***VIRTUAL-GIRL-FRIEND-Vol.5-***
いつ叶うか分からない
終わりのない道を歩き続ける


VIRTUAL-GIRL-FRIEND-13-







…桔平以来かな、想っとー事見抜いたんは。


やれやれと言う面持ちな千歳は若干悔しそうだった

呆然だった。
レベルの高い会話な上に
相手の一歩前を見抜く―


「本当に中坊か!」

「え?」
「あ!!いやぁ…ははは」
何でよりによって喧嘩売るような一言を口に出すんだ自分は…!!

「頭水で…違う、それなりに温かい水で冷やして来る!」

「お湯って言えばよかね…」
凹んだり戻ったり忙しいばい


一気に静かになったなぁ。






ガタン!ガラガラ…



「は?!」


「千歳!何か服貸して!既に洗濯機は借りてるけど!!」


「待て、洗濯機からけたたましい音なっとるから!」
「大丈夫!!」
「だっ…」

根拠はどこから来るとね


数分後、どうにか落ち着いたらしくまた部屋は静かになった

にしても、は洗濯機に嫌われとるんじゃなかかな。


ソファに横たわり読みかけの雑誌を手に取った

「…微妙」

無意識にそう口走っていた

雑誌んことじゃない。この状態だ―


すっかり雑誌を見たまま明後日の方向を向いていたらしい

がおったのも気付かんかった

「わっ!」


ビクッ


「あ、上がっとったの?」
「千歳〜って呼んでたのに全然気付かないんだもん。これ大きいよ」

「あぁ、どっかいっとって…ちょうど良かったら逆に焦るたい」


「うーん、確かに。あ、制服勝手に干してます。えへっ」



あれ、怒った?
ここで
「えへなんてキャラじゃなかね!」とか
言いながら小突く的なテンションなんじゃ…?







「白石、スマン」







おっ?


気が付けば抱き締められている自分がいたわけで。

あ、ダメだ千歳の腕の中は安心してしまう。

これが人の温もりなのかな…
別に温もり知らないで育ったわけじゃないけど




正気に戻って急いで手を退けようとした

スマンな、白石おるって分かっとーのに…」

意思とは反対に何故か手は退けられない
!」


「ん…?あぁっすみません!
人の温もりが温かくて安心が落ち着いちゃって!!」
「色々二重になっとるから!」

それに被害者が謝るって…どげんこつね


「少しは抵抗せんと」
「だって千歳だもん」

だっての意味が理解出来んよ





「ほら、ベッド使ってよかばい、寝たいなら向こうの部屋で…」
「千歳はー?」
「俺はここで寝る」


ソファを指す

「え、大会前に風邪引いちゃうよ?」
「そげな弱かなかね、安心して」

「千歳のベッド私には大き過ぎるよ!
横に何か目に見えない物が寝てそうで恐い」
「何…」

膝に顔を凭れさせていたが窓の方を見ながら呟いた

「と言うわけで千歳、か弱い女子を一人にするのは危ないよね?
だから一緒に寝ようよ〜」




!それ矛盾しとーよ!か弱い…いや、か弱くなくても
普通一緒に寝ること自体が危ないって言うんやなか!?」

顔を持ち上げ必死に説得する。
ばってんの目は完璧状況を飲み込めていない

「へ?何そんな必死なの?
私にしたら千歳よりお化けの方が恐いんだけど…
あ、嫌なら仕方無いけどさ…」

「俺はを好いとーばい、心配じゃなかね」
「うーん…」


そう言ってしばし考える


「まぁちょっと寝ながら考えようよ。ね!」

「ちょっ…」


思いっ切り千歳を引っ張って連れて行った


xxx


寝室に来たものの、
そのまま横になっとー
ベッドの端から寝転がってただ見つめていた―

発展が見られん。



額に腕を当てて天井を見据えた


「っくしっ!」




あれ、噂かな。




「髪濡れたまま寝ようとするから…」


そう言ったかと思うと千歳は居間に戻って行ってしまった

あまりのわがままぶりに呆れたのかなぁ…


大きな枕に顔を埋まらせた







「ごめん、千歳」

「何が?」


う、うわっ!?



後頭部から聞こえるはずのない声がして思わずビクッとなってしまった

そして頭上にある何か。

「風邪引くばい」






もしやタオル?!
(気付くの遅いです)




「良いよそんな!もう優し過ぎるよ」

タオルだけを取ろうとしたら手が重なっていたらしく
千歳ごと引き込んでしまった

「危…」


時刻は午後11時半を回っていた

東京から大阪まで来たこともあり
睡魔はラスボスの更に上のボス並に強敵と化していた

「ダメだ、睡魔に負け…」

「えっ?」


そこから朝まで爆睡していたらしく
不意なアクシデントがあったために
枕は枕でも腕枕で寝ていたことに気付いたのは
朝の六時、ふと目が覚めた時の話になる

xxx


あぁ!!千歳本当申し訳無い!

心の中でテンパる

絶対手痺れちゃってるよ…!!
腕を抱きながら顔に擦り付けていた

あ〜すいません、すいません!

とか考えている間にまたも強敵、睡魔が襲いかかる。

zzz…


午前六時半。
目の前で何があったのか把握出来ん自分がおった


右腕…確かに頭の下にあったはずばってん…

抱き枕みたく抱えられてるんは…一体寝とー間に何が?

朝ご飯作るにもんこと起こしたら可哀想だし…


考えること五分


結局、極力起こさないようにそーっと腕と枕を交換して寝室を出た



午前七時。


、朝ばい起きね?」

「あ…っと。あれ枕?!千歳腕痺れて無い!?」
「もう大丈夫、それより朝ご飯―」
「えぇっ!朝ご飯とか作ってくれたの?!食べて良いの!?もてなし良過ぎ!!」
「朝から元気ばいね」
「千歳血圧低そうだよねー」
人のこと言っておいて私もそんな高いわけじゃないけど…
「何ねそれ」


そう言って笑うと私より一足先に居間へと向かった


そして朝ご飯を見て同じことをまた疑ってしまう


…お手伝いさん隠して無い?

xxx

「…何だよまだ七時だぜ?」
「一つ確認したいことあんねん、すぐ終わるから切んといてや」
「早くしろよ」


低血圧の俺に喧嘩売ってんのか?忍足の野郎…







いつから知っとった?








「…諦めろ、今のお前じゃ動かせねぇよ。」
「宍戸には分からへんわ、こないに辛い片思い初めてや」


「悪かったな、分かんなくて。」
むしろ分かりたくもねぇよ

「答え。聞いてへんねやけど」


「それ聞いてメリットになるのか?
粗捜すのは自由だけど朝から電話かけんな」
眼鏡割るぞ

「夜は夜で忙しかったんやて、しゃぁ無いやろ!それに粗捜しなんて…」










「いや、すまんかった。冷静になるわ」
「あぁ、気付いただけまだ救いがあると思うぜ。じゃあな」






一方的に電話を切る

休みくらいゆっくり寝かせろよ…
ただでさえ自主練するからってあと数時間したら
長太郎迎えに来るんだからよ…






二度寝を妨げる眩しい日差しを心底怨んだ



xxx続く


>>>コメ。<<<
千歳の人間の出来具合に惚れます(聞いてません
腕枕いいなぁ(羨ましがるなよ
肝心の白石が全然出て来ませんが次の話で迎えに来ます。
続きアップしました!(4/22)下へスクロール願います↓↓



>>>モドル<<<








混ざり合う青と白
意味もなく現れる虚実


VIRTUAL-GIRL-FRIEND-14-




昨日に引き続き食器だけは洗うことにした。
タダ飯はやはり気が引ける

寝相が悪かったわけでは無いが包帯も取れっ放しで
傷口に洗剤が付かないよう必死だった


千歳はやらなくて良いって言ってくれたけど
手も痺れさせちゃったし…なんてったって腕枕だったしなぁ。







そしてチャイムが鳴ったのはちょうど包帯を巻き終えた時だった




ピーンポーン



「あ、私出る!」
「待っ…」






ガチャッ

「おはよーさん。一夜限りの浮気はどうやった?」

朝一番に嘲笑してそんなブラックジョークを言えるのは流石だと思う
「うん、物凄く良かったよ」


「…何がやねん」
「それは秘密〜」


「白石、時間ある?ちょっと上がってってほしかね」
「別にえぇけど…」



混乱を避ける為に左腕の包帯に気付く前に話を進めた―




「…誤解を招かんよう包帯と白石の人間性についてだけ
真実をまとめようと思っとーね、よか?」


せやな、何あったんか気になるわ。

蔵ノ介は腕を組みながら無言で頷いた

「包帯…から説明して」
「う、うん。」

とりあえず正直に全部説明をした

話す前に冷静さを失わないでと添えて。






「あいつ…やってえぇことと悪いことあるやろ…!!で、大丈夫なん?」

頭を掻きながら呆れ声で確認を取る

「あぁ、私はほら、頑丈だし!武士に傷は―」
「だからは武士じゃなかって何度言わせるん」
「あと三回くらいは…」
「飽きるわ!まぁ大事に至らんで良かったわ。えーと?次何やったっけ」
「蔵ノ介が何で今まで付き合わなかったかって理由を
千歳なりの解釈で教えて貰ったんだけど…」
「せやったら十中八九あっとるで、それ」

「な、何で分かる?!」
「千歳は言わんでも大体のこと把握出来るんや、
せやからそれに気付いとる奴はコイツ敵に回しとう無いねん、俺含めな。」


要するにお互い頭良いってことね


「白石、どこに惹かれて付き合っとーや」
「…多分同じやで。好み被ったな」

「あはは、やっぱりか。」
敵わんばい




中三の会話じゃないって思うのは私だけかな?
落ち着き過ぎだよ、好きな子とか被ったら口より拳が語るとか言って
殴り合いの喧嘩とかするんじゃないの!?普通!




「あとは?」
「いや、白石から特に無かなら。」

「せか。すまんな、色々と。」
「俺は俺で楽しめたばい、気にせんで。」

「意味深やな」
「どうかな」





、大会でな」
「うん!有難う抱き枕!!」


「千歳抱き枕持ってんの?」
「あったよ、めっちゃ安心出来るやつ」



笑顔で手を振る千歳に進行方向を背にしながら手を振り返す

、前!」
「はい?」






ゴツッ

思い切り電柱にぶつかったのは言うまでも無い。
遠目からでも分かる。…千歳も笑ってる


なかなか良い喩えだって褒めようと思ったのに、




らしいたい。
xxx




「笑われた…」
「笑わない奴おらへんわ、ドアホ!何回傷付いたら気ぃ済むねん!」
「う。」
言い返せない…。

「また人のタオル借りてしまった…」
「ええから動くなや」
「あいたたたた!」

あ、涙が零れ落ちる。

「我慢せぇや!武士なんやろ、せやったら泣くな」
「うぅ…」
ここで武士使わないでよ…






冷えたところでどうやら知り合いが来たらしい。


「あ!白石やん!!試合しようやぁ!」
「おー朝早いなぁ!どないしようかなぁ、強いからなぁ」

え?蔵ノ介より強そうには見えないんだけどなぁ。

「知り合いの弟とか?」
「いや、うちの一年や、めっちゃ強いで。」
「一年!?中学?」
「小学生なわけないやろ!!」
「いや、あまりに可愛いから…ねぇ〜!ほら、ちっちゃいし」



なでなで


「白石ぃ〜この人誰や〜?」
「女…って金ちゃんにはまだ早いか。
えーと、女子の中で俺が一番好きな子や。」



その説明方法照れるな。
「せやったんかぁ!
あ、遠山金太郎言います!!よろしゅうよろしゅう!!」



で良いよ、よろしくね金ちゃん」

「よろしゅうなぁ!」

蔵ノ介より強いらしい金ちゃんは満面の笑みでそう言った


それにしても可愛いなぁ〜!



「エヘヘ、金ちゃんは将来何になりたいの?」
「決まっとるで!コシマエってな、凄い奴と―」
「コラ!金ちゃん気にせんでえぇよ、
こいつさっき頭ぶつけてな、おかしなっとんねん。
それより試合やるで。審判な」
「あっ!金ちゃ〜ん!!」



試合前、蔵ノ介に耳打ちした



餅でも焼いてたの?




何やねん、その言い回し。ヤキモチって一言言えばえぇのに

「…試合終わったら覚えてろや」

「さぁ〜頭打ったからなぁ。覚えてるかどうか」


随分と悪知恵付いたんやなぁ


ワンセットマッチ。


目を疑うテニスが始まった―


xxx






これ…練習試合かよ…

速過ぎてボールを追うので精一杯だ

「ほら、点入ったで」
「え!?あ、はいはい…」
挙句の果てに仕返しされる始末。

裏を読めるようになるのはまだ先の話かな…



ゲームが3-3で並んだ時だった。




「やっぱここやったか〜。」

試合が中断する

「初めましてやないんやけど…
まぁ面と向かって話すんは初めてやからえぇか」

「…えーと。どっかで見たことあるような…」


とりあえず手を差し出されたから握手をする。

「侑士の…」
その始まりでピンと来た
「謙也だ!ちきしょう裏で情報流しやがって!!このこの!!」

快晴に映える金髪を引っ張る


「いやスマンかったて!初対面やのに流石やなそのテンション」

「金ちゃん、試合またこんどな」
「えぇー!嫌や嫌やぁ!!」


じたばたする金ちゃん。

そしてすっかり虜になってる自分がいた

「金ちゃん!ジュース買ってあげるよ!!
白石の代わりに千歳に電話してあげるからちょっと向こう行こ〜」
「ホンマに!?大好きやぁ〜!!」

ヤバいなぁ。東京に連れて帰りたいよ。

、さらうなやぁ〜。しかも千歳用事やったらどないすんねん」
「その時は私が…っていうかさらわない…と、思うよ」

自信無くなった。

「ハハッ、無理やろ〜!」


その一言が何となくいつもと違っていた気がした


「蔵ノ介…その…くれぐれも殴り合いは避けて下さい」


左手に右手を絡めてみる。指長いなぁ…あ、違う違う。


空いてる右手で頭を持ち上げられた




安心せぇ




それはあの日、私が死ぬんじゃないかと疑った
告白する前の一言を言ったような、優しい声だった


「その言葉囁かれちゃったらまずいね。溶けちゃう」
「大袈裟やで〜。まぁ、心配せんでえぇよ」

頷いた後、絡んだ指先を名残惜しく離した


「いつでも出来るやろ、会える間は。」


「蔵ノ介…」

何でもお見通しですか。
「違うもーんだ!」

「…キャラ壊れとるがな」


そして不安を残しつつも
男同士の話し合いの場から身を引いた




xxx続く


>>>コメ。<<<
とりあえずここで切ろうかな、と(笑
金ちゃんやら謙也やら四天の面々が出てきました。
た、楽しそう!!混ざりたい!(何ですかそのコメント
謙也が悪役気味になってますが次でどんでん返しが…?
続きアップしました!(5/7)下へスクロール願います↓↓


>>>モドル<<<




忘れられない歌があって
忘れられない日がある


VIRTUAL-GIRL-FRIEND-15-




「あ、もしもし?千歳〜?」

「あー、電柱にぶつかっとった人?」
「うわ…凹みますって…それより今から練習試合やりたくない?」
「今から?うん、一試合くらいなら付き合えるばってん…白石は?」
「それが謙也来ちゃって…金ちゃんと私は逃げて来たんだよね」
「えっ、まさか金ちゃんと試合しろと?」


「うん、私が千歳やってもストレート負けするだろうし…」

「金ちゃん強ばいね〜」


千歳まで?!そんな強いの!?


金ちゃんは笑ってるだけだし…うーん。





「…とりあえず用事片したらすぐ向かうばい、待っとって」

「分かった!」




「千歳何やって〜?来れるんか〜!?」

「うん、用事済んだら来るって。」
そういえば


「金ちゃん、コシマエがどうのって言ってたよね?」
「せやで!関東にな、めっちゃ強い奴がおんねん!
そいつと戦うんが夢なんや〜!!」



ジュースを飲みながらそう話す

「コシマエ…あ、それってもしかして」


青学の越前じゃ…?






そういえば日吉と試合してたよなぁ…

「越前?誰やそれ」
「いや、何でもない!早く戦えると良いね」

「楽しみや〜!!」



xxx
「何知りたいんや謙也」

「別に、何も知りとうないわ」

謙也から返って来た一言は予想外やった。

「俺は白石達の仲を裂こうとも思わんし
侑士やマネの味方に付こうとも思ってへんねん」

「ホンマかそれ」
演技で騙そうとしてんねやったらしばくで
「ただ聞かれたから言う。楽やん、その位置」



「確かにな」
「せやろ?でもなぁ、一つ問題があんねんこの位置。」

溜め息を一つ吐く

「聞く、言う側がそれぞれ特定の人物になると
そいつらの味方と勘違いされる。
…俺はどこにも属さないのを望んでんのに、けったいな話や」

「謙也、それ演技ちゃうよな」

「好きに思えばええよ」

演技やあらへんて分かっとるのに…


「しっかし、こないな話あるんやな。
ちゃんのどこがそうさせてんねやろ?」

返答に時間はいらなかった

「全部やろ。アイツの存在全てが…」

「なるほどなぁ。何やるにも一生懸命やから
失敗しようが悪い結果になろうが憎めないタイプやろ」

「…せやからか。」
ハッとしたわ。
まさか謙也に具体例挙げられて納得させられるとは。

「ほな、邪魔したな。
まぁどっちにしろ負け試合見せへんで良かったんちゃう〜?」

「最後までわからへんやろ、試合は」

「せやな」


xxx



ちゃん、終わったで」
「え!もう!?あれ、謙也大丈夫?血とか出てない?!」
「せやったら白石の方が危ういわ〜。」
不敵な笑みを浮かべる

「本当〜?」
疑いの目をかける

「敵わんなぁ」
「やっぱり!大阪来てから曲者ばっかと過ごしてたからね!」

「詳しいこと知りたかったらアイツに聞いてや、ほな」

「じゃあね、大会で!」


普通の子やのになぁ

微笑みながら手を振って謙也は去った


あ、千歳呼ばなくて良かったかな。迷惑かけちゃった…

「お!千歳ぇ〜!!待ちくたびれてもーたわ!」
「スマンスマン」

「千歳、呼んでおいて申し訳無いんだけど話し合い終わったみたい…」

それを聞いてコートを黙視しする

「よかよ、どっちにしろ金ちゃんの相手必要じゃなか?」

「せやで〜!!必要やんかぁ!」

「すっかり仲良ーなったんばいね、二人共」
「一方的な片思いだから」
笑いながら答える


そして金ちゃんに聞こえないよう耳元で伝えられた

「適当にやっとくたい、早白石んとこ行ってあげとや」

「うん。ありがとう」



「え〜?おらへんの?」
「何ね金ちゃん、気に入ったとや?」

「ジュース買うてくれたんやで!!」


笑顔につられて自分も笑顔になっとった


xxx



「蔵ノ介〜…顔グチャグチャになってないよね…?」

「そんな小さい声で言うなら今いる木陰から離れや」

まだ怒ってる?
いや、近付いたスキを狙って殴るとか無しだよ?


恐る恐る近付いてみる
良かった、どうやら殴り合いは無かったらしい






ギュッ




「蔵…苦しい」
「離れてまうんやろか?」
「へ?」

「恐いねん、自分から好きになって、フられるんが。」

「裏読み過ぎ!」
「痛いわ、こそ腕締め過ぎやて」
「あ、ゴメン…でも!」


その件に関しては私の方が恐いよ…


「蔵ノ介といれることに対して、これは夢?なんて…思うよ」
そないに思っててくれたんやな
「…まず移動しよか」

「そうだね」
コート前だってことすっかり忘れてたよ…

xxx


「侑士、ちゃんの心動かすんは並大抵の努力でも無理やで」
「…会うたんか。そんなん分かっとるわ。
せやけどこのまま次の女に切り返しがまだ出来へんねん」

重症やな

「切り返せるまでは…」

「難しい話やな。俺には分からんから
まぁ、各々の道行けばえぇんやないの…位しか言えへんな」

「十分やろ、おーきに」
「礼言われることちゃうわ…ほな」






切れた携帯を見ながらふと思った

こういうのが青春なんかな…



フッ…


なんて考えるん、自分らしゅう無いわ。


自嘲気味にテニスコートを後にした

xxx



ねぇねぇ、あの人カッコ良くない?
うわ〜ホンマやね!
せやけど彼女おるんやなぁ…あれどこの制服やろ?

見たことあらへんわ〜。可愛ぇなぁあの制服!



…さっきからこの会話ばかり聞こえて来る
大阪案内されてる間だって
今いる店内でだって…

面倒だ


「可愛いのは制服だけかよ」
ボソッと呟いた

も十分可愛ぇから。僻んでるんやて」
「それも冗談でしょ」
あ、被害妄想激しいかも
「どやろな?」
「じゃあ、本音にしとく!それより蔵ノ介って常にこういう感じなの?」
「何が?」
「いや…だからめっちゃ注目されてるじゃん」
女子と言う女子に…
「せか?俺基本的に回りの声とか気にしぃひんからなぁ、
別に普通やけど」

大人過ぎる…っていうか器用だ


お待たせしました!フルーツパフェとコーヒーです



「ガキやん」

「い、良いじゃん!!パフェは中学生の主食だし!」
「何やねん、それ」

えぇ!何で笑ってんだよ!!

「にしても」



カップを見つめて真面目な顔で話し始める

「明日が心配やな、忍足の奴…
歯止めっちゅーモン知っとるとえぇんやけど…」

あ、頬張り過ぎて返せない

落ち着かせてから答える
「それに関しては宍戸にも相談したから多分大丈夫…
だと思ってるんだけど、
なるべく単独行動しないようにして近付かないつもりではいる…」


「えぇ心構えやん」
「私は自分のことより蔵ノ介が心配だよ」

どうやら意表を衝いた発言だったらしい
「…どこが?」


「マネージャー。色々話したんだけど、
もしそれで改心したらそっちに行っちゃうんじゃないかって。」
「行く行かないは未来の話やから
今はどないなるか分からんけど…」

「けど?」

「人の心って動かすん結構大変やで。
特に俺は自分が認めん限りは拒否るからなぁ」


そうだった



未来は分からない…か。





「おって楽なのが一番やな」

「ん?」

「俺、とずっとおりたいわ」

「…そ、そんなこと言ってもサクランボあげないよ!」
「いらんわ!あ、照れ隠しやろ」

「照れてるわけないじゃん!!き、聞き飽きたよ…そんな…言…葉」
「詰まっとるで〜」

タメなのに…
こういう時こいつ年齢詐称してるんじゃないかと
本気で疑いたくなる



ニヤッと笑ってるその顔、抓ってやろうか!





…無理か。






いつもと立場が逆転してる

私が頬杖を突きながらスプーン片手に蔵ノ介をジッと見るなんて。
…こんな綺麗な顔に慣れたのかな。



とか珍しく真剣に考えてたのに
二つの声ですっかり書き消されてしまった



「あ〜!白石君やぁ!!」
「相変わらずえぇ男やなぁ!!」



四天の制服じゃないし年上っぽいなぁ。


「何やぁ彼女出来たん?!」

「えーっ!あんなに拒否しまくってた白石君に!?」

「時間と縁があったら好きな女くらい出来ますよ、先輩」

目が合った


…あれ、私のために先輩って付けてくれた?
OGか…。
と言うより先輩にも人気だったんだ。



…凄っ

「へぇ〜…せやけど四天の制服ちゃうやんかぁ?」

は黙ったままやり取りを見てるだけやし…
ったく。少しは説明すんの手伝ってや

「私、東京の氷帝学園って学校の生徒なんですよ。
今ちょっと遊びに来てて。」


うわ、ものごっつう営業スマイルやん、
俺になんて一度も見せた事無いくせに…


せやけど…コイツもまぁほんの少しは
場、読めるようになったんやな


「氷帝ってあれやろ、ナルシーの…」

えっ!跡部って関西まで知れ渡ってんの?!
あーぁ…うちの学校それで出願者減って無いと良いけど…


「あ、そろそろバイトの時間やわ〜。別れたらいつでも連絡してやぁ!」

「そないな縁起でもない事…」


一方的に話を終わらせてOGの二人はバイトに向かったらしい


バイトの時間…

そういえば時間のことを思い出したのもその時だった

「もうそろそろ一回お父さんのとこ戻ってから帰らないとなぁ…」

「早いなぁ…まぁしゃぁ無いな、向かうか」



ありがとうございました〜!





店員の声が響いた




xxx続く


>>>コメ。<<<
大阪編が次で終わるかな?(遂にストックが無くなりました/えっ
そしてなんやかんやで謙也は賢い(笑
ちなみにこの話読んだ後読むと辻褄があうオサムちゃん夢があります。
抵抗のない方は良ければ読んでやって下さると嬉しいです。
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続きアプしました!(5/13)
ページ変わります。■ENTER■



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