、持っててって頼まれたの!」
「お兄ちゃんのっちゃね!!」
「お兄…嘘、千歳の妹!?」
「本当に知っとるんやね、あんた」

兄貴に似ず何て生意気な…!!って、いかんいかん

「ミユキ!」
「お兄ちゃん!!あんなぁ、この人ユニフォーム盗んどった」
「…随分性格の違う兄妹だね」
「すまんな、ちょっと活発過ぎて」
「いや、千歳の妹だから許す」

中学生くらいになると落ち着くのかな…

「お兄ちゃん、蔵兄ぃは〜?」
「あぁ、まだミーティング中かな…」
蔵兄ぃ?

誰か考えてるとグッドタイミングで本人登場

「おー、ミユキー久しぶりやな」
「蔵兄ぃ!!」


あ、ギュッてされてるの見るのって何かジェラシー

「って、蔵兄ぃって蔵ノ介だったの?」
「何か白石ん事気に入ったみたいで」

苦笑いしながら答える
「結婚するんやもんな」
「うん!!」


「…私苛められてる?」
「あはは、どうやろう?」



「千歳、ホンマに辞めるんか?」
ミユキちゃんと戯れながら問い質す

「元々目も完治しとらんし、俺の意思は変わらんばいね」
「…辞められるとえぇな」
にも言われたとね。一体…?」

「深い意味あらへんよ」
これ以上言ったら感付かれるな

「…」


「あ、監督の所戻らないと。じゃ!」
ユニフォームを渡してそそくさと帰る

、終わったら入口前」

「分かった、入口前ね」

「…蔵兄ぃあの人と何関係?」
「ミユキにはまだ早い関係かな」
「えーっ!何ね!?」

「さてと、俺はそろそろ…白石頑張ってな」
「千歳もな」


この一言が本当に理解出来るのは後日の話だ―




xxx続く


>>>コメ。<<<
氷帝戦終了後からって展開早過ぎないとか言ってたくせに
結局前置き思い付かずこんな感じに(どんな感じですか
アニメでは気絶した後気付いてましたが
VGFでは病院に運ばれた設定と言うことで(また勝手設定ですか
ヒロインの位置良いなぁ〜(また言うか
続きアップしました!(7/22)下へスクロール願います↓↓



>>>モドル<<<





分からないんだよなぁ
限界みたいな部分が。

VIRTUAL-GIRL-FRIEND-24-



「監督、すみません戻りました。あの、跡部は…」
「目は覚ましたが…まだ此処には来れない状態だ」

「そうですか…」
「良いか、準決勝からは会場が別になるが、
行くか行かないかは夫々に任せる。
月曜日は予定通りミーティングを行い、
それまでには大会記録を提出すること。以上、解散してヨシ」


返事が響く

「終わっちゃったんだ…」


折角瞼の腫れが引いて来たのに
ダメだ、また泣けて来た

「泣き過ぎだろ、激ダサ。」

「…ほっとけ!」



入口前…泣き顔見せたくないな


「ったく、泣きやむまでいてやるよ」
長太郎も泣いてるし…どっちにしろ帰れねぇからな
「宍戸…ありがと」
「別に。礼言われるようなことしてねぇよ」





xxx



遅いなぁ

「白石君、あの子待ち?」
「…せやったら?」

「どんだけや〜!
あないに拒否りまくってた白石君が待ってるとか
レア過ぎて訳分からんわ!ほな明日な」

「…気ぃ付けてな」
「…」
こういう冷たいところは変わっとらんのに。
…おもろ無いわ


xxx

「ゴメン、待ったよね?」
「かなり」

あ、怒ってるよこの人

「目、ウサギみたいやな」
「え!?分かっちゃう?!頑張って泣きやんで来たのに…」

「やっぱりか」
「はい?」
ひょっとしてハメられた?



「俺で良ければ聞くで」

「勿体無い位だよ」
「せやったらマッサージでもして貰おかなぁ」


「良いよ、私で良ければ」


顔を見合わせて笑い合った





xxx




「桔平、目は大丈夫やったと?」
「あぁ、お前に比べれば微々たる物だ。
俺らに勝ったからには次負けるなよ」

「いや、実は俺部活辞めたから…」
バツが悪そうに答える
「四天宝寺は先が読めないからな、どうなるやら」
「変わらんよ、何も」


xxx


ザー


シャワー音とテレビの音が混ざる


テレビって言ってもあまり良い番組は入っていない


段々と眠くなって来たところでタイミング良く上がって来た


も使いたかったら使ってえぇよ」

「ありが…」
思わず体も言葉も止まってしまった

鎖骨が全部見える位開いてる黒い長Tに
膝下まで捲ったカーゴパンツ
無造作な髪からランダムに落ちる雫


「え、そないに格好変か?」
首を横に振って近寄ってみる


ラフな姿なのにカッコ良く見えるのはきっとベースが良いからだろう

「何か色っぽい」

「はぁ?…相当メンタルやられとるな」
「そんなことない!正気だから!!」
「あはは、せやったら尚更危ないやろ〜」

「もう!シャワー入って来るし!」
逆ギレされても俺何かしたんかいな?


濡れた髪のまま横になっていると
疲れが来たのか気付かんうちに転た寝してしもた







「蔵…寝てる」
髪濡れたままで…風邪引くじゃん

人の事言えないか…

髪を乾かしながらふと思い出す

「しかし男子のくせしてこんなに綺麗な顔は喧嘩売ってるよなぁ」




じぃ〜



ポタッ


髪から雫が頬を伝ってしまった


「ん・・・」


「あ、ゴメっ…!」

気付かないうちに思いっ切り接近しちゃった…
「何や機嫌は直ったん?」
眠たそうな目でアクビをしながら聞く
「あぁ!」
忘れてた








「お前の方が色っぽいで」
「それは…よ、予想外」

「もっとこっち来てや」
「これ以上近付いたら顔くっつくよ!?」


「えぇから」


水滴が口に入る

重力に逆らってるんだから当たり前か…


「そうだ!千歳に橘の事聞きに―」

ベッドを降りようとすると右腕を掴む

「あかんて、そないな格好で行ったら。
千歳かて が好きなんやで」

確かに無理もない
Yシャツは第三まで開いてるし髪だって濡れたままだし…

「それよりも話したい事あったら言ってえぇで」


重い口を開いた





xxx

「つまりね、今の青学は多分止まらないと思うわけで。
四天も有り得ない位に強いからどっちにしろ負けてたのかなぁってね。
あ、でも蔵ノ介負けて坊主になられたら私倒れるかも」

マッサージをしながらふと思う
流石テニス部、鍛えられてるな

「まぁ…多分負けへんけどな」


「そりゃぁ完璧テニスだもんね…で、千歳にはいつ言うの?」
「オーダー?…ギリギリまで言わんよ」

「恐〜っ」


「土壇場までバラさんのがドッキリやろ、それと一緒」
「…ドッキリか」
まさかまだ根に持ってるんじゃ…

「少しは傷癒えたか?」
「一人で抱えてるよりはかなり救われたよ、ありがとう」
「礼言うのはこっちや、意外に上手いんやな〜。
てっきり骨折られるかと思っててんけど。」

「どんだけ怪力女だと思ってるのさ〜!
ちきしょ〜、お邪魔しました!!」

ドアノブに手を掛けた時だった


「…お疲れさん」


後ろから抱き締めながら耳元に囁きかける

「人殺し」
「いや、殺してへんから」

「あ、間違った…」
そりゃぁ間違うよ!
言ってる事とやってる事がタッグ組んで…いやいや、自分落ち着こう

「…帰れないんですけど」
「ホンマに帰るん?泊まって行けばえぇのに」
「そんなショボンとされても…お、オサムちゃんに怒られるから!!」
出来る事ならそうしたいよ!
大会終わったらいつ会えるかなんて分かんないんだし…!!



コンコン


「…!」

まさか苦情?
ドア前で騒ぎ過ぎたかな…

腕を放してドアを開ける


「…聞こえとった?」
直球に疑問をぶつけた

「はは、さぁ?」

直球に聞いたところで当然本音が返って来るはずも無い

「じゃあ一体どうしたの?」
「明日の確認や、先やっとこう思てな」
「あ、そう言うことなら私はこれで失礼しま…!?」


思い切り襟を掴まれた
そんな強く掴んだら首絞まるから…!

「オサムちゃん、どういうことやねん」
「マネージャーと白石だけやったら心配するやろ〜?」
「そりゃ…心配だけど。でも私、信じてますから」

「…」
真顔で言うなや、照れるやろ


「と言うわけで帰るね、また明日」

ドア越しに耳打ちする

「青学との試合、
勝ったら一緒に居て欲しいんやけど、あかんかな」



答えは決まってる

「…蔵ノ介がそう言うなら喜んで。」


「おーきに。ほな、明日な」


廊下に居る人にバレないよう一瞬頬に重ねられた唇


「左だけ赤くなるじゃん」
「えぇで、反対向いても」


照れ隠しの一言を言ったつもりだったのに
逆効果に終わってしまった


「一人で帰れるか?」
「知らない!」




xxx続く


>>>コメ。<<<
風呂上がり直後の無防備な姿は絶対カッコ良いと変に拘る私です(マニアック
この話でヒロインは一体何回泣いたんだろう(とか、ふと思う
辛い事もいつか笑える日が来るはず!(シメようとしてますね
無駄にホテルが長い!(室内好きでごめんなさい/土下座←とことんインドア

続きアップしました!(7/28)ページ変わります■ENTER■



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